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テーマ:■ムービー所感■(484)
カテゴリ:イギリス映画
近未来。エネルギーが枯渇した地球。月の裏側で採れる新しい燃料の採掘のため、世界最大の燃料会社と契約を交わした宇宙飛行士のサム・ベルは、たった一人、3年間の任務で月に滞在していた。 人工知能を持つロボットのガーティを相棒に、孤独と闘いながら仕事をこなしていたが、帰還を目前にしたある日、作業中に事故を起こし、診療室で目覚めた彼は、驚くべき事態が起こっていることに気づく―――。 登場人物はほぼ、サム役のサム・ロックウェルのみ。低予算ながら、月面の荒涼とした情景や、無機質な施設の造形が、上質な雰囲気を醸し出していた。 クオリティーの高いCGセンスなど、とても初監督作品とは思えなかった。 大けがを負ったサムは、診療室で目覚める。弱った体でガーティの元へいくと、そこには自分にそっくりな男がいる、、。 事態を飲み込めないサムに、男はいう。 自分たちは騙されている。自分たちはクローンだ、と。 唯一の心の支えだった、地球に暮らすはずの最愛の妻も、幼い娘も、すべて埋め込まれた記憶だと知ったとき、彼らが出す答えとは・・・・? 近未来では、ロボットは知能と一緒に感情を持つのだろうか。クローンもまた感情を持ったら、どんなことが起こるのか。こわくて、切なくて、やるせない近未来予想図。 クローンの体は3年で寿命をむかえてしまう。体は出血を繰り返し、高熱に冒されながらも、サムとサムが手を組み出した答えは、少なからず彼の死を無駄にしない建設的なものだった――。 冒頭で真っ白くて清潔だった基地が、サスペンスの緊張感度合いを高めていくうち、だんだん血に染まって汚れていく様が、対照的でインパクト大だった。 そつなく短尺にまとまった演出もすばらしい。 燃料供給会社は韓国資本という設定だったのだろうか。ちらりとハングル文字の映るシーンがあったけど。コンピューター画面に写し出された人物は、さりげなく「アニョンハセヨ」と言っていた。 やるせない、悲壮感。この気持ち、なんとなく『サイレント・ランニング』を思い出す。 監督・原案/ ダンカン・ジョーンズ 脚本/ ネイサン・パーカー 撮影/ ゲイリー・ショウ 音楽/ クリント・マンセル 出演/ サム・ロックウェル ドミニク・マケリゴット ケヴィン・スペイシー(声の出演) (カラー/97min) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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