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行きかふ人も又

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2010.04.15
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カテゴリ:映画
南アフリカ出身の新人監督がメガフォンを取った、全米大ヒットSF。日本でも評価は上々! 
『ロード・オブ・ザ・リング』のピーター・ジャクソン監督は、『ラブリーボーン』を撮りながら、こんなおもしろい作品の製作もしていたのね。


 (あらすじ) 南アフリカ・ヨハネスブルグ。突然、正体不明の巨大宇宙船が現われ、上空に留まってしまってから20年。
異星人たちを難民として受入れたものの、共同居住区“第9地区”はいまやスラムと化し、地域住民の不満は爆発寸前だった。
そんな時、超国家機関MNUは、エイリアンたちを新たな難民キャンプへ強制移住させることを決定。プロジェクトの最高責任者となったヴィカスは、立ち退きの通達をして廻るが、その最中、不注意から謎の液体を浴びてしまいとんでもない事態へと発展していく・・・・。


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 南アフリカの歴史、隔離政策アパルトヘイトを、SFに仕立てたなんとも妙味な異色作。
野蛮であっても害を及ぼすワケではなかった異星人(=エビ)を、人間がどんどん弾圧していくのが、かなりシニカル。
大惨事後の関係者へのインタビューから始まる物語は、あらゆる証言をもとに、嫌な予感で幕を開ける。そして「ヴィカスになにが起ったか・・・」事件は明らかになっていく。
脚本が面白いからこそ想像以上の膨らみがあって、驚きの真実から目を離せないのだった。

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とにかく盛りだくさん。
これまで出会ったことのある色んな作品の要素を上手く取り込んでいた。
たとえば異星人、ここでは「エビ」なんて揶揄されている彼らのCGは見事だし、彼らのメカロボットは『トランスフォーマー』を彷彿とさせる。
ヴィカスの感染は『28週後』を思い出させ、変身していく様子は『ザ・フライ』ばり。
異星人との友情は『E.T.』か?、第9地区での戦闘は戦争映画さながらの臨場感。

ほとんど無名の俳優さんばかりなのに、そうとは思えない見栄えだった。
とくに主演のシャールト・コプリーは、はじめ人畜無害な優男のイメージで登場しながら、あれよあれよという間に、別人のように変貌を遂げていく。彼の変化を見ているだけも楽しめそうだ。

娯楽作といえ、人間のエゴがみっちりシニカルに描かれていた良作。
キャットフードのツナが大好きなエビたちを、健気ないいヤツと感じる頃には、自分がすっかり彼らの味方になっていることに気づく。
20年ぶりに起動した巨大宇宙船が故郷の惑星へと帰っていく、、、それを心から安堵して眺めながら、小粋なラストシーンについ頬を緩めてしまうのだった。


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監督/ ニール・ブロンカンプ
製作/ ピーター・ジャクソン  キャロリン・カニンガム
製作総指揮/ ビル・ブロック  ケン・カミンズ
脚本/ ニール・ブロンカンプ  テリー・タッチェル
撮影/ トレント・オパロック
音楽/ クリントン・ショーター
出演/ シャールト・コプリー  デヴィッド・ジェームズ  ジェイソン・コープ

(カラー/111分/アメリカ=ニュージーランド合作)





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Last updated  2021.08.22 16:18:59
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