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テーマ:■ムービー所感■(484)
カテゴリ:アメリカ映画
ていることの素晴らしさを謳い、絶妙な音楽とユーモアセンスで、映画の醍醐味をいつも 実感させてくれる、ボイル作品は大好きだ。 化。彼は庭のように慣れ親しんだブルー・ジョン・キャニオンで、この日、アクシデントに遭 遇する。大きな落石に右腕を挟まれ、谷底で身動きがとれなくなってしまったのだ。 荒野のど真ん中、誰にも行く先を告げていない絶望的な状況で、いかにして彼は精神と肉 体の限界から抜け出し生還したのか・・・臨場感いっぱいに描き出す――。
ジェームズ・フランコ演じるアーロンが魅力的である、その効果も大きいけれど、回想シー ン以外ほぼ一人芝居となる90分、飽きることなくハラハラドキドキの連続だ。 自然を満喫する人生を謳歌していたアーロンが、窮地に陥ってはじめて後悔するのは、い つも自分を支えてくれていた身近な家族や友人を、なおざりにしてきたことだった。渓谷へ 来ることを誰にも告げていない彼を、探してくれる人はひとりもいない。
谷底で思い出すのは、家族や友人たちとの楽しかった日々。水が底をつき、ついに幻覚 をみるようになっても、現れるのは大切な人たちとの、かけがえなかった日々の場面ばか りだ。 人間は生かされている、そうひしと感じて、胸があつくなってくる。平凡な日常はずっと続 いていく気がするけれど、それはたんなる思いあがりで、いついかなる場面で、当たり前 でなくなる日がやってくるかわからない。 本来、人生って、そんな危うさのなかで、なんとかバランスを取りながら存在する、ただそ れだけのものなのだろう。 だからこそ、いまを大切に、人生を謳歌しよう、生きているって素晴らしい! そんなふうに ぐいぐい導いていくボイル作品には、素直に心打たれてしまう。
それでいて、説教くささの欠片もないことが、この監督の最大の魅力だ。 いつ谷底に落ちるのか、いったいどうやって腕を・・・・? 当然くるべき決断の場面へと突き 進む間じゅう観客はびくびくしてしまう、息つく暇のないエンタテイメント作品となっている。
ろ。山登りするなら、心得ておこう。そして家族にちゃんと行き先を告げていくことも、忘れ ないようにしなければ。 † † † 監督/ ダニー・ボイル (カラー/94min/アメリカ=イギリス) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2011.06.27 19:24:03
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