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2010.03.17
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カテゴリ:アメリカ映画

 2009年度アカデミー作品賞を受賞したばかりの話題作。
舞台は、テロの脅威が続く2004年のイラク・バグダッドだ。死と隣り合わせの日常を生きる、爆発処理チームに焦点をあてた、緊迫の戦争アクション。

チームの殉職者の代わりに、新たに赴任してきたのが、物語の主人公ジェームズ。
彼は無茶な任務遂行を続け、チームを危険に晒していく―――。

こないだマイケル・ジャクソンの『THIS IS IT』を観たのだけれど、どちらも鑑賞後「よかった」と思った。それは、同じ理由からきているみたいだ。
『THIS IS IT』を観なければ、ずっとマイケルをただの変な人と思っていたに違いない。ほんとうは奇跡のようなダンスと、最高に歌の上手い才人だったのに。
亡くなったことで映画が作られて、おかげでそのことに気づけた、気づいて「よかった」映画だった。
同じように、この作品を観なければ、イラクで起っているアメリカ軍の出来事を、ずっと身近に感じてみることもなかっただろうと思う。

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文句なしの臨場感と、ビグロー監督のセンスある映像は魅力。
自身は女流監督と言われるのを嫌うらしいが、これまでの作品タイトルをみても、とても女性とは思えないような男気映画をたくさん撮っている。
アカデミー賞を受賞したからといって、過度の期待をしたわけでもなく、ただただ先入観なしで、観られる作品だった。
プロパガンダといわれて当然の社会派の本作は、現地ではこんなに怖ろしいことが起きていますよ、と教えてくれる。

破天荒な主人公が、故郷に残してきた妻と幼いわが子の声を、ただ聞くために掛けた電話や、夜にひとりでイラク人少年の安否を確認しに奔走するシーンは、けして無駄ではないと思う。
爆弾に関する物々をコレクションしているのも、そうならざるをえない状況に置かれているから。
狂気などない、破天荒だけど情を持ち、度胸のある、意外とまともな主人公なのだ。

ジェームズが短い休暇を終えて、また再び戦地へと戻ったラストに、ひたすらに思うのは、もう二度とごめんだ、ということ。
スクリーンを通してでさえも、再びあの緊張感を味わうのはイヤだし、見物するイラク市民たちの視線も懲りごり。
しかし、もうイヤ・・・なんて気持ちをよそに、主人公は悠然と戦場へ戻っていく。
「戦争は麻薬」
冒頭のテロップが、あとからふと蘇る。



 ●  ●  ●  ●


監督/ キャスリン・ビグロー
製作総指揮/ トニー・マーク
脚本/ マーク・ボール
撮影/ バリー・アクロイド
音楽/ マルコ・ベルトラミ  バック・サンダース
出演/ ジェレミー・レナー  アンソニー・マッキー  ブライアン・ジェラティ
レイフ・ファインズ  ガイ・ピアース

(カラー/131分)






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Last updated  2010.03.19 16:37:11
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