大怪我または大病をして身体の自由を失ったら、、、自分ははたして生きていけるだろうか
と思うことがある。
実在した人物ジャン=ドミニク・ボビーは、42歳という働き盛り、突然の脳梗塞で身体の自由
を奪われ“ロックト・イン・シンドローム(閉じ込め症候群)”になってしまった。
雑誌ELLEの名編集長だったジャンは、華やかな世界に生きる、挫折を知らない人生を送っ
てきた。そんな彼に訪れた、突然の悪夢・・・・。
全身の中で、唯一自由に動かせる左目を使い、20万回の瞬きで自伝を綴った奇跡は、観る
ものに感動を与え、健康に生きていられることの尊さに改めて気づかせてくれる。
つらい闘病生活、瞬きのもどかしさ。そういった重苦しさから救ってくれるように、瑞々しい思い
出の記憶と、イマジネーション世界が交互にやってきた。
どこか寓話チックであるけれども、ユーモアを交えながら、人間の持つ意志の強さを真摯に見
つめた良作だった。
ジャンは、幸せな最期を迎えただろうか、、、 いままで顧みることのなかった家族と過ごしたさ
いごの日々は、病に倒れなければありえなかったことを思えば。
ジャンを演じたマチュー・アマルリックの演技がいい。
そのほかのキャスティングでは、善き元妻役に『赤い航路』のエマニュエル・セニエ。医療チー
ムのなかには『愛されるために、ここにいる』のパトリック・シェネとアンヌ・コンシニもいた。
監督/ ジュリアン・シュナーベル
原作/ ジャン=ドミニク・ボビー 『潜水服は蝶の夢を見る』
脚本/ ロナルド・ハーウッド
音楽/ ポール・カンテロン
出演/ マチュー・アマルリック エマニュエル・セニエ マリ=ジョゼ・クローズ
(カラー/112min/フランス=アメリカ)