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行きかふ人も又

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2011.11.28
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カテゴリ:多国合作映画
  実写と人形アニメーションを融合させて描く、マッド・サイエンティストの復讐劇。
科学者のドロスは、美しい歌姫マルヴィーナに魅せられ、本番中の舞台から歌姫を連れ去る。共演者で恋人のアドルフォは失意に暮れ、孤島の屋敷に幽閉された歌姫はショックのあまりこころ病んでしまうのだった。
そんなある日、ドロス博士によって屋敷に招かれたピアノ調律師のフェリスベルトは、ピアノの代わりに、奇妙な自動機械演奏人形の調律を依頼される――。

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詩的で美しいとはいえ、ストーリーは薄い味。人形アニメーションの大家、ヤン・シュヴァンクマイエルのような、キッチュでグロテスクな、狂気と幻想の入り混じった世界観はなく、ただただ美しい。
多少グロテスクさはあるものの、アニメーションはこくわずかなで物足りないし、摩訶不思議な背景画面などはカレル・ゼマンに似ているけれど、愛すべきおもちゃ箱の世界はここにはなくて、妙に写実的なのだった。
クエイ兄弟監督は『ストリート・オブ・クロコダイル』のころが、私の嗜好にあっているのかもしれない。

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調律師のフェリスベルトは、奇妙な演奏人形の調律に戸惑いながらも機械仕掛けの人形に魅せられていく。同じころ、海辺にたたずむマルヴィーナに出会い、ふたりは一目見て心惹かれていく。それもそのはず、調律師は恋人アドルフォに瓜ふたつなのだった。(セザール・サラシュによる二役)
科学者が企てたのは屋敷で催される危険なオペラ演奏会。島に招かれた客人のなかには、あの失意の恋人アドルフォの姿があり、調律師と歌姫の三人は、ガラスを隔てた人形たちの宵に導かれるように引き合わされるのだが、、。

科学者の狂気は炸裂せず、自動演奏マシーンの全貌さえわからず、娼婦も人形も思わせぶりなビジュアルへのこだわりに留まって、一度ならずも二度眠ってしまうほど、引き込まれる要素は少なかった。映像ありきだとしても、ちゃんとした物語があればもっとよかったのに。
歌姫の美貌など、それだけでも絵になってしまうほど奇麗で、だただ非常に美しい作品だった。
きっとシュヴァンクマイエル氏ならマシーンの仕組みを誤魔化さずに壮観に演出するだろうと、、つい要らない想像をしてしまった。



 監督  ティモシー・クエイ  スティーヴン・クエイ
 製作総指揮  テリー・ギリアム  ポール・トライビッツ
 音楽  トレヴァー・ダンカン  クリストファー・スラスキー
 出演  アミラ・カサール  ゴットフリード・ジョン  アサンプタ・セルナ  セザール・サラシュ

 (99min/イギリス=ドイツ=フランス)





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Last updated  2011.12.02 08:12:41
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