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テーマ:■ムービー所感■(484)
カテゴリ:フランス映画
『アリス』『オテサーネク』の監督、ヤン・シュヴァンクマイエルは、チェコスロヴァキア、プラハ生まれの芸術家。シュルレアリストで、アニメーション作家で、映画監督でもある。 本編は、初期の映像作品から『オテサーネク』までの制作秘話や、チェコで催された展覧会の準備風景を交えつつ、豊富なインタビューと証言で彼の作品の魅力を解き明かすドキュメンタリー。 氏の作品に、少なからず興味をお持ちの方は、きっと楽しめるに違いないドキュメンタリーだった。 なぜ今どきシュールレアリスムなのか? この質問には、ヤン自身がしっかり応えてくれている。 そして氏の創作活動に欠かせない、最大のパートナーであるエヴァとの関係を見ることができるのもうれしい。 2005年、『ルナシー』で美術・衣装を担当したエヴァは、完成後に65歳の若さで亡くなっている。それ以降、ヤンに新作がないのは、最大のパートナーを失ったことが影響しているのかもしれない。 個人的には『オテサーネク』の撮影風景がとてもたのしかった! あのオテサーネク(切り株)が、どのようにして調達されてきたか。木に命が吹き込まれていく様を見るのは興味津々。 動きを出すために用意された、幾種類も切り株に囲まれて、まるで孫のようにオテサーネクを抱いているヤンが、かなり嬉しげだ。 隣家の少女・アルジュビェトカを演じる子役のオーディション風景なども興味深い。 あえて可愛らしい子をチョイスしないのは、こだわりなのか(笑) このクリスティーナちゃんも、『アリス』のクリスティーナちゃんも、お世辞にも美少女とは言えないのだった。求めているのは個性か? ともかく作品にはいろんな子どもの頃のトラウマが、影響しているらしいことを知った。主人公に女の子が多いのも、照れ隠しのためなのだそうだ。 時代遅れだと揶揄されてもなお、シュールレアリストとして様々な作品を造り続けるのが、シュヴァンクマイエルの道。 そこに驚くほど、エヴァのデザインや絵が魅力をもって投入されてくる。 本編中に登場する作品は、やはりどれもわたし好みで、見ているだけで楽しかった。 こんどはいよいよ初期の短編を観ていこうかな。買わないと、観れないけれどね。 監督/ ベルトラン・シュミット ミシェル・ルクレール 出演/ ヤン・シュヴァンクマイエル エヴァ・シュヴァンクマイエロヴァー (カラー/58分) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2010.05.13 16:37:03
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