八百万の旅人

菩提心について

密教と顕教の違いはどの視点でみるかの違いというのがある。顕教は現実世間が出発点であります。密教は仏世界が出発点です。つまりイメージで申し上げますと顕教は地上からジャンプして着地する感覚。地面が基準なんです。密教は達成時点が基準なのでジャンプした最高位地点が基準です。その高度はジャンプする前からあったのであり、様々な人間がジャンプしてその地点に現れる。また高く飛べない人間も低空位で空中に展開しているのです。究極には地上を歩いている人間も「高度0を飛行中」と考えます。菩提心も同じなんですね。凡夫にいきなり菩提心が芽生えるのではなくて、高度0を飛行中の菩提心があるんです。この菩提心というのは様々な高度を自在に飛び回ります。だから初めから菩提心は持っていたことに気付くだけなんです。菩提心は仏の中にもあるし、凡夫の中にもあります。「勝義の菩提心」も「世俗の菩提心」も同一です。別の存在ではありません。そのことが理解できたら初めて「三摩地の菩提心」が成り立つのだと思います。

『本好きの下剋上』が面白い！

​本好きの下剋上　第一部「本がないなら作ればいい！」（1） 司書になるためには手段を選んでいられません [ 香月美夜 ]​小説が原作です。漫画化、アニメ化もされています。私は小説もアニメも見ていません。漫画のみです。でも単純なファンタジーではなくて（おきまりの台詞ですが）、紙作り・印刷技術・本作り・パン作りを異世界で実践してゆくお話です。私のまったく知らない知識が出てくるので勉強になります。この世界の文明の知識を持って異世界に生まれ変わっていますが、現地でスーパースターかというとそうではなくて病気がちですぐ寝込んでしまいます。或いは死にかける。だから周りの協力を得ながらチマチマと進んでゆきます。でも階級社会の中でチマチマと頭角を現していくんですね。とっても面白いのでお勧めです。アニメは見ていませんが、少しお手伝いはしたことがあります。関わったことのある作品だから「どれ漫画でも読んでみようか」となって読み始めたんですがとても面白かったんですね、これが。

塔と金堂の組み合わせ。建築の美しさ。

梵我一如か、分離か。

​​ユング心理学と仏教の目指すところは恐らく異なる。でも似通っているところはあるし、ユング心理学はチベット仏教の曼荼羅を高く評価した。また心理学そのものにも大変奥深いものがある。仏教及びインド哲学全体は寂滅・止滅・解脱を求める。人生は迷いの次元にあり、一己の自己に還ることを究極としているのである。しかしユング心理学は意識と無意識の合一化を以って自己（個性化）の完成とする。ユング心理学でいう自己のイメージはどうやら「全体性」のようだ。仏教の感覚でユング心理学の本を読むと頭がこんがらがりますので注意。ただユング心理学の個性化に大変似ている部分がチベット仏教にもあったりします。心を性別で分化しますと、意識が男性、無意識が女性だと思われます。この二つを合体させるのが両者の共通点ですが、何故かといいますと「意識」は判断する器官で「無意識」は生成する器官なのです。チベット仏教の双入不二タントラでは「父タントラ」である方便（手段）と、「母タントラ」である（般若の）智慧を合体させるのです。何故般若の智慧が「母」なのかというと、諸仏を出生するのが「空の智慧」だからです。般若とは「空の智慧」の意です。つまり胎蔵生曼荼羅の中心ですね。そして方便である「父」は胎蔵生曼荼羅の外側ということになる。次に金剛界曼荼羅で説明してみましょう。般若の智慧に当たるのは金剛界四仏の一つ、自性身であるアシュク如来です。これが一番純粋な空を指します。次に方便（手段）を現すのが金剛界四仏の一つ、応化身である不空成就如来です。まあつまり釈迦如来のことです。現実世界で直接的に空の智慧を示す存在です。この二つの両極端を合体させて中和しようという魂胆ですかね。日本仏教では「大日如来（マハービルシャナ）」と「毘盧遮那（ビルシャナ）」を分けて考えていますが、チベットでは二つを恐らく同体として扱っていると思います。そしてチベットでは中観派の影響が物凄く強い。そこから脱出するのにビルシャナよりも更に深い空の真理として本初仏を作り出している。（天台一乗の発展形みたい。最澄の目指した円密一致の様な）。漢語翻訳者に感謝ですね。おかげで双入不二タントラレベルの大日如来を日本仏教は元から享受することができた。日本だと「ビルシャナ」に空のニュアンスが強くでてしまいます。実際チベットでは空のニュアンスが強いと思う。しかし大日如来は「マハー・ビルシャナ」なので空から発せられた智慧のニュアンスも含んでいると思う。だから日本ではわざわざ二仏を合体させる必要がない。チベットでは光りの三原色の様に、四仏を合わせると白色の「空」になってしまうようなものです。日本だと大日如来は「空の人格化」と表現されることはありますが、それは正確ではありません。空が現実に働きかける存在なのです。だから空から発し、空とは異なる智慧を世界全体に説法しているんです。またこの理論が誤りであったとしても、胎蔵生曼荼羅が女性的で、金剛界曼荼羅が男性的で双入不二タントラの役割を果たしています。さて。それで密教は梵我一如的な哲学を備えているんですよ。難しく語りましたが、つまるところ「外界と内界の合一」なんですよ。すごく単純。で、これは寂滅・止滅・解脱とはまた異なるものでもあるんです。​

素人が自主制作アニメを作るとしたら2

料金面をまとめてみます。キャラデザ　　7万円くらい？要相談LO1原　　　1cut/2000～2500円LO作監　　　1cut/1800円背景会社　1cut/5000円くらい2原　　　　1cut/2000円動画　　　1枚/180~200円仕上　　　1枚/170~180円（自動中割で2原動仕代用の場合　　1秒/5000円くらい？）撮影　　　1秒/500円大体こんな感じだと思います。

素人が自主制作アニメを作るとしたら

​​今回は自主製作アニメを作る場合どうすればいいか考えてみます。ただ今の私には無理ですね。アニメーション部門はどうにでもなるけど、音付け・効果音・音楽・声優については専門外だ。というわけで通常はスポンサーが付く訳だけどそこは自前で資金を用意しなければならない。プロデューサー・監督・演出・制作進行・コンテマン・キャラ原案・色指定セル検査は自分で行うこと。これで資金は浮かせられるよね。コンテも自分で切る。そしたら大体の秒数は確定します。次にキャラデザ。（キャラクターデザイン）素人だから上手な絵は描けなくても、イメージ画は描けるはずだ。その他に小物設定。背景設定も同じ。下手でもイメージを形にしたものを用意する。それをあとで専門家に清書してもらえばいい。キャラデザの清書はいくらかな？取り合えず7万くらいなのかな？ 専門家というのは作監（作画監督）クラスですが、中国にも作監は居るんです。そこのところは<海外動仕の会社>に頼むのが良いだろう。だからそこは金次第でどうとでもなる。上がってきたデザインに「もっと背が高くて・・・」とか修正してもらって完成させる。さて、コンテもキャラデザ・基本的な設定が出来てるなら作画（第一原画）に関しても＜海外動仕の会社＞にお願いしましょう。日本人原画マンではないので安く済みます。上がりは日本人には劣りますが、悪くはないです。そして中国人は納期は基本的に守ります。そしてLO（レイアウト）用紙とタイムシート用紙も必要なので、これは他社のものを使用しなければなりません。<海外動仕の会社>に相談してみましょう。余ってる用紙ならたぶんどこの会社にもあります。中国へ作画発注する前には打ち合わせが必要なのですが、中国人には日本語が理解できませんので、赤ペンでコンテに説明書きを加えましょう。<場所>と<人物>は最低でも分かるように。指示は現場の中国人が中国語に翻訳してくれます。（それを1原さんと作監さんに渡します）1cut/1800円は必要です。難しいシーンなら、これの2倍3倍の料金は必要です。はい。上がってきた第一原画を演出がチェックしますよね。これは自分でチェックすること。振付け、演技に修正指示を出す。あまりにも問題のあるシーンならリテーク（やり直し指示）ですが、少々の改善点なら作監に直してもらいましょう。作監は勿論中国人です。最初の段階から<海外動仕の会社>にお願いしておくんです。LO（レイアウト）作監は1cut/2000円は必要です。2500円くらいでもいいかもしれません。言い忘れていましたが、背景会社にも背景を発注しなければなりません。打ち合わせも必要です。コンテも渡しておきましょう。背景会社は自分で探しましょう。イメージに合った作品のエンドクレジットに背景会社のテロップが出てきます。1cut/5000円くらい必要でしょう。素人作品なので、総作監は必要ありませんよね。だからこれでLO（レイアウト）は完成です。完成したLO用紙（原図）のスキャンデータを背景会社に渡してください。LO一式でも構いません。その原図に合わせて背景（BG）が上がってきます。発注してから2～3週間後くらいに。次に原画作業に入ります。これも中国人にお願いしますので、<海外動仕の会社>に作業をお願いしましょう。中国人の作業なので、ただの清書作業扱いの作業となります。コンテ指示なんか見ずにただの清書描きです。この場合2原（第二原画）と呼びます。​2原や通常の原画作業は1cut/2000円必要です。難しいシーンならこれの2倍3倍の料金が必要です。2原作業が終わったらやっと動画・仕上げ作業です。略して動仕作業。これが海外動仕作業会社の本当の仕事ね。ですが2原作業が終わって日本にデータを戻してもらっても素人にはチェックしようがありませんよね？ですから最初から2原動仕まとめて発注しちゃえばいいんです。ちなみに値段は、動画1枚/180円。仕上1枚/170円は最低必要でしょうね。合計350円といったところですが、本当は370円は必要かもしれない。これらの作業は手描きです。だからシャープな絵でヌルヌル動くことはないでしょう。ところどころ崩れた顔やプロポーションになるかもしれません。なので個人的には自動中割を扱っている会社にお願いするのが良いと思います。しかし動仕会社で自動中割を取り入れてる会社は少ないです。ですが自動中割なのにダンスシーンでも手描きの様な味わい深い絵になり、キャラ崩れが起こりません。則ちLO作監の絵がそのまま動きます！その場合値段は2原動仕作業の値段と考えておいてください。さて、忘れていましたが、色彩設計と色指定さんがいないんですよね・・・。これをどう乗り越えるかですが、自分でキャラデザにPC上で色を塗ってください。昼色と夜色と夕景色の3パターンは最低必要です。グラデーションはない方が良いでしょう。そのデータを中国側に渡して「このデータから色を拾ってください」と伝えることですね。中国側が色を塗る為には香盤表が必要です。どのカットはどの色で塗るのかという指示表のようなものです。動仕作業が終わったら普通は色指定さんがセル検査を行います。しかし今回の場合素人のアニメ作りなので色指定さんとか雇えないですよね。だから自分で上がってきたデータをチェックする。変なところがあれば中国に修正するように指示を出す。これしかないですよね。そして撮影会社に（paintとtraceのデータ）と（背景上がりデータ）を送る。（カット袋）も必要です。背景会社とも打ち合わせは必要です。T光（光ってる部分）指示とか特殊効果とが2Dデジタルの部分とかの指示を出しましょう。撮影会社には1秒/500円は必要だと思います。普通のTVアニメの場合だと撮影さん上がりは1カットごとの動画で上がってきます。そのあとで編集スタジオに持ち込んで尺調整します。ですが素人のアニメーション制作の場合そこまでする必要はないと思います。今の時代たぶん撮影さんで各カット全て繋いでもらえるのではないでしょうか？確認は必要ですけど。おそらくすぐyoutubeへUPできる素材に仕上げてくれる気がします。これでアニメーションは完成とします。足りないのは音響ですね。ネットから無料効果音探してきましょう。音楽も無料音楽を探してきましょう。アフレコは自分や友人とで声を当てましょうか。演劇やってる友人とかいたら良いかもですね。​

密教的自己啓発3

何故私が密教の成仏法と、現代の「成功法則」なるものの実践方法を結び付けているのかといいますと、両者には似通った部分があるからですね。一つは成仏を目指し、一つは社会的成功を説きます。まず『菩提心論』から「もし瑜伽の中の諸菩薩の身を成ぜんと願ふ者をまた発菩提心と名づく。何とならば、次いでたる諸尊みな大毘盧遮那仏身に同なり。人の名官を貪ずる者は、名官を求むる心を発して、名官を理むる行を修す、もし財宝を貪ずる者は、財宝を求むる心を発して、財物を経営する行を作すが如し。凡そ人の善と悪とをなさんと欲するには、みな先ずその心を標し、而して後にその志を成ず。所以に菩提を求むる者は、菩提心を発して菩提の行を修す。」それまでの私は伝統仏教的に「欲望・願望は持たない」考え方だったんです。でもあるとき自己啓発系の本を読み、その後に菩提心論を再読して「ああ同じだ」と感じたところがああったのです。伝統仏教では「望んだからといって手に入るものではないんだよ」という考え方と考えていました。しかし菩提心論では「まず望み、その後に得られる」という考え方なんです。勿論望んだからといって必ず叶えられるものではありませんが、叶えられることは多くなります。運命を受け入れる的なものではなく、積極的に自分の人生を構築してゆきます。生の満足を得るには欲は必要不可欠です。定年退職して、やりがいを失った人はすぐボケてしまいます。そしてすぐ死にます。やりがいを持ち、欲と満足を得ている人は健康で長生きします。老人ホームではそのようなことをテーマに介護していますが、これは若者でも同じ。自分の夢に向けて作戦を練り、情報を得て、将来を思い描き、実践してゆくのです。

密教的自己啓発２

空を目指すというのは止滅の道です。心の機能を無くしてゆく道とでもいいましょうか、対象への欲を無くしてゆくのです。これは仏教もそうですし、仏教以外のインド哲学でも同じです。「人生なんて虚しいものだよ」とか悟ったようなことを言う人がいますが、そんな感じです。お釈迦様の仏教もそんな感じですね。極端な言い方をしますとこんな感じ。「外の世界に希望なんて持つな。そんなことよりも移り変わる自分の心を観察してみなさい。個々の物に執着するのが無意味であることが分かるでしょう。そしたら心そのものも捨て去ることができるでしょう」間違っているところもあるかもしれませんが、大体こんな感じです。彼らにとって「無」の地点へ還るのが究極の安らぎだったのだと思います。そんな人生哲学と現代社会での「成功」というものは正反対にあると思います。私は19歳頃にお釈迦についての本を読んで少し鬱になりました。「社会的願望を持つな」みたいな感じですからね。十代二十代の人にお釈迦様の哲学はお勧めしないんです。お釈迦様の時代のインドは生きることが大変な時代だったのだと思います。欲の対象としての世間に大したものが無かったのかもしれません。そして社会的に成し遂げられるものも政治的上位者であったり多少の金銭を得るとかです。政治と金ですね。そして大多数は階級社会で生活している。「そんなものを求めて何になる？」ということですね。だからインドの哲学は「しょうもないものは捨てなさい」ということになるのでしょう。しかしインドでも経済が発展してくると、「世の中も捨てたもんじゃないよな」という考えも生まれてくるようになります。そこで「人生の役に立つ知識ってものもあるよな」「知識があれば多少豊かに幸せに暮らせるようになるよな」「法律の整備が進めば国がよくまとまるよな」「芸術家を集めれば国の中が華やかになるよな」こんな風になってきます。現代の学校教育もそうですね。人生の役に立つ為の知識を教えてくれています。そして仏教でも「空」を目指すばかりが仏教ではないという考えも興ってきます。密教は現世利益を齎す仏教でもありました。

密教的自己啓発

密教の成仏方法は簡単に言いますと「三密」です。仏様と同じ身体的行為・言語行為・精神的行為を行うのです。仏様というのはこの場合、大日如来です。大日如来とは宇宙の全て。全体から極小まで全てに存在します。「在る」というよりも「活動している」動詞的存在なのです。活動している存在。それが大日如来。ですから動物から植物、鉱物、水、火に至るまですべてが大日如来の活動です。私たちも本来大日如来なのです。私たちは宇宙全体と繋がっています。その自覚を持つのと、その活動をトレースして同一化することが密教の修行なのだと思います。この身体・言語・精神の活動を三密と呼びます。仏様の三密と私たち人間の三密を一体化することで仏になる。仏であると自覚する。仏の行為を仏として為す。宇宙全体の行為を自覚するには「空」の覚りを得た方が良いのだと思います。一度無心になってそこから「存在」というものを正確に捉える。（まあ、あくまで私の想像ですが・・・）それでこの三密は現代の自己啓発とか成功法則にそっくりだなあと思いました。身体的行為：まず行動しましょう。言語行為：アファメーション精神行為：イメージしましょう。これらに「将来」という単語を加えてみましょうか。社長になりたいなら、まず社長としての行動を平社員の時から行っておくことです。これが本当の準備ですね。アファメーションも「私は社長である」と毎朝毎晩唱えることです。イメージも社長である自分とその行動をイメージするのです。これらを続けてゆくことで、いつの間にか社長になっていたりします。（らしいです）マラソンで優勝したいなら、実際に走ることは勿論ですが、「私は優勝している」「私は優勝した」と毎日唱え、優勝した瞬間をいつもイメージするのです。ところが「〇〇になりたい」と唱えていると夢は叶いません。「なりたい」といいうことはまだ叶っていないということだからです。ではなく叶った瞬間をイメージして口に出すのです。「優勝してとっても嬉しい！」と。だから仏教でも同じですね。「いつか仏になるんだ！」と言っていてら、いつまで経っても成仏できません。「私は仏になったんだ！」「さあこれから衆生を救済するぞ！」と唱えていたらもう仏様です。そこから仏の道がスタートします。具体的にはこれが三密の修行でしょうか。未来・将来を現在のこととしてイメージするんですね。

シャンカラの哲学と密教

シャンカラの不二一元論の凄いところは「自己（プルシャ）」）の発見ですね。対象は妄想として一切認めない。そしてその対極にある自己のみは肯定されるという哲学。刀が己自身を斬れない様に・・・。自己も自分自身を観ることができないのです。客観的「自己」は存在しない。自己とは主観自体なのであります。ヤージュニャヴァルキアが、「自己は〇〇ではない」というような否定を用いてでしか語れないとしたのは正しい。客観的存在ではないので「自己とは〇〇である」と語ることはできないのだ。仏教が「果分不可説」「言語道断」という言葉で、真理は言葉にできないものとしたのと同じ理屈だ。だから瞑想が大事とされたのでしょう。そして自己とは世界から隔絶された存在です。だから離合集散したりしないんです。不二一元論では輪廻すら幻想と観ます。環境世界から構成された存在ではないんですね。ただ観るだけの存在です。実体は無いと考えた方がよさそうですね。しかしながら密教では果分可説を説きます。真理は言葉で表現できるとする考えです。それは（「仏の身体＝仏の言語＝仏の心」×活動）と観るからです。これこそ仏教ならではの考え方なのですが、「本体は無い」という考え方なんですね。能所（主観と客観）の区別を設けない考え方です。もう一つ密教の特殊な点は、未来に向けて活動することです。密教では行動を重視します。（少なくとも哲学的には）それは良き未来に向けてです。修行者個人にとっては成仏するという目的を持ちます。その為に具体的に仏の行為を真似します。身体は印を組み、口に真言を唱え、心に仏をイメージします。これらを現代の言葉に置き換えれば、1、行動する。2、アファメーション。​​3、イメージする。​​これらの行為によって、願望を実現させるのです。

胎蔵生曼荼羅とユング心理学2

曼荼羅の真ん中が仏教で謂う「空」に近い概念とすると、外側に往くに従って方便の度合いが増す。真ん中は空の一言で済んだはずのものが、外側の世間に触れてゆくと、複雑度を増すからだ。曼荼羅の外側とは「彼と此れは別」という考え方。内側は「彼と此れは同一」とするものです。シャンカラの不二一元論もこの解釈で良いだろう。究極の存在は自己のみ。見える世界は全て妄想と彼は考える。じゃあその妄想とは何かというと、彼と此れは別という考え方で、識（心）の世界なんですね。心の投影された世界。だからこの妄想というものは我々の心そのものと言っていいのかもしれません。そして「自己（プルシャ）」についてですが、この究極の真我なんですが、「考えたり」はしないですよね。ということは、この自己は時間に対してのみ働いているのではないか？それが私の予想です。個々の分別されたものに自己が興味を示すとは思えない。自己が見ているのは大円鏡智の鏡のみです。世界を一枚の鏡として見ている。それが自己。鏡に映る映像には興味を示していない。鏡の上の映像にとらわれているのが自我ですよね。自己ではないです。自己とは能動そのものですからね。作為すら無いのかもしれない。曼荼羅を一枚の円い鏡として見てみよう。曼荼羅と向き合うということは自分の内面と向き合うということ。

胎蔵生曼荼羅とユング心理学

瞑想法には色々あって、自分もよく分からないんですが、とりあえず三摩地法でいいますと、対象と一体になるものらしい。自分がそれ自体となるということですね。これを悟りと定義する。では彼と此れが別物である場合はどうか？ここに妄分別が現れてくるんですね。心理学でいう「投影」が現れ出てきます。「幽霊の正体見たり枯れ尾花」という言葉がありますが、幽霊は自分の心を投影したものなんですね。実際に「それ自体」に近づいて行く行為が瞑想であるかもしれませんね。そして、近づかづに「眺める」のが悟り以前の段階。仏教ではこの部分が「妄」であるが故に軽んずる傾向があると思うのですが、これがなかなかに興味深い。例えば日本庭園は「眺める」性質が目立つの庭園です。しかし、中国式は回遊式庭園がメインなんです。「そこ」に人が乗り込んでいっちゃうんですね。（回遊式は日本にも当然ありますが、傾向の問題ね）『天空の城ラピュタ』の結末はラピュタが人の手の届かない宇宙へ去ってゆくものでしたが、人が手を加えないことで成り立つ神秘もあるのです。神道でもそうで、「我」以外の遠方にあるものほど、神秘度を増すのです。他者を神と観るのですね。そして神域には人が立ち入ってはならない。ユング心理学では、モノの奥に「元型」を観ます。「元型」には正しい形というものはありません。ただ「こんなイメージ」の究極のものなんですね。「母性のイメージ」だったり、「赤ん坊のイメージ」だったり、「老賢人のイメージ」だったり、「乙女のイメージ」だったり、「父のイメージ」だったり、老婆太母のイメージだったり。そういったものが古今東西の神話には有る訳です。そしてどの地域でも共通したイメージのキャラクターが出てくるのです。例えばタロットカードとか、神話や昔話、伝説などで。アニメでもそうです。キャラクターには形や姿があり、名前もありますが、元型には定まった形は無いのです。しかしそれらは心が「作り出したもの」というより、「元から備わっていたもの」と観るのです。華厳経の「如来名号品」のように（如来にはいくつもの名前がある）というのと同じ解釈ですね。名前や姿は様々に持ち合わせていますが、元型はそれ自体ではなく究極の存在です。だから「神とは何か」と問われて「それは心が生み出したものである」というのは簡単ですが、「人間が作り出した」と思っているだけかもしれないんですね。ユング心理学では元型とか普遍的無意識は普遍なものと考えているようなのです。普遍なるものが人間を経由して現れ出たものかもしれないのです。だから「人間の心」というものは、本当に「人間の」ものなのかどうか、問い直す必要があります。しかし、元型は心の物凄く深い部分に住んでいるのは間違いない。そして元型と元型との間の境界が定まっていないのです。だから元型の数もはっきりしない。「影」の一キャラクターで表して構わない程です。人間だって動物ですから群れのボスを見分ける能力だったり母親を見分ける能力は先天的に持ち合わせていることでしょう。生物学的にはその様に説明はできるものの、心理学の分野ではそんな化学では説明できないことが往々にして起こるものなのです。それは兎も角、神は心に住む。それはそれなりに奥深い。これは胎蔵生曼荼羅の外金剛部院ではないでしょうか？そこに元型が潜んでいる。そして真ん中の中台八葉院は悟りの境界なのです。「自他一体」ですね。外に往くほど、他者と分離することになる。対象の神度が増すんですね。しかし外金剛部院のぐるり一周は全体として「心そのもの」、そして自心を明らかにしていることになる。ならば外周縁は月輪の如く円くしておくのが正しいのかもしれない。

既にある。元々ある。

密教は顕教（通常の大小乗仏教）のように空の次元に引き下ろすことを究極とは考えていないと思います。寂滅を究極とするかには、疑問点があります。むしろ、寂滅以降何が残るかですかね？たとえ話をしますと、砂漠の中にオアシスがあって、商人が行きかい商店が並んでそれなりの町があった。しかし10年後にそこを訪れてみると、オアシスは枯れて、人も商店も無く、瓦礫の残骸だけがあった。はい。空思想では「セロ地点に還った」と見るでしょうね。これが通常の「有」の否定です。有ったものは本質的に有ではなかった為に、縁が無ければまた元の地点に還ってゆくのです。これが通常の寂滅思想と言っても良いかもしれません。しかし、この世界の本質は無ですか？違いますよね。大乗仏教では「空」を究極という仮面を付けていますが、その実態は如来蔵思想を認めているんですよ。すべての宗派ではありませんが。消えて無くなってないものがありますよね？そもそも、その物語の中に、舞台となった土地はある訳です。砂漠も大地も有りますよね。商人・商店・町・オアシス。これらは本質的に「有」ではなかったから失われた。では何故かつては商人・商店・町・オアシスは存在していたのでしょう？縁が有ったら何故それらのものが生じてきたのでしょう？それは世界の本質の内に、それらの存在可能性が元から有ったからです。存在不可能なものは存在できないのです。存在可能であったということは、それはまさしく世界が（本質が）それらを生み出したということに他なりません。奥円という人間は１００年前は存在しておらず、１００年後も存在していないでしょう。ただ現時点では生存している。龍樹の様に「真理に於いては奥円は存在しない」と言い切ってしまうことは可能です。それも一つの真実ですが、では何故奥円という人間が生じたかというと、世界の本質の内に奥円のような人間が生まれてくる可能性はそもそもあったのです。天地開闢の頃からね。実際に生まれてくるかどうかは分からなくても、生まれてくる可能性のあることは仏様はちゃんと知ってたはずです。何処かに私の命が登録されていたと言ってもいい。ただどの宇宙に生まれるかは確率の問題ですね。そして奥円という人間もいつかは死にます。これももう仏様のカルテにはちゃんと書き込まれていることなんでしょう。それぞれの仏様によって日時年月はバラバラです。どのルートにたどり着くのか、今の私には知ることはできません。しかしながらですよ、奥円が死ぬのが確定しているのなら、既に死んでいるのと同義なんですよ。奥円は既に死んでいる。そのことを理解して、「どう生きるか」というのが仏の道なんだと思います。この宇宙という小説を仏様が読んでいるのかもしれない。漫画雑誌の様にね。繰り返し繰り返し、読んでくれてる。そのたびに登場人物である私に命が吹き込まれてゆくんです。内面の感情が起こってくるんですね。

有無の中道

般若経典で「無」という言葉が多いのはそれ以前の仏教が法有を説く派が多かったから、だと思います。「法有」とは簡単に言うと、法則は実在するでしょ？という派閥です。まあそうでなくとも、日常世間で生きている限りは物は「有る」と考えて生きているでしょう。机は有る。椅子は有る。食べ物もあるし、会社も有る。これらを「無」と言ってしまっては日常生活は成り立ちません。だから世間的生活のことではなくて、「真理の境界に於いては」という前置きがあって、「無」と言っているんです。しかし「無」というのは方便です。本当に伝えたいことは「空」なんです。無と空は全然違うものです。「無」とは、「〇〇が無い」という風に、なにかを否定する場合に使われる言葉です。ですからこの場合は、「法有は無い」と言っているに過ぎないのです。で何を伝えたいかというと「空」という訳です。それで大乗経典は「空」を究極として有を否定してきたのですが、「空」に執着してしまったらどうなるのか？前回の記事で「真空不空」と述べましたよね。（空にも執着してもいけない）という意味です。だからこそ、密教的な思想が出てきたのかもしれません。「有」の再肯定ですね。この場合の「有」は、非有の有です。

真空不空

先ほど「密教は絶対有」という書き方をしましたが、空や仏教に<有>や<無>で論じるのは本来不適当です。ただよく勘違いしてしまうのが「空」は無であるという理解。そうではなくて、空には有の側面もあるし、無の側面もあるということです。以前宇宙の真理とは「仮説」なのだということも書きました。その仮説を「究極の無の存在」と考えるか「究極の有の存在」と捉えるかは人それぞれということです。私の中で空の理解について大変為になると感じた言葉は『菜根譚』にある「真空不空」という言葉です。これさえ理解できれば空とは無ではないことが理解できます。密教の五智の展開という理屈も分かるというものです。ちなみに「真空不空」は禅語です。そして『菜根譚』は中国の書物です。真空不空の意味は（真の空は本当の空ではありませんよ）という意味です。だから空に執着してもいけないし、純粋な空は粗大なものと分離して考えがちですが、そうではなく、そういう雑多なものも含んで空であるということが分かるのです。だから五智全てが空ということにもなりますね。そして大円鏡智が狭義の空。則ち無の側面の空ということになります。確かに狭義の空は沈黙の仏でもあり、最奥に在る存在ではありますが、究極の悟りの段階ではないのです。その悟りを得たあとどうするか、の方が重要なのです。それが密教の五智の働きなんですね。

空の顕現＝諸仏で満たされた世界

龍樹の論はあらゆる存在を空の次元に落とし込む論を展開している。例えば「〇〇は有る」という論を展開した人がいたなら、「（真理の次元では）〇〇は無い」と答えるのが中観派だ。「〇〇は歩く」と言う論を展開してきたら、「〇〇は歩かない」と答える。「～である」という論を展開してきたなら、龍樹は必ず「～ではない」と反論するだろう。空はセロの意味であると前の記事に書きましたが、ゼロには住所が無いと考えてみて下さい。故にゼロはあらゆるものに適応できるのです。あれもこれもなのです。真理とは世界の理である為に、あらゆるものの本性はゼロであると看破します。ベクトル未発の「点」ですね。大乗仏教は常にこの空を究極として論を展開してきました。を唱える者がいたなら、彼は有という対象に執着している病人です。大乗仏教徒はに対してを唱えて、それを慈悲心と考え智慧の応急処置を病人に施してきたのです。から空（ゼロ）へ向かう道筋を説いたのです。しかしながら密教の場合は、例えるならば健康的な日常生活です。即ちを肯定したのです。正確にはは空を含むと考えたのです。有から空を目指すのが大乗仏教。有もまた空であると考えるのが密教です。ですから、身体を持ったままで成仏することが可能と捉えたのです。では「雷光は有る」という論があるとどうなるでしょうか？大乗仏教ならば「雷光は無い」と答えるでしょう。それは諸行無常の故に。では密教ならば？「雷光は有る」と答えるかもしれません。しかしそれは一瞬の現象です。生じて消えてしまう雷光に雷光という本質はないのです。そこをどう「雷光は有る」と述べるのか？それは、「一瞬でも雷光が現れたということは雷光という性質を元来世界は保有していたから」と述べるでしょう。密教は絶対有の思想なのだと思います。密教の世界観では「世界の本質は空」の段階で留まることはありません。そこから更に「世界は諸仏で満たされている」と考えるのです。何もないのではないのです。空も仏ですし、有も仏なのです。それはゼロの現象への顕現でもあるのです。

浄土の構成要素

龍樹の論は、空の「無」の側面について述べたものだった。基体（自性・本体・ダルミン）は無いという理論ね。そこからは「でも<無い>は有る」という仏教理論の変化があったと思う。つまり「（有）性は無い」⇒「（無）性は有る」という論理展開です。だから空性という言葉が生まれた。では空とは何かとなると、それは「ゼロである」という答えになるだろう。ゼロは無ではない。生者必滅という言葉も「ゼロから生まれてゼロに帰った」というに意味だ。色即是空も同じ。現象がゼロに帰ったというだけ。空即是色はゼロから現象が生じたという意味。決して無から現象が生じたのではない。空の理解としてもう一つ、<全体性>という意味もある。色即是空は、色が個物。故に個物が全体に帰ること。空即是色は、全体性から個物が現れるということ。さて。では如来蔵とは何かというと、ゼロ自体の身体、存在性ということになる。ゼロ以下は現象として現れてはいないので、顕微鏡を覗いても発見できはしない。しかし、ゼロ以下の存在性は確かにあるのだ。例えば、釈迦如来は死んで完全に消滅したと考えるがそれは方便で、現象としての生存が潰えたに過ぎないことになる。しかしゼロ以下の存在性は確かに有るのだ。それが「如来常住」の思想である。となると、成仏したものはゼロ以下の存在性を確かに発見した者となる。この「ゼロの身体」を手にした者の寿命は長大であります。ならばこのような報身仏の浄土もまた、有以下、ゼロ以下の存在性の内に有ることになる。

東洋哲学を端的に

インド哲学　　　　　中国儒学ダルマ（法）　　→　　気ダルミン（基体）→　　性こんな感じになると思う。意味はほぼ同じ。仏教者に儒学の理論を語らせたら、まんま王竜渓の​陽明学​になります。性は形而上学的なもの。イデアの様な本体です。一般に仁義礼知信を指します。気は物質・現象などです。形而下学的存在です。流動し移り行くものです。朱子学が現象や物・事の奥に性という本体があると考えた。静慮（坐禅）して事象の本質を読み取ろうと考えた。王陽明はそんなの無意味だったと体験談を語る。朱子学はまず学び、次に行動に移すという考え方。これが現在の学校教育と同じ考え方だ。学生はバイト禁止だったり、学校で学んでから社会に出て行く。陽明学は知行同一。学ぶということは知ることと行動することの両方が必要であると考える。ということで仏教では本来「本質」というものを認めない考え方。これが龍樹の云う「無自性」です。物事には現象しかない。現象を離れた本体はどこにもないということを『中論』で説明した。これが龍樹の「空」論である。ここから逆説的に「空」という性質はあるよね、という論になってくる。それが空性という言葉。〈性（自性・本質）の否定＝無自性＝空＝空性＝仏性＝如来蔵＝自性＝不空〉という（言葉だけ見れば）摩訶不思議な論理になる。面白いんですよ。〈空＝不空〉なんですから。〈無自性＝自性〉なんです。

あまりにもマイペースで生きてきたものです。

この世は空であるとか何だかんだ言ったところで、私が私でいることに変わりはない。私がある日突然他人になっていたり、小学生の時代に戻っていたりとか、そういう意味の自在は現実に実現していない。もしそれが可能なんだったらとても面白い人生だろうと思うのですが。結局自分が自分であることで苦しんでいる人は多いと思う。仲間外れにされたり暴言を吐かれたり、恥ずかしい思い出があると、自分が自分でなければよいのに、と思ってしまう。価値ある人生を送りたい。刹那的な楽を選び取ってしまいがちな私ではありますが、死ぬまでに何がしかの達成感を得て死んでゆきたいものです。「何故私が私なのか」という答えが出れば、本当の人生を送れると思っている。哲学や仏教を勉強して「ああだこうだ」云うことはできてもそれが自分の為になっていなければ世間にテープレコーダーを流しているのと変わりがない。できるだけ自分の言葉で語ったり、実践することに意味があるのでしょう。とはいえ、私は実践が苦手である。瞑想もよくわかんない。ただし私の場合はノートと向かい合って、アイディアが浮かんでくるという楽しみを持っている。これは勉強じゃないから面白い。仏教の本を読んで、勉強はしてないですね。「いい言葉」「いい一節」があれば線を引いて、そこから連想を開始する。自分本位なんです。すると、自分なりに「ああこういうことかな？」みたいなことになって、それをノートに書き込んでゆく感じ。こういうことを高校時代から続けている。でも勉強はいつまで経ってもできない人間です。競争したら必ず負けるタイプ。だから底辺高校に行った。でも高校時代が一番楽しかった。自分は周りが天才にしか見えないくらいに理解力がない。だからスローペースでボチボチ進んでいる感じですね。あと耳から入ってくる言葉の理解が遅い。みんな理解してて自分だけ理解できてなくてオロオロする人間です。（音楽祭でも恥かいたなあ。）だから馬鹿扱いされるんですけどね。書面で何度も読み返してやっと理解するタイプです。それでも理解できない所の方が多い。姉もそうらしいから遺伝かな？アニメなんてゆう教育制度や教科書のない分野では本当に物分かりの悪い人間として扱われてしまった。アニメ世界なんて打ち合わせは阿吽の呼吸ですから。ボソボソって一方が喋って、それで相手にちゃんと伝わってるような業界。傍で聞いていても自分には何のことやら？自分が努力する人間だったら良いんですけど、私はもうずっと逃げてきましたよ。小学校一年の頃から。もうコンプレックスの塊です。母の教育は「恥かいて学んでゆけ」の根性論タイプだと思うんですが、その前にもう立ち向かう勇気なんて無くなっちゃってる感じです。だから嫌な事に立ち向かうことはもう止めて、好きなことにのめり込んでゆくような生き方をしてきた。これが自分の人生のもう一面かな？アニメ業界では入りたてで何も分からない人間の気持ちが分かるから、新人の教育には貢献できたと思います。

背理法とインド哲学5

仮定であるとか仮説であるとか語ってきたが、両者は同じ意味で使っています。なので「仮説」という言葉で統一しようと思う。世界の本質は仮説である。故に自己は「〇〇である」と説明できないし、世界の相もそれが実在であるとは、（真理の境界に於いては）見做せない。世界の自性（真理そのもの）は仮説である。それが識（心）の境界に入るとやっと実体を得るのである。実体を得たからといって、それらは実在ではない。やはり「仮説」があらゆる存在を貫徹しているのであります。世界の相は識の果であり、心それ自体は仮説という因の性質を識に蔵している。故に世界に能く働きかける。心の性質が自性（仏性・空性）と似通ったものであると知るとき、智が働くのである。外境に対しては諸行無常を説き、内界に対しては諸法無我を説く。実在に囚われるのは苦であるとし、業を滅却して涅槃に入る。そうすることで、全ては仮説であると能く悟る。如来蔵とは謂うものの、如来蔵は識の内にもないし外にもない。「それ自体」を因として発するのが智慧であり、本源は遍満して自在である。始まりもなく終わりもない智慧の大海を称して如来蔵と謂うのだろう。

背理法とインド哲学4

実際のところ龍樹の論はヤージャナヴァルキヤの説を補完しているようにも思えてくる。「見」「認識」から起こる間違った分別（名前）を排除し、「それ自体」を観るという哲学だからである。あらゆるものが「それ自体」なのである。そして「それ自体」が指す対象は「空」しかあり得ない。ヤージャナヴァルキヤはそれを「アートマン（我）」と表現したに過ぎないのだ。「空＝アートマン＝それ自体」なのである。「認識の世界。空間が実在すると思うな」ということで良いのだろう。全ては仮説であり、純粋な仮説のみが唯一存在するものである。故に心を用いた認識は、誤った認識となる。

背理法とインド哲学3

「〇〇は△△である」という言葉の論理を否定した龍樹の空の哲学。シニファンを否定することで、自動的にシニフィエをも否定してしまう。なので名を絶した「それ自体」とは空以外の何物をも認めないものとなった。「それ自体」を追い求めれば、全てに実体はなく仮説となり、世界外存在（実在しないもの）となる。ならば「世界」とは何なのか？識（心）の及ぶ範囲である。識（心）の範囲でのみ存在は実在していられる。これが迷いの世界である。識（心）の世界では自他、遠近上下左右、過去現在未来といった差別・分別の有る世界だ。なので真理はその反対である。ということから、こう言っても良いだろう。心の中の世界は分別の世界である。世界の実在を信じられる世界。名もあり体も有る、この世界である。​​対して、世界外に於いてはあらゆるものは常に空（真理）なのである。​​

背理法とインド哲学2

龍樹とヤージャナヴァルキヤの哲学の違いを考えてみると、ヤージャナヴァルキヤの背理法は自己（プルシャ）のみを扱っているのに対し、龍樹はあらゆる対象に背理法を用いているという点です。そして自己（プルシャ）の実在を否定しています。ヤージャナヴァルキヤは自己のみが真理だと思った。龍樹は世間的な見方と、真理的な見方があると考えた。こんなところだろうと思います。それで龍樹の説では「実在」も否定しているんです。だからシニファンと共にシニフィエも否定していることになる。だから「それ自体」とは何かというと、「空」しかないんですよ。結局のところ宇宙の本質は「仮説」である。量子的な「波」「ゆらぎ」だ。あらゆる存在は仮設の上に成り立っている。そして存在それぞれは関係性によって成り立っているので、ゆらぎの干渉し合った「粒子」。自性とは宇宙の存在が仮設に過ぎないとする本質そのものの事である。故に「見るもの」も「見られるもの」も共に自性を離れない「空」なのである。

背理法とインド哲学

龍樹やヤージャナヴァルキヤの論は、真理を語るのに背理法（帰謬論）を用いることです。背理法（帰謬論​）の特徴は、「〇〇ではない」という否定を用いて説明することです。では背理法（帰謬論）を用いると​どの様な効果があるのかというと、言語の持つ恣意性を排除することができるのです。​シニファンを排除してシニフィエのみとするということです。​ではシニフィエとは何かというと、「それ自体」です。例えば今、私の前に「キーボド」がありますが、キーボドという名前（シニファン）を排除すると、キーボードそれ自体となります。そのキーボードそれ自体を「キーボード」という言葉を用いずに説明するのが「背理法（帰謬論）」なのです。なのでキーボードを説明するのに「〇〇ではない」という表現を千個並べて説明することも可能です。そんな「それ自体（実相）」を別名「真言」と云うのではないか、というのが私の仮説です。

龍猛の真実の言語

龍樹の論では文字・言説が否定されます。はっきり言って真言密教の対局にある仏教です。しかし龍樹は密教では龍猛と呼ばれ、密教の聖人でもあるのです。そして密教は龍樹の論がなければ成り立たない。密教の文字の肯定は、龍樹の文字の否定がなければ成り立たないのです。で、私は密教についてよく知りませんので、個人的な見解しか述べることはできませんが、どのように文字を肯定するのか説明します。梵字には「阿点」が存在します。密教ではそう考えるんですが、文字を書くときの第一筆です。最初に「トン」と筆を紙に下したとき、紙に点が描かれますよね。「阿」とは何かというと、これは「否定」を表します。五十音図を見てください。「あいうえお」の母音があって、どの行もア行の母音を共有しています。次に子音を見てください。ア行には子音がありません。ア行は「子音欠」の状態です。言語の根源にして不生の状態です。母音をもう一度みてみましょう。「あ+い＝え」です。「あ+う＝お」です。「あ」は母音の根源でもあり、子音の根源でもあるので、「あ」は五十音図の第一になっているのです。そしてこの「阿」は空の悟りでもあるのです。背理法で説明する「〇〇ではない」の空の智慧です。だからこの「阿」は仏様でもあるのです。「阿」とは悟りでもあるのです。以上のことから梵字には「阿点」があることが分かってもらえたかと思います。「阿点のある梵字（梵語）」と「通常の文字（言語）」の違いは何でしょうか？通常の文字は仮に名付けられた仮の言葉であるのに対して、梵字の方は「それ自体」となるのです。分かりにくいかもしれませんね。「Aを説明する為のB」だとBは仮の存在です。しかし、「Aを説明するためのA」であれば、ありのまま真実の存在になるのです。ネコを説明する時に「ネコ」という言葉を使うとこれは仮の存在です。否定されるべきものです。しかし、ネコ自体は無くなりませんよね？山を説明する時に「山」という言葉を使うとこれは概念であり、山自体ではありません。言葉は否定されます。しかし山自体は無くならないのです。ならば梵字の場合はどうなるか？梵語を説明するときに翻訳や例え話で説明することがあるとします。しかし、それば仮の表現です。梵語（仏説）自体ではありません。しかし梵字（仏説）自体は無くなった訳ではないのです。阿点が打たれてあるということは、「それ自体（真理）」なのです。密教以外の仏教（顕教）では仮の言語を使用します。しかし密教では真実の言語を使用します。故に「真言」なのだと、私は思います。とはいえ、空は無辺であるが故に本来は真実でない言語などないのです。仮の言語でも真実の言語として読むこともできます。それ自体が「仏様」という理解が必要です。

龍樹の背理法２

龍樹の背理法をもう少し分かりやすく説明したいと思います。例えば「Aさんは男性である」という論があったとすれば龍樹はすぐさま否定するはずです。何故でしょうか？Aさんが女性だから？　　違います。生物学的にはAさんは男性です。じゃあ何を否定するかというと、「男性という概念の否定」と「Aさんという存在（名前）」の否定です。ならば「1+1＝2である」。これも龍樹は否定するでしょう。龍樹ならばまず1を否定するでしょう。そして1と1を足すことの不可能を説くと思われます。これらは極端な例えなので、龍樹が実際にそうするかは分かりません。あと龍樹の論は「真理に於いては」という前置きがあることを忘れないでください。龍樹だって人が生まれ死ぬことは知っています。これらの論で存在に名前を付けるのは真理に於いては間違っていることが分かるでしょう。しかしながら我々が生きるということは、このような思慮分別無しにはあり得ないのです。「生まれた」ということは世界から分離された存在であることなのですから。だから無我であるとして身を滅却しようとするのです。

龍樹の背理法

龍樹の八不について。八不とは「不生不滅・不常不断・不一不異・不来不去」のこと。なのですが、これは「名の否定・概念の否定」なのですね。だから般若経の思想そのものなのです。構造主義ソシュールでは記号というものをシニフィアン（形）とシニフィエ（意味）に別けて理解します。そこで分かるのは記号とは恣意性で名付けられるということ。ネコにネコという名前があるのは必然的なものではなくて、とりあえず仮に名付けてあるというだけ。ネコは「猫」と漢字で理解しても良いし、「cat」と英語で理解しても良い。そして禅ならば「山は山でないが故に山である」と表現したりします。概念ではなく、ありのままに捉えなさいということでしょうか。生滅・常断・一異・来去はこれ全て概念なんですね。本質の否定なんです。「実際に来る者を離れて来る本質はない」ということでして、「概念はない。行為自体を見よ」という説です。だから「〇〇は△△である」という論理が通用しない論を龍樹は展開しているのです。龍樹の説は背理法で語られる。「〇〇は△△ではない」という表現です。この背理法を用いるとどうなるのかというと、「それ自体を表現する」という効果が得られます。ちなみに胎蔵生曼荼羅もこの論理で諸仏を出生しています。

阿弥陀仏の智慧の身体

浄土教の経典で『大阿弥陀経』と『無量寿経』というものがある。『大阿弥陀経』は初期浄土経典。『無量寿経』は後期浄土経典らしい。読んだことはないです。『大阿弥陀経』は長生きするけど最後には涅槃に入る阿弥陀仏。『無量寿経』は永遠に生き続ける阿弥陀仏らしい。思うに、その身体は覚りそのものなのだろう。肉体的な身体は滅びているはずだ。そして永遠に生き続ける理由は「空」であるからだそうだ。仏性＝無自性＝自性＝空性なんですが、所謂「物」自体じゃないんですね。空を身体としているんです。例えるなら穴のようなもの。穴にそれ自体はなくて、「何もない」を身体としている。真ん中にぽっかり空いた空間があるんだけれども、穴を掘る前に空間は無かったかというと、空間は無辺に元から存在しているんですね。土を取り払ってやっと人は空間を認識する。だから肉体を捨てようが、肉体を保っていようが、空は元から存在してるんです。むしろ空がなければ肉体も存在しない。肉体は迷いだとするなら、迷いの分だけ悟りがある。智慧のバリエーションも増える。阿弥陀仏の覚りの身体も空が生み出したそのヴァリエーションの一つなのでしょう。

法華経メモ

法華経の解釈についての個人的なメモです。釈迦如来の寿命がとても長い。遠い過去に既に成仏しており、また久遠の寿命を持っておられる。釈迦族のシッダールタとして生まれ35歳で悟り、80歳で亡くなったというのは方便として示したのみである。はい。この解釈ですね。この久遠の釈迦如来は応化身です。しかしながら通常の寿命時間を生きていない。まるであらゆる時とあらゆる場所を同時に生きているかのようですね。そしてまさにそうだと思うのです。通常の人生の時間軸とは別に、久遠の釈迦如来としての人生時間は別に存在している。天台大師の（十界×十界）その他諸々一念三千の世界を生きている様です。一念三千曼荼羅とでも名付けておきましょうか。久遠の釈迦如来は、（無限の過去と久遠の未来）の時間×あらゆる世界＝法華経曼荼羅世界を同時に生きている。霊鷲山で法華経を説法されているのは法華曼荼羅のほんの一部分ということでしょう。法華経の素晴らしいところは、対立を対立として認めていること。このような法華経を説くのは応化身の如来にしかできないことです。ですから個人的には「釈迦」という名前ではなく普遍的な名称で呼びたいですね。少なくとも大日如来の一種とみなしたいですから、「応化身大日如来」といったところでしょうか。

人生そのものに欲を持たせる

そもそもの仏教は自分が完全に地上から消滅することを理想とした。それは地上が苦しく無常なものであるから。だから消滅こそが究極の安心と考えたのだろう。しかし仏教が発展し、世間そのものも発展してくると現世を安易に否定できるものではなくなってきた。そしはそれとして良いことなのだ。仏教の方法論の前提が崩れてきたともいえる。唯識論となると地上という世界の前提まで異なってきたのだ。世界は心が生み出したものと考えられてきたのだ。（世界に対して本当に必要な欲が求められている）それまでは原子論で世界が考えられ、その上で無我が説かれてきたのだがはて、世界を欲の対象としてみることは悪いことなのだろうか？みなさんはどう思いますか？中には七たび生まれ変わって善を為したいと思う人もいるでしょう。欲を持つことが苦しみの元であるから仏教は欲を否定してきたのです。欲を持つに値する世界なら捨てなくったって良いのではありませんか？慈悲だってその一つです。菩提もそう。原理主義を墨守することが本来の仏教とは思いません。その時代・場所そして自分自身に対して真理を説く方がよっぽど仏教です。自分でしっかり考え、信じる道を正直に進むべきです。たとえそれが仏教でなくっても。（そんなのは名前です）。どの道を採る者がいても良いということです。その点が日本仏教の優れている点だとは思うんです。外国の仏教ではとてもそうはいかないでしょうから。（一長一短ではあるんですけどね）。だから涅槃をどう考えるかなんですよね。現代仏教は涅槃を目的にしてるかというと、そうとは言えないでしょう？禅でさえ涅槃は結果論です。涅槃よりも菩提・浄土の方が重要と考えている人の方が多いのではないでしょうか？浄土教だと浄土が第一で菩提は最後の最後です。禅宗だと菩提が第一で智悲を両立させています。そして結果的には無余涅槃です。むしろ無余涅槃に生きている。無余涅槃を菩提が生きている。禅はカッコイイなあ。潔さが感じ取れる。これはたぶん目的論ではなく今に菩提を発見している感じですね。あとは野となれ山となれ。こういうの好きです。でも「凡そ」の人たちには目的論が必要です。それが仏性とか菩薩道とかいう仏教です。天台系列がこの方法論だというのは理解できるんですが、真言宗はどうなんでしょう。菩提は目指すべき道ではなく、為すべき道と捉えているのかもしれません。そして「凡そ」は「凡そ」として歓迎しているはずです。「凡そ」が存在しているのならそれに見合った悟りが、仏が、私たちに顕現しているはずだからです。あとは三密加持して自覚するだけですね。或いは敢えて真言宗は社会が求める仏の姿を説いているのかもしれません。世界は普遍的なものではなりません。社会も世間も変化してゆくものです。一度「空」の立場になって客観的に世界を眺め、或いは忘れて。それで改めて世界と関わり、行為を為す。否、「為す」でもないなあ。「他力」を発見するようなものだと思う。そうだよね。「他力」こそがもっとも世界の為に出来る自分なりのこと。本当に自然な行為。その発見があるんだ。阿弥陀仏が「他力」で以て下された密法ってどこかにないかなあ？他力の三昧耶形の法具があったら是非握ってみたい。それが「南無阿弥陀仏」かもしれないけれど自分にはどうも信じられないんだよなあ。「南無阿弥陀仏」という言葉は発見じゃないから違和感があるのかも。自分の場合極楽浄土は不要かな。逆に他力でもって世間に送り出して欲しい。でも出た先は独りで曼荼羅描かないといけないし・・・。そういう最低限の覚りは使いこなしていたい。そう、そこで密教が必要なんだ。何にせよ、人生に生きがいを持つことは素晴らしいことだと思います。

密教と華厳の差。そして空。

龍樹の空の思想は言葉では表現しきれない「絶対」を説明した論である。「絶対」を相対的言語で記して説明する。そして時間も過去現在未来に分解してしまうので、現実存在も空であると説明する。この点で唯物論ではない。そして唯識論への端緒が出来上がった。現実は空である。唯識ではそれを識（心）が作り出したものと説明した。つまり識（心）も迷いの世界なのである。しかしながら空も実体ではありえない。故に空はどこにでも偏在するし「在」を保とうともしないので智に変幻する。迷いあるところに智、有り。「色即是空　空即是色」とはいったものだが、「色は智なり、受想行識も是の如し」と覚らねばならない。色を色のままで居させてはならない。されば五蘊がそのまま真理を説いていることが理解できる。華厳の真理と密教の真理は似通っていると思う。些細な差なので、華厳側にとったら難癖に聞こるかもしれない。もう殆ど同じだ。華厳の「事々無礙法界」は世界が真理を説いているとするもの。これは密教と同じだ。しかしそれは間接的なもので、顕教であるから「空」を究極なものとして考えている。間接的に空の説法をしていると考える。そして説法を聴く存在である私も未だ未熟な段階。真理を目指す菩薩であると考える。密教の真理は五智である。世界は五智の真理を説いている。この五智の中に「空」の智慧も含まれています。しかしその空は目指すべき究極というよりも、偏在し、現れ出る智慧としての空であります。世界の存在自体がそのまま真理の説法。そしてその因果・生滅もそのまま真理の説法。密教でいう五智は仏凡夫を問わず、皆自ずから備えている真理なのです。でありますから、その五智の説法を聴く私も仏であるという理解が必要になってきます。更に加えれば「自分が仏である」と悟ってハイお終い、というものではないことです。存在が真理であっても、目の前で死んでゆく者や不安定な社会を見て何もしないのではない。何かをしてゆくことが大事になってきます。仏として何をするかということですね。本当に微妙な差であります。これが今のところの私の理解です。まあ頭でっかちですが。

大和朝廷の勢力圏

第21代雄略天皇の頃の大和朝廷の勢力圏について。４７８年、倭王「武」が宋に送った上表文（自昔祖禰，躬擐甲冑，跋涉山川，不遑寧處。東征毛人五十五國，西服眾夷六十六國）「私の先祖は、自ら甲冑を纏い山川を跋渉し戦を続け、東は毛人５５カ国を、西は衆夷６６カ国を征服し、また海北へ渡り95カ国を平定した」とある。単純計算ではあるが、日本列島内での征服領土は全体の56.018％。一方朝鮮半島で征服した領土は全体の43.98％を占める。となると当時はもう九州南部～東北南部までは大和の勢力圏下でしたでしょうから、朝鮮半島での領土は現在の大韓民国くらいは持っていたことになる。完全な海峡を跨いだグローバル国家だったのである。もっとも当時の百済は扶余族と倭人の混血です。新羅人は華人と倭人の混血国家。日本語が朝鮮半島でも通じる地域であった。所謂「渡来人」というのも出戻り人であるか、日系人・華人です。そして任那、百済、新羅は大和の属国であって、高句麗と対峙していたことが分かる。ちなみに第四代新羅王　脱解は倭国（九州？）の東北一千里にあるタバナ国出身。ということは丹波の国出身の日本人だったのであります。

邪馬台国の台与の正体が分かった。2

​<天皇>　　　　　　　　　<斎宮>　弟・第九代開化天皇　　　姉・斎宮の卑弥呼　　　　　　　　　　　　開化天皇の娘？・台与第十代崇神天皇　　　　　崇神天皇の娘・豊鍬入姫命​第十一代垂仁天皇　　　　垂仁天皇の娘・倭姫命​こんな感じだろうが、台与と豊鍬入姫命が同一人物の可能性もある。名前が同じ「トヨ」だから。卑弥呼の時の大王が開化天皇だとしたのは大雑把な年号なので、実は崇神天皇の姉が卑弥呼の可能性がある。　　<天皇>　　　　　　　　　　<斎宮>　弟・第十代崇神天皇　　　　　　姉・卑弥呼　　　　　　　　　　　　　崇神天皇の娘・豊鍬入姫命（台与）第十一代垂仁天皇　　　　　垂仁天皇の娘・倭姫命​こうである可能性も十分高い。

邪馬台国の台与の正体が分かった。

また前の記事の文章が長くなってしまったので、要約しようと思う。神武天皇即位が紀元前70年を私は採用します。第十五代応神天皇の応神天皇陵が五世紀初頭に作られた。第十六代仁徳天皇の仁徳天皇陵が五世紀前期～中期に作られた。ということは約500年間で15代の天皇がいたことになる。500÷15＝33.33年一代あたりで33年間統治していたことになる。卑弥呼の没年が大体242年頃。242+70＝312年初代神武天皇が即位してから312年後に卑弥呼が死んだことになる。312÷33.33＝9.36代つまり第九代開化天皇前後の時代に卑弥呼が死んだことになる。卑弥呼とは姫命（斎宮）のことだとすると倭姫命が思い浮かぶ。倭姫命は第十一代垂仁天皇の娘。時代が合わない。しかし、倭姫命の前の斎宮は​豊鍬入姫命（とよすきいりひめのみこと）​である。豊鍬入姫命は第十代崇神天皇の娘である。彼女が「台与」だった可能性がある。しかし、台与は235年生まれ。235+70＝神武即位から305年後。第9代開化天皇の頃に生まれたのだろう。ということは開化天皇の娘かもしれない。豊鍬入姫命が国巡りを始めた出発地点が​檜原神社​である。この近くに卑弥呼の墓がある可能性がある。女王国の候補の一つだ。ただし卑弥呼自身も国巡りの旅に出た可能性があるので、女王国のはっきりしない。候補の一つが丹波にある「​元伊勢​」と大和国の檜原神社近辺である。卑弥呼の弟が天皇だとすると、第九代開化天皇だろう。そして開化天皇の娘、台与が次の斎宮となり、続いて第十代崇神天皇の娘、豊鍬入姫命が斎宮となって、約27年間（古代では54年間）諸国を転々としたのかもしれない。　　<天皇>　　　　　　　　　<斎宮>　弟・第九代開化天皇　　　姉・斎宮の卑弥呼　　　　　　　　　　　　開化天皇の娘？・台与第十代崇神天皇　　　　　崇神天皇の娘・豊鍬入姫命第十一代垂仁天皇　　　　垂仁天皇の娘・倭姫命

邪馬台国の台与の正体が分かった。

前回の記事は長くなってしまったので要約を書こうと思う。出雲の国は大和国（奈良盆地）のことだった。出雲神話も奈良盆地の神話だった。（スサノオ）瀬戸内海地域を征服と共にイザナギ・イザナギの国生み神話が生まれた。木の国（和歌山県）・熊野征服と共に黄泉の国神話が生まれた。国譲りの出雲の舞台は伊豆・富士山・諏訪のことだった。関東地方征服と共に高天ヶ原神話が作られた。九州日向地方征服と共に日向神話が生まれた。第十五代応神天皇の頃に神武東征の神話が作られた。大国主は称号であった。大国主＝三輪の神である大物主を祀る祭祀王。大国主＝スメラノミコト＝天皇＝大王出雲族が大和盆地で勢力を拡大した。 大和盆地全体の開拓者としてスサノオが祀られる。 大国主、大物主（三輪神）を正式に祀り始める。（神武天皇即位か？）紀元前70年頃。 そこから代々の大王は「大国主」を名乗っていた。 （スサノオ～大物主（三輪の神）～大王家） 瀬戸内海地域を征服してイザナギ・イザナミの国生み神話が作られる。 （イザナギ・イザナミ～スサノオ～大物主（三輪の神）～出雲族大王家） 大国主、木の国（紀伊国）・熊野地方を征服して黄泉国神話が生まれる。 大国主、四国松山（道後温泉）を征服。少彦名神の神話が生まれる。 大国主、伯耆国（山陰）と越の国（北陸）を属国にする。 大国主、諏訪・伊豆地方を完全征服。 第七代孝霊天皇の頃、四道将軍を派遣。会津と吉備の国を征服する。 （第八～九代　中国・四国・九州北部を征服したと思われる。） 第十代崇神天皇～の頃、関東東部を征服。高天原神話と国譲り神話が作られる。 （アマテラス・スサノオ～大物主（三輪の神）～大王家） 　　　　　　　　　　　任那（朝鮮南部）を属国化。（みまきいりひこ）の名を冠す。 第十二代景行天皇の頃、ヤマトタケルの活躍。 第十四代仲哀天皇・神功皇后の頃、朝鮮半島へ出兵する。百済・新羅を属国化？ 第十五代応神天皇の頃、日向地方を征服。日向神話と神武東征神話が作られる。 　　　　　　　　　　　初代天皇（神武天皇）の即位の神話が作られる。 　　　　　　　　　　　神武天皇の兄（稲飯命）が新羅王になったとする神話が作られる。 第十六代仁徳天皇、聖帝（ひじりのみかど）と呼ばれる。河内平野の大開発。神武天皇は大物主を祀った初代大国主であるかもしれない。神武天皇が紀元前70年即位だとして、第十五代応神天皇の御陵が作られたのが5世紀初頭（400年代初め）。ということは約500年間　÷　15代　=　33.33年/代1代あたり33年間。ちょっと長いかもしれないが、あり得ない年数ではない。第16代仁徳天皇の陵墓も5世紀前～中期創建なので、在位平均33年とピッタリ合う。卑弥呼の時代は～242年頃なので～、おそらく第9代開化天皇の頃かな？第十代崇神天皇（みまきいりひこ）の頃に朝鮮半島南部の任那を大和の属国化していますので、魏志倭人伝の頃の狗邪韓国は大和化される直前だった。狗邪は加羅のことなんだろうね。そして伊都国に軍隊が沢山いたそうですから、朝鮮半島へ出兵の為の準備段階だったのでしょう。だから卑弥呼は女王ではなかったかもしれない。伊勢の斎宮の如き存在だった。大王の姉が斎宮となって鬼神に仕えた訳だ。政治決断も大王は斎宮にお伺いを立てる。あの時代は斎宮の地位が大王なみに高いものだった可能性がある。だから魏の使者は卑弥呼を女王と勘違いした。​（卑弥呼＝姫巫女。姫命）だと思う。​​倭姫命​は第11代垂仁天皇の娘だった。（卑弥呼～台与（トヨ）～倭姫命）の系譜だったのでしょう。（台与を（トヨ）と読むなら「邪馬台国」も（ヤマト国）と読んじゃっていいじゃんって思っちゃうけどね）。兎に角「倭姫命」が​皇大神皇​を現在の伊勢の地に移したのです。倭姫命の前の斎宮の名前が豊鍬入姫命（とよすきいりひめのみこと）ちゃんともう分かってる。彼女が台与の正体だ！豊鍬入姫命は第十代崇神天皇の皇女。54年間斎宮の活動そしている。しかし54年という数字は1年365日換算の1年ではない。古代では半年で1年と数えた。だから実際は27年前後奉職した訳だ。豊鍬入姫命の巡歴の旅の始まりの地が邪馬台国の場所である可能性が高いのだが、その場所が​檜原神社​です。この檜原神社の近くにある古墳が卑弥呼の墓である可能性が高い。だから邪馬台国は大和三輪山の山の麓にあった可能性があるのだが、もう一つの可能性として、卑弥呼自身も巡歴の旅をした可能性が高いということだ。豊鍬入姫命が旅したところは大和国から始まって丹波・和歌山・吉備などだ。卑弥呼もそれらの地を巡った可能性が高い。魏志倭人伝の頃卑弥呼はどの土地に居たのか？「水行十日、陸行1月」とありますので、私はこれを「水行ならば十日。陸行ならば一月」と読みます。同じく投馬国へ行く場合は水行20日とありますので、川沿いか海沿いに両国はあるのです。肝心なのが「水行」の読み方。これは川も含むんですよ。中国では漢水・渭水は川の名前なんです。だから水行は海と川を含む。海を渡るときは「海を渡る」と書いてますから「水行」とは記されていない。さあ、「投馬国」ですが、よく似た古代の国名だと但馬国があります。円山川と豊岡盆地・出石あたりは昔海でした。湖水だったかもしれませんが。但馬が投馬国だとすると、女王国は丹波国にあったかもしれません。今気が付いたんですが、邪馬台国と女王国は別と理解しなければなりませんね。邪馬台国は大和国で奈良盆地が本拠地。日本全体が大体ヤマト国なんですから。女王国は卑弥呼（斎宮）がいる土地。で女王国は丹波だった可能性があります。由良川遡っていったんですね。

出雲は何処にあったか？

​​​​​出雲が何処にあったかなんですが、現在と違う候補をいくつか私は上げています。一つは大和の国ですね。三輪山の大物主を祀っている奈良が出雲という訳です。もう一つは諏訪・富士山・伊豆あたりです。これは国譲りの舞台となった場面がここだと私が考えているからです。三宅島には伊豆七島の総鎮守があり事代主を祀った神社があります。事代主には180の子供がいて、事代主に従って天津神に逆らうことはありませんでした。ちなみに事代主は魚釣りをしていて、舟をひっくり返して隠れてしまったそうです。それで出雲勢力は天津神側の圧力によって国を明け渡したことになるのですが、天津神勢力は東西どちらから迫ってきたのか？これは東側なんですね。諏訪の真東に鹿島神宮があるのです。方位がもうタケミナカタと対峙していることが分かります。なので高天原の勢力は関東にあった。出雲＝伊豆であったということです。そしてスサノオの詠んだ詩。「八雲立つ出雲八重垣妻ごみに八重垣作るその八重垣を」は富士山を指して詠んだ詩なのだと思います。噴煙を上げる富士山は八雲立つんです。富士の高さと広がる裾野は八重垣なのです。出雲は伊豆雲なのかもしれません。「妻ごみに」は富士山の神様が女性である為です。出雲神話ではクシナダヒメということになるのですが、筑紫・日向神話ではコノハナサクヤビメになります。「スサノオ＝ニニギノミコト」天下りした神です。「クシナダヒメ＝コノハナサクヤビメ」は富士山の神です。「事代主＝海幸彦」で海側の勢力で兄です。「タケミナカタ＝山幸彦」で海側の勢力で弟です。何故天津神の子孫の神話が出雲神話と類似性を見せるのでしょうか？それは出雲族も天津神系も同じ一族の神話だったからでしょう。そもそもが出雲神話が本来の神話だった。それはおそらく大和三輪山の大物主を祀る子孫の神話だった。スサノオこそが本来の始祖神だった可能性がある。しかし大和の勢力が拡大するとともに、その支配地域を統治する為の神話と神様が必要になってきた。土着神のままではまずかった。日本全土を統べるに相応しい神族が必要だった。新たに創造されたのが天津神神話だった。神武天皇すら大和（出雲）系の神話体系で生きてきた可能性がある。天津神神話が確立したのは、おそらく第十代崇神天皇、第十一代垂仁天皇25年頃のことだろう。そのころに伊勢神宮が現在の位置（伊勢）に鎮座した。三輪山の真東の位置だ。ちなみに日本武尊の活躍は第十二代景行天皇の頃。ほぼ関東平定の時代が分かってくる。ならば大和朝廷にとって、関東とはどのような位置づけだったのだろう？新しい神を関東に置くということは、関東は新たに獲得した土地だった。拡がる関東平野は大和からやってきた者たちにとって新鮮だったことだろう。もっとも当時は現代の様な平らな土地は少なく入江が複雑に入り組んでいたと思うが。だが、新しい土地に高天原を夢想した可能性はある。そして東は太陽の昇る方向として神聖だった。大和の東に伊勢神宮を置き、諏訪の東に鹿島神宮を置いた。鹿島神宮は中臣氏と関わりが深く、となると武器の神である香取神宮は物部氏と関わりが深いとみるべきだろう。石上神宮の系譜である。石上神宮も神武天皇と第十代崇神天皇と関わりが深い。どの神宮も、創建は神武天皇の時代とか、或いは第十代崇神天皇の時代とか言い伝えがあるが、二人を同一視して混ざってしまった可能性がある。或いは二人は同一人物だったか。しかし同一人物となると大和を征服したのが誰で、関東を征服したのが誰かということになってしまう。するとこう考えるべきなのだろうか？そもそも出雲族が大和盆地で勢力を拡大した。大和盆地全体の開拓者としてスサノオが祀られる。大国主、大物主（三輪神）を正式に祀り始める。（神武天皇即位か？）紀元前70年頃。そこから代々の大王は「大国主」を名乗っていた。（スサノオ～大物主（三輪の神）～大王家）瀬戸内海地域を征服してイザナギ・イザナミの国生み神話が作られる。（イザナギ・イザナミ～スサノオ～大物主（三輪の神）～出雲族大王家）大国主、木の国（紀伊国）・熊野地方を征服して黄泉国神話が生まれる。大国主、四国松山（道後温泉）を征服。少彦名神の神話が生まれる。大国主、伯耆国（山陰）と越の国（北陸）を属国にする。大国主、諏訪・伊豆地方を完全征服。第七代孝霊天皇の頃、四道将軍を派遣。会津と吉備の国を征服する。（第八～九代　中国・四国・九州北部を征服したと思われる。）第十代崇神天皇～の頃、関東東部を征服。高天原神話と国譲り神話が作られる。（アマテラス・スサノオ～大物主（三輪の神）～大王家）　　　　　　　　　　　任那（朝鮮南部）を属国化。（みまきいりひこ）の名を冠す。第十二代景行天皇の頃、ヤマトタケルの活躍。第十四代仲哀天皇・神功皇后の頃、朝鮮半島へ出兵する。百済・新羅を属国化？第十五代応神天皇の頃、日向地方を征服。日向神話と神武東征神話が作られる。　　　　　　　　　　　初代天皇（神武天皇）の即位の神話が作られる。　　　　　　　　　　　神武天皇の兄（稲飯命）が新羅王になったとする神話が作られる。第十六代仁徳天皇、聖帝（ひじりのみかど）と呼ばれる。河内平野の大開発。はい。こんな感じになると思います。征服した地域の神話を取り込んでいるのかもしれませんが、基本的にその地域の神を新たに設えて皇統に組み込んでいる感じですね。いや～こうして改めて並べてみましたけど、今まで不明だった大和朝廷の全国支配の過程が分かってきましたね。自分でもビックリです。大国主というのは称号であると私は考えております。おそらく第十五代応神天皇の頃に初代神武天皇即位を設定した。だから実際の神武天皇がどの大国主だったのか不明なんです。自分も含めて今までの大王の功績をすべてまとめた神話が神武天皇の東征神話だったのかもしれません。​​​​神武天皇の霊威を帯びて応神天皇は九州かた大和に帰還したことでしょう。それにしてもどの時代の（大王・大国主・天皇）も凄まじい勢いで領土拡大してますね。ここまでの快進撃は日本史上類例がありません。大国主の時代が何代まで続いたのか分かりません。しかし初代の大国主＝神武天皇なのでしょう。どの時代の大王も大物主神を祀っていた。だとしたら称号としての大国主は9代まではいたことになる。第十代で国譲り神話となりますのでそこから天津神の子孫となる。第十五代で十五代遡ってカムヤマトイワレヒコ（神武）のスメラノミコトの即位という扱いにしたのでしょう。​

現代建築は美しくないのであります5

何度も描くんですが、建築の美しさは日本庭園の石の配置と共通します。絵画・水墨画とも共通します。左側は母屋と塔のセット。空間を空けて右に小さく離れがある。西洋の教会もこんな感じ。「離れ」部分が無くとも左右対称の建築を混ぜ合わせていたりします。この形式です。映画『ローマの休日』で有名なローマにあるスペイン広場。そこの階段の下から見上げる建物物もこの形式です。「離れ」無しで、母屋と塔の部分を<分割>すると「法隆寺」の建築様式になります。それは前回の記事に載せた絵の通りです。​​​​〈スペイン広場〉​​​描いてみましたけど、手前の階段とかは左右対称の構成。それで奥の建物は一見左右対称なんですけど、石庭的な構図も組み込んでるんですね。（母屋・塔　　離れ）の構成。離れ部分は右側の黒い建物です。​

現代建築は美しくないのであります4

簡単に描いてみましたが、石庭の石の組み方と建築の思想は同じなんです。水墨画であろうが、狩野派であろうが、建築であろうが同じなんです。西洋でも東洋でもオブジェクトの配置の思想は同じです。ポセイドン像の部分を毘沙門天に入れ替えたところで美的には何ら差はないのです。つまり現代建築も配置にさえ気を遣えばもっと美しいものはできるはずです。どう空間を活用するか、です。何もない空間を意識しているか、です。昔の日本の建築家はそれを理解していたのに、現代建築でそれはどうなっているのか。奈良時代以前の仏像・寺院はとても力強く美しい。しかし平安以降になると、だんだん精巧になる一方純粋な美しさはなくなってきている。感性ではなくオブジェクトに囚われる傾向が出てきているのだ。でも新しい芸術が導入されると感性の達人が現れてくる。そのたびに持ち直す。しかしコピーのコピーを繰り返し、装飾に拘り過ぎると全体的には劣化してくる。千葉成田山の三重塔や浅草浅草寺は装飾は美しいのに、全体的にインパクトが足りない。国宝展に行っても縄文時代の溢れ出るような造形の美しさにくらべ、江戸になるにつれて精巧にはなるが全体的にインパクトの足りないものになっていた。日本人の気質として「秀才型」優位なのだろう。天才的な創造性が活かされにくい文化なのだろうか。出る杭は打たれる文化風土だからだろうか？といっても現代のアーティストが各人で思い思いに造形しても偉大な芸術には発展しない。それらが伝統美を破壊もしているのが現状だ。古臭いものは嫌だと切り捨ててしまっている。現代の建築家・設計士が将にそうなのではないか？伝統を継承、または取り入れつつ個性を出す創造性であって欲しいと思う。

現代建築は美しくないのであります3

建築というものは建築のみに拘っちゃあいけない。建築のある空間に拘らなくちゃならない。そして何も建てられていない空間を設けなくちゃならない。日本の伝統絵画を見てください。狩野派とかの。何も描かれてないただっぴろい空間があるでしょう？あれがあるからオブジェクトが冴えるんですよ。空間といえば「空」「海」「庭」「道路」「牧草地」などです。その空間を荘厳するにはどうするべきか？各オブジェクトを配置してゆくんですね。ただしそれが均等になると美しくない。そして面白くない。ある程度の偏りが重要だ。偏りを作る為には枠を設けなければならない。写真や絵画ならフレームがあります。実空間だとフレームはありませんので四角く壁で囲うとかですね。例えば富士山を描くとしましょう。画面中央にデカデカと山を描いてしまうのも手ですが、左右対称だと面白くない。富士山を右に寄せて、左方に広がる雲海を描いた方が良い。左方の奥の方に朝日が射してくるとかね。この場合オブジェクトが富士山。雲海と上空が空間です。しかも左方から光が射すなら左方は明るくなりはじめであり、右方は富士山のコントラスト＆未だ残る夜の闇の世界ですね。完全な両極端にしてしまうのもよくない。夜の世界と朝の世界の変化を楽しむように。そしてやはりどちらかを優勢にしないといけない。「夜７：朝３」とか。そして朝の光もオブジェクトなんですね。太陽の配置という意味で。だから朝の太陽は小さく描かなくてなならない。海岸に突き出した崖を描くのも同じ。左方に広がる大海。右方に崖。ここにワンポイント必要だろう。崖の上に人を立たせるとか、小さな灯台を建てるとか、岩が尖って聳えているとか。そのワンポイントの右方には海より数段高い平原がなだらかに広がっていて、羊が草を喰ってたりするとかね。この場合「海７：崖と平原３」とかかな？だから高低・遠近の差でもくみ上げなければならない。「左右・遠近・高低」の差で空間を構成してゆく必要がある。

現代建築は美しくないのであります２

日本は地震国家ですので西洋の様な石造りだとすぐに家が壊れてしまう可能性があります。だからといって木造でも最近の基準では地震に弱い扱いになっている。しかも火事に弱い。現代であれば鉄筋コンクリートが一番安心なのだ。でも私の話しているのはデザインの話。現代建築が醜いことに建築会社は罪の自覚を持って欲しい。否そんなことよりも美しい建築を追求する心を持って欲しい。現代の建築は、機能とコスト削減の結果なのでありましょう。デザインに凝ってしまうと、値段が馬鹿高くなってしまう。まあ細かい意匠は必要ないかもしれませんが、全体的に美しくないですよね。オブジェクトとしての建物単体の話ではなくて、街並みそのものが。だからさっき述べた様に、市町村でとりくまないといけないんです。西洋の建築は空間の扱い方が上手い！美が物ではなく空間ということを理解している。建築を含む空間が大事！！哲学的には本来、この思想は日本的なんですよ。伝統絵画でも日本的な空間の認識なんです。でも建築だと西洋が日本の上を行っている気がする。でも昔の日本は美しかった。日本的伝統建築なら江戸時代までは美しかった。そして西洋建築の影響を受けたデザインでも明治大正昭和では美しかったと言える。醜くなったのは戦後だな。えらい即物的な建築になった。空襲の影響もあるでしょう。そして日本の経済成長。あそこで日本的な「美しさ」の感覚を知る日本人が少なくなったと思う。そして醜い住宅に住み、短絡的な美を感じてで喜んでいる。え～日本的な美しい建築物を振り返ってみましょう。まずお城。（私お城が大好きなんです）。お城は囲碁と同じで領域を守る為に櫓や石垣、堀で囲っているんです。つまり郭（くるわ）という空間を守っている。各櫓がてんでバラバラに敵に対処するような設計にはなっていない。櫓等々で連携を取って防御しています。（現代サッカー戦術の理論みたいですね）。空間が中心に有る。だからこそ美しい。空間の基本単位は道路です。建物は時代の流れで変わっても道路は残る。この道路を横に広げたのが広場です。建物というのは、この空間を荘厳する為に存在するのです。

現代建築は美しくないのであります

最近はyoutubeで西洋の伝統建築の動画を見て回っています。とにかく美しい。一方で現代（日本の）建築は醜いと、強く感じます。東京や神戸のまあ高級なオフィス街行ってごらんなさい。現代建築に西洋の意匠を凝らしています。つまり現状最も美しく感じるデザインは西洋の伝統のものであるとゆうこと。そこんじょらの文化住宅は美しくないんです。別に西洋建築でなくてもいいんですけどね。西洋のものということは舶来品の系列ということです。文化人やお金持ちが我が国とは異質な文化を持ち込むとしたら西洋文化由来が一番インパクトがあるといえます。日本の伝統建築も美しいです。ですが木造という壁が存在するんですね。殆どが木造だと現代に於いては地震・雷・火事等でリスクが高いしビルも建てることができなくなる。建築物の構造は鉄筋コンクリートでもいいんですが、外装・デザインは西洋的にするのが良いと思う。日本建築でビルというと姫路城型になるしかないですし。日本の街並みはみんなオブジェクトとしての「個」で競っている感じ。みんながてんでバラバラの建築に住みたがっている。もしくは売られている家が美しくない家になっている。住宅展示場の家が美しいと思いますか？高級になればまあ美しいといえますが、あれは美的には底辺の住宅です。金持ちならば美しい住宅に住む努力をして欲しい。六本木ヒルズに住んでそこは美しいですか？美しくない。美しいと思っている人は部分的な内装に惑わされているだけ。西洋の街並みは厳しい規則があったりするので住みずらいという面はあるかもしれません。不便な面もあるかもしれません。だとしても空間を用いた美術には成功しているように思えます。だから金持ちが一人日本で努力しても無駄かもしれない。市町村レベルで美観に取り組まなくちゃいけないのだ。

アニメ業界の現在の状況

アニメ業界の繁忙期は3月6月9月12月だ。何故かというとアニメ放送は4クールに分かれている。放映スケジュールは、1月スタート3月終了。4月スタート6月終了。7月スタート9月終了。10月スタート12月終了。こんな感じ。スケジュールというものは当初は沢山あってダラダラ時間を使ってしまうものですが、終盤になるともうスケジュールに余裕がない。追い込みにかかるんです。そして来季放送スタート分の制作も始まっている。一つの社内で二つ以上の作品制作にかかるんですね。だから忙しくなる。しかし今季4月スタート分はコロナの影響で制作が中断した。放送も延期。作業者に仕事がやってこない。食っていけない生活となる。そして会社努めのアニメーターは自営業者ではない、しかし個人技業者扱いなので非常に困る。確定申告の収入は「雑収入」なので持続化給付金100万円は貰えない。アニメの会社は拘束時間が長いので、会社は社員扱いできない。そんなことをしたら夜勤手当や、労働時間で会社は吹っ飛んでしまいますよ。まあ契約社員だったりだったら会社から給料は貰えますが、会社がダメージデカい。まあ会社は会社で支援はあるんですが、元から苦しい会社はどうなることやら。それはともかく、コロナの他に働き方改革で、社員はなかなか休日出勤できない状況になっている。徹夜も禁止になってきたり。それはそれで社員にはありがたい事ではある。スケジュールも長めに取ってアニメ制作が行われ始めた。だからこそ、（出来高の場合は）一日で動く仕事量が非常に減った。低収入に拍車がかかりそう。なので今年度会社の収入は益々減るばかり。まあ大雑把に述べているので正しくない言葉もあるかもしれませんが、そんな感じですね。

新選組六番隊組長井上源三郎

少し前に井上源三郎の井上家の子孫の方の会った。その人が井上家の子孫とは知らずについ先日知って驚きました。歴史上の有名人の子孫って身近にいたんですねえ。井上源三郎は新選組六番隊組長。鳥羽伏見の戦いで戦死した。話を聴いたんですが、井上家の親戚の子供が源三郎が心配で京都までついて行ってたらしいです。池田屋の変の時は源三郎は直接は参加してないんですが、土方たちが心配で近くまで見に行ってたらしいです。池田屋の変のときは、近藤隊が最初に少人数で突っ込んで、そのあと土方隊が到着して参戦した感じ。つまり、そのあとから井上源三郎たちが近くまで来ていたということですね。鳥羽伏見の時に源三郎は戦死するんですが、井上家の子供が心配でこれまた近くまで来ていた。源三郎が戦死したのを見てすぐ首を切って江戸まで持ち帰ろうとしたんですけれども、子供なものですから途中で疲れてしまって、首も腐り始めてきてしまいましたので途中駿河の国（静岡県）の大きな松の樹の下に埋めたそうです。後日その松の樹を探したんですが、見つからなくて源三郎の首は行方不明となりました。あと松平の殿様から刀を拝領したそうです。つまり松平容保でしょうね。源三郎個人に賜ったそうです。今では博物館かどこかに譲ったそうですが。それらの話をこ井上家の人が司馬遼太郎や三谷幸喜に話したことがあるそうですが、採用はされなかったらしいです。私がその人とその話になったのは剣道・剣術の話になったから。その人の血のつながりのある人が天然理心流を習ってるってところからなんですけれども、先祖に井上源三郎がいたら、そりゃあ私だって学びたくなりますよ。血の意地ですね。

自性法身メモ4

例のごとく、誰のためにもならない自己思索中です。（これを妄想といふ）。前回課題としたテーマが「応化身大日如来とはどんなものなのか？」「新義派を肯定することは可能なのか？」です。これが多少解決できそうだ。応化身大日如来の姿が朧げに観えてきたのである。正確には曼荼羅が見えてきたというべきか。やはり四種大日如来を語るには曼荼羅が適していると思う。ということで、其々の曼荼羅の特徴を書き出してゆこう。自性身大日　　胎蔵生曼荼羅　<出生>自受用身大日　金剛界曼荼羅　<智慧>他受用身大日　<浄土>応化身大日　　<空無相>等流身大日　　<菩提心>こんな感じじゃないかと思います。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／〇＼　応化身大日の曼荼羅はたぶんこんな感じ。〇　〇　〇　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼〇／十牛図の「人牛俱忘」五つ並べたものです。円の中には何も描かれていない。成所作智が法界体性智の加持を受けた存在で、空無相曼荼羅を実現する。こうしてもう一つの沈黙の仏が現れたことになる。なぜこうなるのかというと、法身説法は誰が為に説かれるのかということです。聞法する客体で究極なのが自受用身なのですが、以下それぞれ他受用身も応化身も等流身も聞法してる訳です。自性法身という名の説法を。宇宙の究極の存在は加持身で、流転すること（法界力）で全体性を示している。だからこそ「法身」と云う名で呼ばれている。相を追う者は粒子（物体）として四智を見てしまう。五智の説法は自性法身から出生して最終的には応化身によって示現される。等流法身は菩提心（と私は解釈しています）として内発するもので、仏身として現前する訳ではありません。だから応化身によって仏説は示されることになる。成所察智は外界と最初に触れ合う智慧ですが、外界は究極には空相です。無相の心に自然界がそのまま映し出されることになるのですが、その自然界も空の沈黙の説法を響かせております。空相に沈黙が響きわたるのであれば、そこは云わば成就地です。曼荼羅にできます。円相に自然界を描きいれる必要はありません。自然界は時々刻々移り変わります。世界の相を書き入れる必要はないのです。成所作智（前五識）は瞬間瞬間の刹那有を呼び起こしますが、瞬間瞬間に打ち消されてゆくのです。ですから円相には「無」を表現しなければなりません。三時の自然界は不要なのです。こう説明すると、四智の内の自性身とどこが違うのか？ということになるでしょう。その性質が殆ど一緒だからです。四智の自性身は沈黙という目指すべき対象であり沈黙（真理そのもの）を示す言語でした。しかしこの空無相曼荼羅ではその仏説が成就した姿が描かれています。四智の自性身が因なら、空無相曼荼羅は果という訳です。「相の打ち消し」は諸行無常・諸法無我・涅槃寂静と同じでありますし、対機説法は病に応じた打ち消しであり（無本質）、（無相＝偶然性＝存在の清浄性）は因果律への対置として世界の浄化に貢献します。文殊菩薩の悟りと似ているのですが、釈迦如来の悟りと大いに一致すると思います。応化身大日の曼荼羅として相応しい（と私は思います）。成所察知という外界と接触する最初の段階でこの空相を察知するのであれば、次の意識段階に於いて浄土曼荼羅を描き出すことも可能だと思います。又は等流身という内界の菩提心が露わになってくるのです。五智全ては空相の中で輝くことになる。四智を包含する性質から法界体性智であることは自明です。応化身大日如来は実在します。整理すると、自性身はこれまで通り二種存在し、沈黙の仏身はこのたびもう一つ増えて合計二種となりました。何と名前付けましょうか？●　胎蔵生曼荼羅の自性身（語る自性身）​〇　四智の内の自性身（沈黙という言語の自性身）​〇　空無相の応化身大日如来（沈黙の空無相成就）　　が自性身。〇　が沈黙の仏身。いくらか新義派肯定に成功したのではないでしょうか。以上、私の妄想メモでした。

自性法身メモ3

これまで散々真言宗の教義上古義の方が正しいと言ってきてそれは今も変わりないのですが、ここ最近の自分のテーマは「だからこそ新義を肯定してみよう」という所に移行しています。弘法大師の教えは素晴らしいのですが、あまりに素晴らしいが故に、弟子は大師を超えられない。これが真言宗最大の欠点と云ってもいい。古義を肯定している私も心意気は新義に同調したい気分である。取り合えず自性身を二種に分けることには成功した。（新義肯定はここが限界かもしれない）ただし加持身としての大日如来を上位に置き、本地身は下位四仏となる。結局のところ古義の六大体大説を「法界力」という言葉に言い換えたものになったのだが、六大体大よりも本質を突いた言葉になったのではないかと思う。かなり論理の飛躍といいますか、直感のみを頼りとした妄想ですので宗教上価値の無い行為かもしれませんが、自分が何をどう考えているかを書き起こすのは大事なことだと思っています。（それが真実でなかったとしても）。ちょっと纏めてみましょうか。等流身大日如来×自性身＝自性身大日如来（胎蔵生曼荼羅）​自性身大日如来×自受用身＝自受用身大日如来（金剛界曼荼羅）​自受用身大日如来×他受用身＝他受用身大日如来（他力・阿弥陀如来）他受用身大日如来×応化身＝応化身大日如来（天台・釈大同一論）応化身大日如来×等流身＝等流身大日如来（菩提心）※（×は加持）​これら加持転変全ては法界力である。​上位二つが現在の真言密教の教主なんだよね。（自性身と自受用身の教え）そして阿弥陀如来なんですけど、親鸞の云う阿弥陀如来は本来の阿弥陀如来がスーパーサイヤ人になったみたいな存在で「これもう大日如来じゃん」てずっと思ってました。阿弥陀仏の他力はもはや西方の一方位のレベルを超えて、地上の精神を差配しているかの様。でも浄土真宗は密教を徹底的に排除してますので、彼らに密教化を望んでも無駄なこと。なのでこれこそ真義真言宗に期待したいですね。そして極楽浄土に限らず「浄土」というものを密教的に整備してもらいたいです。四方の浄土と密厳浄土を合一させる形で。「浄土」と「涅槃」の関係も重要ですし。応化身大日如来は既に有るといえば有る。しかし未徹底な感じだ。「釈大同異論」のレベルで止まっている。ここは天台宗に期待したいところですが、密教に主眼を置いている寺門派がやってくれるかな？ただし応化な存在は釈迦如来に限ったものではありません。もっと普遍的に平等に大日の光に照らされなければなりませんから天台密教だけの話ではない。成し遂げるのは華厳宗かもしれません。となると明恵さんみたいな考えが必要になってくるかもしれません。将来、どこかの誰かが日本仏教を大きく発展させてくれるでしょう。ですが、顕教の如来である応化身を大日（法身）化するのは至難の業だとは思います。等流身大日如来は、これは人々の内になる菩提心です。人本来大日であるならば、無意識にでも聞法求法している。人本来大日であるならば発心を起こす。人本来大日であるならば修行する。人本来大日であるならば既に成仏している。​人本来大日であるならば密厳国土は既に存在しているはずである。​大日如来＝法界力であることが正しいならば、密厳国土に法界力と菩提心を加えた形で曼荼羅を制作できると思う。という感じで、私なりに将来の日本密教の発展を予測してみたのですが、チベット密教にはならないでしょ？チベット密教は日本の密教とは別種の密教。日本密教が発展したからといってチベット型にはならないと思います。

自性法身メモ2

​加持する大日如来（仮）​​って​何だと考えた時思い浮かんだのが、​一個手前の​大日如来が加持してるんじゃないかと思った。等流身大日如来が自性身を加持したら、自性身大日如来が現れる。（胎蔵生曼荼羅）自性身大日如来が自受用身を加持したら、自受用身大日如来が現れる。（金剛界曼荼羅）自受用身大日如来が他受用身を加持したら、他受用身大日如来が現れる。他受用身大日如来が応化身を加持したら、応化身大日如来が現れる。応化身大日如来が等流身を加持したら、等流身大日如来が現れる。とまあ、たぶんこんな感じになる。大日如来が五種現れた。でもこれは密教が四種法身説（実際は五種法身説）を採用したから大日如来が五種になっただけだ。仮に十六法身説があったとしたら、十六種の大日如来が居るということになる。でもそんなことは煩わしいので、大日如来の本質は円輪のような姿を現すことになるだろう。それは法界力そのもの。法界力こそが大日の真の姿なのかもしれない。そして凡夫が罪の為に輪廻転生を繰り返すのだとしたら、大日如来も加持によって出生を繰り返すという理論になってもおかしくない。実はこれ、インド仏教の​犢子部​の説に似ている考え方なんだ。今気づいたけど、四仏は胎蔵生曼荼羅で出生した仏で、金剛界曼荼羅では逆に大日如来に統合されて法界体性智になるんだよね。以上私の妄想でした。

自性法身メモ

​​​狭義の自性法身と広義の自性法身があると思う。狭義は（自性・自受用・他受容・応外・等流）四種法身に分別された内の自性法身。つまり大日説法中の沈黙で表される存在だ。顕教ではこの自性法身が究極の沈黙の法身と考えられている。（私の考えでは）。一方広義の自性法身は曼荼羅全体に行き渡る真理そのもの。四種法身を包み込む。それは胎蔵生曼荼羅そのものなのだと思う。自性法身に二種あることに気が付かなくて、「ああでもない、こうでもない」と分かりそうで分からない状態が続いていたが、何とかなりそうだ。​で、やっぱりどっちの自性法身も説法してるんですね。狭義自性身では沈黙という記号で。広義自性身は常人では聞法し難い説法として。​補足として、胎蔵生曼荼羅の慈悲の一方通行の性質について。「一方通行」ということは客観的存在性質を有していないということ。故に自性身であることは間違いない。加えて諸仏を出生するという性質は「一歩通行」そのものだ。不可逆性を示している。説法も不可逆性の性質を持つ。諸仏の最も奥所に座す純粋な存在が「狭義の自性身」である。出生する行為、諸仏に行き渡る行為そのものは「広義の自性身」である。狭義の自性身は客観的性質を持つ。故に鏡の性質を持っている。蓮華蔵世界（鏡の世界で存在が全て融和している）で表現される。大円鏡智と表されたりもする。あらゆるものに「備わっている」清浄な性質（清浄心）だ。広義の自性身は能動的性質を持つ。加持という言葉の「加」の性質だ。出生するという「一方通行」は胎蔵生曼荼羅そのもの。なので鏡の性質は持たない。受動的存在ではなく、能動的存在なのだ。狭義の方が胎蔵生曼荼羅の法幢如来。金剛界曼荼羅の阿シュク如来。分別された自性身。広義の方が胎蔵生曼荼羅全体。広義の自性身は金剛界曼荼羅には示されていない。というか金剛界五仏は全て狭義の四身だ。（波の性質ではなくて粒子の性質で五仏が表現されている）。つまり大日如来（仮）が宝幢如来及び阿シュク如来を加持して現れた存在が胎蔵界曼荼羅。（自性法身の性質を持つ）自性身大日如来。大日如来（仮）が開敷華王如来及び宝生如来を加持して現れた存在が金剛界曼荼羅。（自受用法身の性質を持つ）自受用身大日如来。（以下阿弥陀仏・不空成就仏も同じ。）親鸞の云う阿弥陀如来は、これはもう他受容身大日如来だと私は思っています。しかし浄土真宗は密教色を排除していますので、今後密教が発展すれば他受用身大日如来が明確に示されると思います。（というか、それは新義派の役目なのだと思う）。応化（変化）身大日如来はもう存在してますね。天台宗（法華経）の釈迦＝大日説です。しかしこれも明確に大日として示されていない。そして釈迦の名前ではなく不空成就如来の名を用いるべきだと思います。法華経ではその寿命は久遠とのことですが、結局有始有終なです。応化大日としてそのあたり、それでいいのかの検証も必要になってくるでしょう。自性法身を二種に分けるという考え方は、新義派の云う本地身・加持身の分別と同じなんです。ただ無分別の自性身と、分別の自性身とでは、無分別の方が密教的には意味がある尊格だと思います。それは私が「六大体大説」の方が正しいと考えてるからなんでしょうけれど。密教であるならば、「六大体大説」の方が正しい。顕教的であるならば、「阿字体大説」でOK。（それは阿シュクさんなんですけどね）。あと大日如来（仮）という加持する存在が突然出てきて謎なんですけど、そのあたりもちゃんと整備しないといけないんだろうなあと思う。（私の脳内会議で）。そういえば等流法身大日如来の存在をすっかり忘れていたなあ・・・・・・。

苦集滅道

苦：問題を問題として認識する。集：問題には理由があって生まれてきた。滅：問題解決の方法を考える。道：実行に移す。八正道（正＝妙＝中道＝離相対＝絶対的な方法・手段）。昨日より今日、今日より明日が良い日になる生き方。苦集滅を含む生き方が「道」。これは「意識」の成仏の方法であり、智慧である。意識の働きは「反省」「追認」「客観視」すること。故に「証」が可能になる。仮に意識で以て一切智々が可能になった場合、意識は世界全体を客観視することになるので、これを「解脱」と呼ぶこともできよう。輪廻転生するといっても、「何が」転生するのか。肉体（色）も五感（受）も無意識（想）も行（記憶）も決断（識）も私自体ではない。「私」は色受想行識に遍満するけれども、それ自体ではない。それらは移ろい行くものであり、私（という認識）もまた移ろい行く。私ではない私が究極の自己と謂うことも出来るかもしれないが、「私」には本体が無いので光速移動（光りそのもの）が私。遍満すること自体が私。肉体（色）も五感（受）も無意識（想）も行（記憶）も決断（識）を以って生きること自体が私。智慧の海を生きる意識も私。と云うことができる。それが五智遍満ということなのだろう。大日如来の光明は、照らし照らされる関係ではなく、光明そのもの。時を生きるということは光速の世界を生きるに等しいのかも。物質世界に拘泥することなく、自己は本来光明の世界に生きているはず。ならば意識の持ちようなのかもしれない。表層意識に五智を顕現させる瞑想と、世間から離れ空を目指す智慧は異なる瞑想でありながら不即不離な関係に感じられる。「表層意識に五智を顕現させる瞑想」とうっかり書いてしまったが、この瞑想が深いものなのかどうかは分からない。しかしお釈迦様は表層意識に智慧を顕現させてブッダとなったはずである。（それが「観」なのかな？）無心になることはブッダになること自体ではない。実際お釈迦様は考えながら瞑想している。そして身口意を用いて法を説いている。出世間の瞑想と仏教修行は必要だし、じゃあ世間に対する浄土の説法はどうするのかってことだよね。密教は説法の瞑想みたいなものだし。実際浄土真宗とかでは瞑想してないし。浄土宗では法然の覚り？（のようなもの）を使うばかりで、追体験しようとしてないと思う。これも一種の『毒矢の例え』だ。法然が覚った？から問題ない。阿弥陀仏が成仏したから問題ない。日蓮が言うから問題ない。「あとは迷わず進め」と。実際問題どうするのかの方が、より重要だったのだ。そして密教としても五智を感じる瞑想は必要だし、入我我入の瞑想も必要。三密加持も必要。つまり「瞑想の深浅は関係なく、もっとも効果的な方法を用うべきだ」ということかな？（顕薬塵を払い、真言庫を開く）ということ。実際問題どうするのか、が重要。（宮本武蔵の『五輪の書』と同じ考えだ。「奥義というものはない。その時々でもっとも効果的な技を持ちるべきだ」）

意識は後追いする主観

前野隆司さんの受動意識仮説というものをyoutubeで見た。意識というものは後追いで、「自分が考えて行動した」と感じてしまうものだったのですね。これがお釈迦様の言う「無我」に相通ずというのも頷ける。非我論であると、世界外存在としての「自己」を肯定してしまう。だから自己というものが物凄く深淵で、ここには無いものと考えてしまいがちになる。しかしこの自己は主観的な存在でありながら受動的なものであったとするならどうだ？主観の根源「自己」を遥か遠くに設定する必要はなくなる。全ては多元的な無意識が行動を操っていたのだ。「これは自分で考えた行為だ」と思っても、真実は無意識からのボトムアップで上がってきた情報であり行為だった。「諸法無我」この言葉の通りだったんですね。「諸法」は無意識の其々の働き。「我」は後追い、追認。故に「我が物」ではない。自己に「所有」するものなどない。というお釈迦様の教えと同じになるのだ。色の他の「受想行識」これは無意識の働き。では仏教の「執着を捨てよ」というのは「我が物でないことを知りなさい」ということだろうか。意識は「所有」する性質がある。そして無意識の行為を自分で考えて起こした行為だと勘違いする。故に自我が生じる。これはマナ識ですね。そして「記憶する」はアーラヤ識。これらも我が物ではなく無意識の行為。そして私の好きな「構造主義」をも説明できる。構造主義は「個人の意思ではなく、構造に依って無意識的に判断が下される」というもの。村に残る奇妙な風習は理性的に考えても解決が付かない。故に野蛮な未開なインディオの風習なのだとヨーロッパ人は考えてきた。しかし、それらは関係性に依って生み出された「構造」に従って生まれた行為であって、インディオは構造に従ったと「考えて」はいないが、集団的無意識のようなものに従い（或いは神話の論理に従って）行動していたものだった。この構造主義の考えも「神話＝構造＝諸法＝集団的無意識」と考えると面白いですね。そしてもの無意識たる存在は世界にあふれていることになる。環境や心的象徴物、そして精神が構造を構成しているのだから、世界は無意識で、個人の行動をもたらし、主観的後追いを付け加える。彼は私にとって無意識の一部で、私は彼にとって無意識の一部で、世界は私にとって無意識の一部で、私は誰かにとっての無意識の一部なのです。将に六大無碍の世界ですね。

密厳国土２

自分は涅槃というものをよく分かっていない。普通修行者は菩提を目指す。そしてその結果悟りを開いたり解脱したりする訳だ。これを有余涅槃という。そして死亡したら無余涅槃となる。煩悩を断ち切ったらひとまずの菩提（有余涅槃）に至り、死んでやっと完璧な涅槃（無余涅槃）に入る。煩悩を断ち切ったら仏となるのだから、死んだら完璧な仏になると解釈すべきか？変化身・報身・法身の過程を地で行ってるようだ。法身仏が信仰対象へと発展するのは正統な仏教発展形式だと思う。ただまあ・・・成仏したら浄土を持つことになるのだから、法身と浄土が一体になった国土が涅槃の国土と言えなくもない。（浄土＝涅槃＝法身土）というものを明確に位置付けて良いと思う。（法身土という言葉は私の造語）そして、成仏したのちどのような行いを為すのかというのが密教である。これは全てが仏の行いであり、智慧の現れであるとするもの。一切衆生に平等な智慧なのです。ここでベクトルが違ってきてますよね。菩提は云わば世間を捨てて向上するもの。涅槃は一切衆生に平等な智慧。浄土教はこれですよね。死んで後向かう浄土は「横超」。横への展開。上へのベクトルが菩提で、横へのベクトルが涅槃。世間の中で凡俗として生きても、何らかの覚りがあるかもしれない。