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テーマ:■ムービー所感■(484)
カテゴリ:映画
『ある愛の風景』『アフター・ウェディング』の女流監督スザンネ・ビアによる最新作。本年度の アカデミー賞外国語映画賞を受賞しています。 デンマークで母親と暮らす少年エリアスは、学校で執拗なイジメにあっている。両親は別居中、 医師である父アントンはアフリカの難民キャンプでボランティア活動に奮闘する日々だ。 ある日、転校生のクリスチャンがエリアスを助け、ふたりは急速に仲良くなる。おなじ頃、アン トンは一時帰宅し、息子たちとクリスチャンを連れて遊びに出た際、町の無法者にいきなり殴 られるハプニングにあう。その時、無抵抗を貫いたアントンの姿に煮え切らないものを抱いた クリスチャンは、エリアスを巻きこみ男を懲らしめる計画を密かに企てるのだが・・・・・。
舞台はデンマーク郊外とアフリカの難民キャンプ。まったくかけ離れた世界に暴力は変わらず に存在している。 暴力によって暴力は解決できない。それを痛いほどわかっているアントンが子どもたちに教え てやれることは大きい。けれどもそんな彼さえ、アフリカの土地で極悪人を前に見捨てるという 行為に及んでしまうやるせなさ、不条理、、。 2組の父子にとっても、アフリカの難民にとっても、イジメも大人も子どもも、抱えた問題に大き いも小さいもない。わずかなムダさえないドラマのなかに、監督が訴えたい、未来を生きる子ど もたちに与えたい暴力のない報復のない世界への希望を垣間見ることができる、すばらしい 作品だった。この監督、ほんとうにすごい。 しかも、ビア監督の描く男たちはじつにステキだ。クリスチャンの未熟な父親を演じたウルリク・ トムセンは『ある愛の風景』『ザ・バンク 堕ちた巨像』が記憶にあたらしい。アントン役のミカエ ル・パーシュブラントは初めてみる俳優さんだったけれど、ものすごくいい存在感を出していた。 † 監督/ スサンネ・ビア 原案/ スサンネ・ビア アナス・トマス・イェンセン 脚本/ アナス・トマス・イェンセン 出演/ ミカエル・パーシュブラント ウルリク・トムセン (カラー/118min/デンマーク=スウェーデン合作)
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Last updated
2016.07.17 08:23:24
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