|
テーマ:■ムービー所感■(484)
カテゴリ:アメリカ映画
2009年度アカデミー作品賞を受賞したばかりの話題作。 舞台は、テロの脅威が続く2004年のイラク・バグダッドだ。死と隣り合わせの日常を生きる、爆発処理チームに焦点をあてた、緊迫の戦争アクション。 チームの殉職者の代わりに、新たに赴任してきたのが、物語の主人公ジェームズ。 彼は無茶な任務遂行を続け、チームを危険に晒していく―――。 こないだマイケル・ジャクソンの『THIS IS IT』を観たのだけれど、どちらも鑑賞後「よかった」と思った。それは、同じ理由からきているみたいだ。 『THIS IS IT』を観なければ、ずっとマイケルをただの変な人と思っていたに違いない。ほんとうは奇跡のようなダンスと、最高に歌の上手い才人だったのに。 亡くなったことで映画が作られて、おかげでそのことに気づけた、気づいて「よかった」映画だった。 同じように、この作品を観なければ、イラクで起っているアメリカ軍の出来事を、ずっと身近に感じてみることもなかっただろうと思う。 文句なしの臨場感と、ビグロー監督のセンスある映像は魅力。 自身は女流監督と言われるのを嫌うらしいが、これまでの作品タイトルをみても、とても女性とは思えないような男気映画をたくさん撮っている。 アカデミー賞を受賞したからといって、過度の期待をしたわけでもなく、ただただ先入観なしで、観られる作品だった。 プロパガンダといわれて当然の社会派の本作は、現地ではこんなに怖ろしいことが起きていますよ、と教えてくれる。 破天荒な主人公が、故郷に残してきた妻と幼いわが子の声を、ただ聞くために掛けた電話や、夜にひとりでイラク人少年の安否を確認しに奔走するシーンは、けして無駄ではないと思う。 爆弾に関する物々をコレクションしているのも、そうならざるをえない状況に置かれているから。 狂気などない、破天荒だけど情を持ち、度胸のある、意外とまともな主人公なのだ。 ジェームズが短い休暇を終えて、また再び戦地へと戻ったラストに、ひたすらに思うのは、もう二度とごめんだ、ということ。 スクリーンを通してでさえも、再びあの緊張感を味わうのはイヤだし、見物するイラク市民たちの視線も懲りごり。 しかし、もうイヤ・・・なんて気持ちをよそに、主人公は悠然と戦場へ戻っていく。 「戦争は麻薬」 冒頭のテロップが、あとからふと蘇る。 監督/ キャスリン・ビグロー 製作総指揮/ トニー・マーク 脚本/ マーク・ボール 撮影/ バリー・アクロイド 音楽/ マルコ・ベルトラミ バック・サンダース 出演/ ジェレミー・レナー アンソニー・マッキー ブライアン・ジェラティ レイフ・ファインズ ガイ・ピアース (カラー/131分) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[アメリカ映画] カテゴリの最新記事
|