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テーマ:■ムービー所感■(484)
カテゴリ:アメリカ映画
セシル・B・デミルに見出されて、映画初出演となった早川雪洲のデビュー作。 彼の色男ぶりは、まさに一見の価値あり! 『戦場にかける橋』の大佐役では、歳をとって、その精悍さに気づかなかったけれど、こんなにいい男だったのだ。 なにしろ、劇場にはばっちりメイクをした女性ファンがつめかけるほどの熱狂ぶりだったらしい。 100年も前、ハリウッドに日本人スターがいたなんて、ちょっとすごい。 ニューヨーク、証券ブローカーの夫を持つ浪費家の妻エディスは、社交界でのお遊びがすぎて、大きな借金を負ってしまう。困り果てた彼女に金を用立てたのは、富豪の日本人(変な名前の)アラカウだった。小切手を切るアラカウの口からは、「承知ですね」の言葉・・・・。 翌日、エディスは約束通り金を返しに行くが、それだけでは満足しないアラカウは彼女を手籠にしようとする・・・・。 1915年ですよ! 100年も前に、こんなにおもしろく欲に溺れる人間を描いたセシル・B・デミルはミラコー。ビバ、デミル。 なんといっても白眉なのが、うえのスチール写真の場面。伏線で、骨董品コレクターのアラカウが焼印について語る、「わたしの物である印だ」と。その焼印を、抵抗してなかなか自分のものにならないエディスの背に押しあててしまうのだ。 妻の行動を不審に思った夫がエディスの跡をつけていくと、ピストルで撃たれたアラカウが倒れている。アラカウは一命を取り留めるが、夫は妻を庇い裁判にかけられてしまう。 法廷で、大衆の前で自らの背に押された焼印を晒し、夫の無実とアラカウの非情を暴露するドンデン返しで物語は幕を閉じる。 本作がおもしろいのは、エディスがかなりの悪女であること。夫の稼ぎを容赦なく遣い込み、社交界のつきあいに現をぬかしている酷い女。彼女とアラカウはどっこいどっこいの卑劣漢なのだ。 なんにも知らない夫だけが、健気にも身を粉にして働いて、彼女の罪まで被ってしまう悲喜劇・・・・。これはほんとに面白い! ちなみに、日本未公開なのは、女性に焼印を押すシーンが日本人の恥であるとして国辱映画とされたからなのだという。以後、早川雪洲は、当分帰国を許されず、ハリウッドで活躍を続けることになった。 監督/ セシル・B・デミル 製作/ ジェシー・L・ラスキー 脚本/ ヘクター・ターンブル ジャニー・マクファーソン 撮影/ アルヴィン・ウィコッフ 出演/ ファニー・ウォード ジャック・ディーン 早川雪洲 ジェームズ・ニール (モノクロ・無声/44分/THE CHEAT) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2010.11.28 08:27:46
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