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テーマ:■ムービー所感■(484)
カテゴリ:インド映画
インドは広い。一口にインドとはいっても、北部には、雪が降るほど寒い山岳地が広がっている。 パキスタンとの国境付近は、領有権を主張しあって軍事衝突が繰り返され、ヒンドゥー教とイスラム教の宗教問題まである。 本編は、そんなカシミール地方で繰り広げられる物語だ。 8歳の少年タハーンは、祖父、母、姉の4人で暮らしている。大好きだった父は3年前から行方知れず。一番の友達はロバのビールバルだった。 ある日、優しい祖父が突然亡くなり、ビールバルは借金返済のために旅商人に売られてしまう、、。 ビールバルを取り戻すため、商人を追って山越えするタハーンだったが、やがて1人の男がタハーンに近づいてくる――。 貧しくとも平穏な暮らしは、祖父の他界を機に崩れてしまった。 まるでイラン映画のような健気な趣で、子どもが大人に負けじと奮闘する姿を描く。 ただ、それだけで終わらない背景はちゃんとある。国境付近の、軍と武装勢力の抗争だ。 大好きなビールバルを取り戻そうと走り回るタハーンに近づいたのは、武装グループの青年。タハーンはまんまと利用されて、積荷に手榴弾を隠した、ハラハラの道行となる。 まだ幼いタハーンがちょこちょこ出かけていくのを、見張らなければならないはずの母は、帰らぬ夫と借金返済の心痛で、そこまで余裕がない。 言葉の話せない彼女は、それでも、身ぶりと表情で愛情をしっかりと与える、存在感ある姿が印象的だった。 最後に、タハーンに訪れる小さな奇蹟は、まるで神様からの贈り物のように、優しい後味を残してくれる。 観ながら『ガッジョ・ディーロ』を思い出していた。 それもそのはず、ロマの人々は、北インドから出たのだった。この音楽の在り方がいい。 そして、祖父役を演じているのはビクター・バナルジー。『インドへの道』『赤い航路』が記憶に新しい。 監督・脚本・撮影/ サントーシュ・シヴァン 出演/ プーラヴ・バンダーレー ビクター・バナルジー アヌパム・ケール (カラー/101分) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2011.02.09 20:32:10
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