塾行脚其の四
今回2つの塾を見学させていただき、自分の経験や推測を重ね合わせて出てきた「結論」であるが、塾というのは生徒にとって「居心地のいい場所」になっていなければならないと思う。猫ギター先生の塾もみかみ塾もちゃんと「無駄」がある。前回書いたようにまったく「無駄がない」というのは時間的にも空間的にもよくないことだと思う。生徒が居座ることができる、子どもにとっての快適な空間があった方がよい。「居心地がよい」と生徒がたまって色んな問題が起こる、という意見もあろう。でもそういうことは先生側できちんと指導してコントロールしつつ、「居心地のいい」場所づくりをするべきだと私は思う。商売理論ぽい言葉に置き換えると「流行る場所」を演出が必要だということだ。大人対象の店作りと子ども相手の「塾作り」は少し違う。どうしても子どもの目線で見るのを忘れがちになると思う。受付がきれいだとか、銀行のごときに整理整頓されているとか、看板が見やすいだとか、それぞれに大切であるが、それは親へのアピールである。子どもに楽しさやワクワク感を与えられている場所作りまで意識が回っている塾は意外に少ないのではないかと思う。両塾の先生が意識的にそれをなさっているのかどうかは分からないが、おそらく商売感覚ではなく、茶目っ気とか遊び心といった、先生ご自身のパーソナリティーや人柄が反映されているような気がする。これは心が自由でないとできないと私は思う。生徒を増やしたいから意識的にイラストやカードを貼ったりするのとは次元が違う。(次元が違うけれどそういうことはやってあげた方がいいと思うが)ちなみに猫ギター先生の塾の講師室には「芸能界のことが大好きなかつての教え子が書いた『朝香光代』のサインの見事な模写』というのが貼ってあった。先生が生徒にとって「居心地」のいい人というのも大切なことだと思う。生徒は「ウチの塾のセンセおもろいで」と自慢したいものであるし、話題にしたいものなのである。そういう話題が出れば塾の生徒も増えていくだろう。一番駄目なのは「学校みたいにきちんとしよう」だと思う。塾の先生は「ひと味ちがう大人」であるべきなのだ。