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行きかふ人も又

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2009.11.04
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カテゴリ:映画
 
 夥しい観念に彩られた、濃密な世界観。なんらかのカタルシスか、こういう作品はおもしろいです。
怖いもの見たさのカルトムービーとはいえ、内容はちゃんとありました。


 醜悪で退廃した7人の権力者たちが、究極の知識と永遠の命を求め、錬金術師に導かれて、聖なる山=ホーリー・マウンテンを目指す―――。


はじめてのホドロフスキー作品は、“ ヘッド・ムービーの高僧 ”なんていうネーミングにぴったりの、まさに観念映画。
心理学と哲学を専攻していた大学時代、『天井桟敷の人々』に感銘を受けて、演劇を志したのだというのだからおもしろい。
カルトの奇才も、バティストのパントマイムに打たれたのだ、、と思ったら親近感が湧いちゃいますね(笑)
チリからパリ、パリからメキシコへと渡り、アメリカで挫折し、いままでに生み出した作品、わずかに4本。


出るわ、出るわ。グロイシーン盛りだくさんです。
異形の人々、血、悪夢、エロス、すべてが盛り込まれた、痛々しく生々しい2時間。
はじめは意味不明でしたが、半ばからは、悟りへ向かう物語性がはっきりしてくるので、意外にわかりやすくなります。
禅や仏教の要素が強くなるのも、受け止めやすい。

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冒頭から登場する、まるでキリストのような男は、盗賊の役柄だった、の?
街をさ迷ううちに、錬金術師の元へ辿りつき、権力者たちと共に旅に出た男。
権力者7人それぞれが、ロシアの神秘主義、イスラムの、ユダヤの・・・といったふうに、なにがしかの宗教に属した人物像だったんだとしたら、キリストみたいだった彼が唯一修行に脱落したのは、すごい寓意ではありませんか・・・!? 辛辣。

観たこともないようなシーンの連続だったのだけれど、スウェーデンのロイ・アンダーソン監督などは、この人の影響をかなり受けているような気がする。『散歩する惑星』とか。
欧米人が観念的に宗教を描くと、こうなるものなのかしらん。

時おり、「本気ですか」と訊ねたくなるようなシーンもいっぱいです。ラブマシーンとか、うけるー。シュールー。
錬金術師が、ウ○コを金に変えちゃうところも、すごいんです。
でも一番は、夥しく重なり合った磔刑像のハリボテか。この絵を撮るために、どれほど手間と時間をかけたのか想像したら、頭が下がります。
こだわり尽くした映像ばかりです。

ラストシーンは、どう判断していいものやら、、。有無をいわさず現実へ引き戻されて拍子抜けするけれど、この悪夢と現実が一気に結ばれるようでもあり、ありかなぁとは思う。
7人の面々が、無事に悟りの境地へと達したのかは、ご覧になってからのお楽しみ。



●  ●  ●  ●
 

監督・脚本/ アレハンドロ・ホドロフスキー
製作/ アレン・クライン
撮影/ ラファエル・コルキディ
音楽/ アレハンドロ・ホドロフスキー  ホラシオ・サリナス
出演/ アレハンドロ・ホドロフスキー  ホラシオ・サリナス  ラモナ・サンダース
アリエル・ドンバール  ホアン・フェラーラ

(カラー/116分/アメリカ=メキシコ合作)






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Last updated  2014.01.07 20:09:18
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