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テーマ:■ムービー所感■(484)
カテゴリ:フランス映画
母親の遺産を相続する条件である聖地巡礼の 旅に渋々向かった、仲の悪い3兄弟、長男ピエー ル、長女クララ、次男クロード。 彼らと2ヵ月の長旅を共にするのは、ガイドと老若 男女の面々たち。みんなそれぞれに悩みを抱えて いた。 美しい自然をバックにひたすら歩き続けること、フラ ンスのル・ピュイからスペインの西の果て、キリスト 教の聖地サンティアゴ・デ・コンポステーラ(サン・ ジャック)まで。距離にして1500km。信仰心のまる でなかった兄弟の、心の再生を描いていく――。
生きていると背負いがちな荷物も、捨ててしまえば楽になると、旅は教えてくれる。 溢れんばかりの文明道具、どこにいても繋がってしまう携帯電話・・・そんなもの持たずと も、ひとはじゅうぶん幸せ!と思える幸せ。 出たくなってしまった。彼らのようにバッグパックを背負って、トレッキングシューズを履い て、長い長い旅に出たい。 日常から離れることは、どんなに物の見かたや考え方を新しくしてくれることだろう。
9人みんな魅力的な人物なので、かんたんに解説すると。 まず、叔父のプレゼントで気楽に参加したハイティーンの女の子、エルザとカミーユ。その カミーユを追って参加した、アラブ系移民の青年サイッド、彼に騙されイスラムのメッカへ 行けると信じて来た従兄弟のラムジィ、スキンヘッドにターバンを巻いたワケあり女性マチ ルド。そしてベテランガイドのギイ。 ここに3兄弟が加わっての旅となる。 ピエールとクララは常に怒鳴り合いのケンカばかりしている偏屈者、反してのんびりでアル 中のクロードは、この旅に、なんと手ぶらで参加するツワモノ! 爽やかな感動が待っている。 旅の間、識字障害のあるラムジィに、教師であるクララが文字を教える件が、私的にはと ても好きだった。
サン・ジャックへの道――これは日本でいうところの、四国八十八か所、お遍路さん。 遍路の行程は1200~1400kmだそうで、距離も似ているのだった。 きっとどちらも、信仰心に関係なく、心洗われる神秘的な体験なのだろうと、興味だけは尽 きない。
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監督・脚本/ コリーヌ・セロー 音楽/ ユーグ・ル・バール マドレーヌ・ベッソン 出演/ ミュリエル・ロバン アルチュス・ドゥ・パンゲルン ジャン=ピエール・ダルッサン (カラー/112min)
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