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テーマ:■ムービー所感■(484)
カテゴリ:映画
1920年代インドのベンガル地方を舞台に、過酷な大地に生きる一家の暮らしを描いた 三部作の、第一作。 父と母、姉と弟オプーの一家四人は、学はあるけれどまともな職に就けない父のために、 極貧の生活を強いられていた。ボロボロの家、居候の伯母さん、食べるものさえままなら ない生活のなかにあるのは、『ブッダ』ではないけれど、生・老・病・死の苦しみ、そのも の。 切実な苦悩がインドの厳しくも美しい自然環境のなかで、独特な死生観と宗教観を生 むことに、強く納得させられる作品だ。 過酷な日々にも、健気に手をとりあって生きているオプー姉弟の、愛情と生命力あふれた 無邪気な表情を見ていると、胸がじーんとしてきた。普段、自分が大切なものをいっぱい 見過ごして暮らしていることに気づく瞬間。
中盤、かねてから身体の弱かった姉が、病に倒れてしまう件が悲しい。とつぜんのスコー ルに濡れながら、楽しげに踊った翌日から、高熱にうなされる日が続く。悲嘆に暮れる母 とオプー。出稼ぎに行ったまま戻らない父親が、ようやく土産を抱えて戻った時には、時す でに遅く、姉は死んでしまった後だった・・・。 深い悲しみに打ちひしがれるは父親は、ある決意をする。生まれ育ったベンガルを捨て、 ヴァーラーナスィーへ旅立つと。もっと良い生活が待っていると信じて――。
『死ぬまでに観たい映画1001本』にも選ばれている本作。モノクロが美しいたくさんの名 シーンと、正統派の感動が味わえる傑作だった。
原作/ ビブーティ・ブーション・バナージ 撮影/ スプラタ・ミットラ 音楽/ ラヴィ・シャンカール 出演/ サビル・バナルジー カヌ・バナルジー コルナ・バナルジー
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Last updated
2013.12.15 10:34:17
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