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テーマ:■ムービー所感■(484)
カテゴリ:映画
夥しい観念に彩られた、濃密な世界観。なんらかのカタルシスか、こういう作品はおもしろいです。 怖いもの見たさのカルトムービーとはいえ、内容はちゃんとありました。 醜悪で退廃した7人の権力者たちが、究極の知識と永遠の命を求め、錬金術師に導かれて、聖なる山=ホーリー・マウンテンを目指す―――。 はじめてのホドロフスキー作品は、“ ヘッド・ムービーの高僧 ”なんていうネーミングにぴったりの、まさに観念映画。 心理学と哲学を専攻していた大学時代、『天井桟敷の人々』に感銘を受けて、演劇を志したのだというのだからおもしろい。 カルトの奇才も、バティストのパントマイムに打たれたのだ、、と思ったら親近感が湧いちゃいますね(笑) チリからパリ、パリからメキシコへと渡り、アメリカで挫折し、いままでに生み出した作品、わずかに4本。 出るわ、出るわ。グロイシーン盛りだくさんです。 異形の人々、血、悪夢、エロス、すべてが盛り込まれた、痛々しく生々しい2時間。 はじめは意味不明でしたが、半ばからは、悟りへ向かう物語性がはっきりしてくるので、意外にわかりやすくなります。 禅や仏教の要素が強くなるのも、受け止めやすい。 冒頭から登場する、まるでキリストのような男は、盗賊の役柄だった、の? 街をさ迷ううちに、錬金術師の元へ辿りつき、権力者たちと共に旅に出た男。 権力者7人それぞれが、ロシアの神秘主義、イスラムの、ユダヤの・・・といったふうに、なにがしかの宗教に属した人物像だったんだとしたら、キリストみたいだった彼が唯一修行に脱落したのは、すごい寓意ではありませんか・・・!? 辛辣。 観たこともないようなシーンの連続だったのだけれど、スウェーデンのロイ・アンダーソン監督などは、この人の影響をかなり受けているような気がする。『散歩する惑星』とか。 欧米人が観念的に宗教を描くと、こうなるものなのかしらん。 時おり、「本気ですか」と訊ねたくなるようなシーンもいっぱいです。ラブマシーンとか、うけるー。シュールー。 錬金術師が、ウ○コを金に変えちゃうところも、すごいんです。 でも一番は、夥しく重なり合った磔刑像のハリボテか。この絵を撮るために、どれほど手間と時間をかけたのか想像したら、頭が下がります。 こだわり尽くした映像ばかりです。 ラストシーンは、どう判断していいものやら、、。有無をいわさず現実へ引き戻されて拍子抜けするけれど、この悪夢と現実が一気に結ばれるようでもあり、ありかなぁとは思う。 7人の面々が、無事に悟りの境地へと達したのかは、ご覧になってからのお楽しみ。 監督・脚本/ アレハンドロ・ホドロフスキー 製作/ アレン・クライン 撮影/ ラファエル・コルキディ 音楽/ アレハンドロ・ホドロフスキー ホラシオ・サリナス 出演/ アレハンドロ・ホドロフスキー ホラシオ・サリナス ラモナ・サンダース アリエル・ドンバール ホアン・フェラーラ (カラー/116分/アメリカ=メキシコ合作) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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