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2010.03.10
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カテゴリ:中国映画

 『長江哀歌』がよかった、ジャ・ジャンクー監督作品。
高度経済成長期をむかえている中国の、新しい世紀のはじまりを感じる一本。
若い世代代表として、国の歴史と向き合い、中国の行く末を想う監督の気持ちが、なにやらあたたかい。
状況は過酷でも、画面を通して伝わってくる眼差しは、『長江哀歌』のように、どこか楽観的だ。

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2007年、巨大な国営工場が閉鎖され、そこに働いていた労働者たちが語る、一つひとつの思い出―――。
変革、政治のうねり。それらに翻弄されながらも、懸命に生きた人々の悲喜こもごも。

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それぞれの人生の物語はドキュメンタリーを織り交ぜたフィクション。語る人々は、みんな名の知れた俳優たちだ。
けれどどの言葉も、どの思い出も、けしてウソ話には聞こえなくて、きっとこういうドラマは、現実にも起っていたに違いない。

景気の良い頃はいい思いもしたし、工場内で恋もした。娘は、くたびれ果てた母親の姿に切なさを覚え、単調な作業を繰り返すだけの仕事に、息子世代は反撥した。
カタチはどうであれ、生きている人々の日々の営みには哀愁がある―――。
『長江哀歌』で書いた言葉そのままに、監督の、変わらないたしかな目線。

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新しい太平洋の世紀は、かくじつに中国にむかって追い風が吹く。
日本を追いかけてくる速度は、きっと意外に速い。
それを実感しつつ。けたたましくまくしたてる中国のイメージを払拭するような、一味違った穏やかで楽観的なジャ・ジャンクー作品が、好きだ。


●  ●  ●  ●



監督・脚本/ ジャ・ジャンクー
撮影/ ユー・リクウァイ  ワン・ユー
音楽/ 半野喜弘  リン・チャン
出演/ ジョアン・チェン  リュイ・リーピン  チャオ・タオ  チェン・ジェンビン

(カラー/112分/中国=日本合作)








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Last updated  2010.03.10 22:32:07
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