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テーマ:■ムービー所感■(484)
カテゴリ:アメリカ映画
エミール・ゾラ(1840年―1902年)は、自然主義文学の定義者であるフランスの小説家。 その生涯と、“ドレフュス事件”をテーマに作られた伝記映画です。 “ドレフュス事件”もゾラ氏も、まったく知らなかったわたし。 私的映画選びの参考書、『死ぬまでに観たい映画1001本』に選ばれているので、観る気になった本作、アカデミー作品賞も受賞しています。 半生を描いた伝記映画でありながら、歴史的大事件の真相に迫っている、1937年ですでにこんな映画のスタイルがあったのですねー。 前半は、無名だったゾラが、取材して真実を書きあげた問題作「ナナ」のヒットを足がかりに、文豪として成功していくまでを、コミカルにテンポよく描いていきます。 幼馴染で、のちに決別することとなる、画家セザンヌとの親交も交えながら。 後半は、じゃっかんトーンを変化させて、ユダヤ人砲兵大尉アルフレッド・ドレフュスの冤罪事件を軸に、フランス陸軍の暗部に迫ります。 “ドレフュス事件”の概要はこちら。 1894年、フランス陸軍情報部は、ドイツのスパイがいるというメモを発見、ユダヤ人であるドレフュスを、筆跡が似ているという理由だけで逮捕した。 無実を確信する妻は、ゾラに助けを求め、彼は迷った挙句に正義を行うことに決め、一大決心をして、大統領宛ての公開質問状を、新聞に掲載することにするのでした。 しかし、陸軍による組織的な隠ぺいのため、裁判さえまともではなく・・・。 ゾラも罪に問われ、一時はイギリスに亡命し、ドレフュスは5年も投獄されてしまいますが、そこは古典映画、しっかり正義は行われ、冤罪が確定してめでたしめでたし。 信念を貫き通して、無実を叫び続けたドレフュス大尉が、ついに釈放されるラストに、ほのぼのとした感動が湧いてくるのでした。 同じく、「時間がない」と無心にものを書いていたゾラが、翌日この世を去るその爽やかな最期の演出もお見事。 古い映画であることを、つい忘れてしまいそうな良作です。 監督/ ウィリアム・ディターレ 脚本/ ノーマン・ライリー・レイン ハインツ・ヘラルド ゲザ・ハーゼック 撮影/ トニー・ゴーディオ 音楽/ マックス・スタイナー 出演/ ポール・ムニ ジョセフ・シルドクラウト ゲイル・ソンダーガード グロリア・ホールデン (モノクロ/116分) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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