|
テーマ:■ムービー所感■(484)
カテゴリ:チェコ(スロバキア)映画
アニメーション作家・ヤン・シュヴァンクマイエルが、独自の解釈で描くゲーテの『ファウスト』。 シュヴァンクマイエル作品は、この『ファウスト』をはじめ、『オテサーネク』『ルナシー』など、実写と人形アニメーションを合成したものが好きだ。 いつものようにダークでキッチュ、グロテスクで触感的。絶妙のバランスで、人間と人形が共演する、とてもおもしろい作品だった。 街角で配られた地図が指す、とある廃墟に引き寄せられて、辿りついた男。なに者かの手引きでファウストに仕立てられ、悪魔の罠にはまってしまう彼の運命とは――。 独自の解釈とはいえ、『ファウスト』の内容に触れることができて、なんちゃって知識が増えた。 しかも映像はこだわりの連続。実写にうまく組み込まれる、クレイアニメーションや等身大の操り人形は、グロテスクだけれどシュールで巧みで、すぐに虜になってしまう。 人形劇が好きなせいもあり、メフィスト、悪魔、天使役の木偶たちが織りなす劇が楽しくてしかたがない。操り師の手まで演出のうち。手作り感が、すべて作品の味わいになっている。 アニメーションという言葉のイメージさえ覆す、洗練された世界観に魅了される。 私的なツボは、木偶たちが走る姿かしら。かわいすぎる。たのしすぎる。 もはや人間なの人形なのか見分けのつかない動きの切れ味に、こころ高まる。 木と木のぶつかる音「コツコツ」、石畳を歩く音「コツコツ」。とてつもなくツボ。 これはもうシュヴァンクマイエル作品の一ファンとして、偏愛嗜好のなせる好評価です。 監督・脚本/ ヤン・シュヴァンクマイエル 製作/ ヤロミール・カリスタ 撮影/ スバトプルク・マリー 出演/ ピーター・セペック 声の出演/ アンドリュー・サックス (カラー/95min) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2011.03.04 22:25:22
コメント(0) | コメントを書く
[チェコ(スロバキア)映画] カテゴリの最新記事
|