クリスマス
イブは、二人して遅くまで仕事だった。早くに帰れたら、ケーキを買ってシャンパンで乾杯しようと思っていたのだが、私自身も遅かったためケーキすら買えなかった。一緒に帰ってきて、お風呂の用意をして、前日に買ったアップルパイを紅茶で食べただけだった。先に主人がお風呂に入った。「一緒に・・」と言われたが、私がアレだったので辞退した。主人がお風呂に入っているうちに、クリスマスプレゼントを用意した。カードに何を書こうかと迷う・・・。主人が出てきたので、私が代わりに入る。出てきて、隠しておいたプレゼントとカードを準備し、寝室へ行く。「電気消すよ。」と声を掛けた。「いいよ。」布団を捲って、そこに座ろうと枕の位置を確認するため手を伸ばしたら手に何かが触れた。「あーっ」プレゼントが置かれていた。私も慌てて渡す。暗がりの中で開けるのも妙なので、電気を付けると彼の手作りのものだった。ずっと前に即興で描いてくれたいぢばとちゃんを表紙とする卓上カレンダーだった。それには、手紙が添えられていた。その手紙も彼が描いたイラストがあった。封筒も彼のイラストがあった。世界でたった一つ。私の為だけに作られた卓上カレンダーだ。嬉しい。「ありがとう。」礼を言うと、「お金はかかっていないけど・・・」と言う。お金はかかっていないけど、ありったけの愛情は込められている。結婚以来、ずっと休みなしの忙しい中、私のために時間を作ってくれて描いてくれたたった一つの贈り物がとっても嬉しくて、電気を消しておやすみした後でも興奮して眠れなかった。ずっと涙が溢れてきて止まらなかった。ありがとう。驚かそうと思ったのは私なのに、忙しくて買ったりしている暇は無いと思っていたのに、驚いたのは私の方だった。後から後から涙が溢れて来て止まらなかった。主人に気づかれるとまた心配掛けるので、横を向いて寝た。翌朝は、少し目が腫れていた。