|
テーマ:■ムービー所感■(484)
カテゴリ:中国映画
『長江哀歌』がよかった、ジャ・ジャンクー監督作品。 高度経済成長期をむかえている中国の、新しい世紀のはじまりを感じる一本。 若い世代代表として、国の歴史と向き合い、中国の行く末を想う監督の気持ちが、なにやらあたたかい。 状況は過酷でも、画面を通して伝わってくる眼差しは、『長江哀歌』のように、どこか楽観的だ。 2007年、巨大な国営工場が閉鎖され、そこに働いていた労働者たちが語る、一つひとつの思い出―――。 変革、政治のうねり。それらに翻弄されながらも、懸命に生きた人々の悲喜こもごも。 それぞれの人生の物語はドキュメンタリーを織り交ぜたフィクション。語る人々は、みんな名の知れた俳優たちだ。 けれどどの言葉も、どの思い出も、けしてウソ話には聞こえなくて、きっとこういうドラマは、現実にも起っていたに違いない。 景気の良い頃はいい思いもしたし、工場内で恋もした。娘は、くたびれ果てた母親の姿に切なさを覚え、単調な作業を繰り返すだけの仕事に、息子世代は反撥した。 カタチはどうであれ、生きている人々の日々の営みには哀愁がある―――。 『長江哀歌』で書いた言葉そのままに、監督の、変わらないたしかな目線。 新しい太平洋の世紀は、かくじつに中国にむかって追い風が吹く。 日本を追いかけてくる速度は、きっと意外に速い。 それを実感しつつ。けたたましくまくしたてる中国のイメージを払拭するような、一味違った穏やかで楽観的なジャ・ジャンクー作品が、好きだ。 監督・脚本/ ジャ・ジャンクー 撮影/ ユー・リクウァイ ワン・ユー 音楽/ 半野喜弘 リン・チャン 出演/ ジョアン・チェン リュイ・リーピン チャオ・タオ チェン・ジェンビン (カラー/112分/中国=日本合作) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2010.03.10 22:32:07
コメント(0) | コメントを書く
[中国映画] カテゴリの最新記事
|