ヒッチコックのハリウッドにおける第二作目。
第二次世界大戦勃発の危機に揺らぐヨーロッパの取材に派遣された、破天荒な米国人記者ジョーン
ズ(マクリー)。
ロンドンに着いた彼は、戦争を回避する要、オランダの元老ヴァン・メアと知り合うが、その直
後、メアは何者かに暗殺されてしまう。
犯人を追いかけたジョーンズは、暗殺されたのが替え玉であり、本人はナチの組織によって誘
拐されていたことを突き止めるのだったが・・・・自身も政治的陰謀に巻き込まれていく――。
絵になる構図やシチュエーションから、『第三の男』を思い出し観ていたけれど、『海外特派
員』のほうが9年も前に作られているのだ。
犯人の隠れ家となった風車小屋での場面や、ラストの飛行機墜落シーンなど、1940年製作とは
思えないスリルがあった。
型破りのジョーンズが恋に落ちるのは、平和運動家フィッシャーの娘キャロル。
ヴァン・メアの歓迎パーティーで出会った二人は、それぞれの立場を越えて、すぐに愛しあうようにな
るのだが。。なにを隠そう、暗殺事件の黒幕は彼女の父親フィッシャーなのだった。
ふたりが下す決断と、愛の行方からも、目が離せない。
二転三転するストーリー展開と、名シーンの連続がとにかく良かった。
反ナチ、反戦映画であるとともに、スパイ・サスペンスものとして、娯楽作品としても楽しめる。
監督 アルフレッド・ヒッチコック
脚本 チャールズ・ベネット ジョーン・ハリソン
音楽 アルフレッド・ニューマン
出演 ジョエル・マクリー ラレイン・デイ ジョージ・サンダース
(モノクロ/120分)