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テーマ:■ムービー所感■(484)
カテゴリ:アメリカ映画
ある時、そんな彼は、30歳も年の離れた学生コンスエラの美貌に目を奪われる。思いがけず愛に溺れて葛藤するさまと、そんなふたりの切ないすれ違いの愛の行方を描く―――。 この作品は、初見だけれど思い出深い。上映された当時、同僚の女の子から、劇場に観に行こうか迷っている――と聞いて、イザベル・コイシェの新作だからいいに違いないよ!とおススメしたのだった。 結局、足を運んだ彼女の感想はまずまずで、微妙に納得できないものを抱えたみたいだった。 いま改めて世間の評判をみてみると、一様に低くてびっくりする。 私は、本編がなかなか好きだ。 コイシェ監督は、スペイン出身の女流監督で、『あなたになら言える秘密のこと』『死ぬまでにしたい10のこと』『パリ、ジュテーム』、どれも楽しく観た。 しかも、壮年の男が人生を変えるほどの愛に溺れていく―――というのパターンは、私の偏執的嗜好にぴったり(笑) この作品の場合、「恋に落ちる」ではなく、「愛に溺れる」という言葉が馴染む。 初めて愛を知り、悶々とし、嫉妬に苛まれる中年男なんて、ほんとうにみっともない。みっともないけれど、諍えない想いに苦悩するデヴィッドは、嫌いになれない。 超がつくほど魅力的な、ペネロペ演じるコンスエラは、彼との未来を本気で考えている。そこがとっても大事なんだと思う。 真剣にひとりの人間を愛すること―――真摯な恋愛模様を描いた本編は、ごくシンプルな、オーソドックスなラブストーリーなのだ。 お腹がひとつも出ていない、60代半ばのベン・キングズレー。 その親友を演じたデニス・ホッパーの、老境に差し掛かって更に味を感じる深いしわ。 若いころからちっとも変わらない美貌と名演のぺネロペ・クルス。役者がいい。 愛を描きながら、老いをテーマとしたことで、後戻りできない到達点ゆえの苦しみや、色濃い哀愁がしんと胸に響いた。 いつもシビアだけれど、どこか優しい。それがコイシェ監督の味なのだろう。 監督/ イザベル・コイシェ 原作/ フィリップ・ロス 『ダイング・アニマル』 脚本/ ニコラス・メイヤー 撮影/ ジャン=クロード・ラリュー 出演/ ペネロペ・クルス ベン・キングズレー デニス・ホッパー (カラー/112分/ELEGY) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2009.12.24 22:45:10
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