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テーマ:最近観た映画。(40129)
カテゴリ:心にのこる映画
「寅さん」は家族で茶の間に寝そべって観るのがいいなあ、映画館でたくさんの人と笑いながら観るのもいいけど。とにかく、レンタル店で借りてきて一人観るよりずっといい。
お正月、実家に帰ってしみじみそう思った。 いま、NHKBS2で「あゝ失恋四十八連発」というすごいタイトルをつけて、「男はつらいよ」全シリーズを連続公開している。元日に放映された木の実ナナがマドンナの「男はつらいよ 寅次郎わが道をゆく」は、何年か前にテレビ東京が同じようなシリーズをやったときに観て、今一歩だったという印象があったので、「あれはおもしろくなかったよ」と抵抗したのだが、熱烈な寅さんファンの両親に押し切られ、観てしまった。 ところが、寅さんのうわさをしていると、突然、寅さんが戻ってきて「寅や」の一同があたふたする場面、楽しい晩酌でよせばいいのに寅さんやタコ社長が余計な一言を言って喧嘩がおっぱじまり、「出て行け!」といわれた寅さんが出て行こうとするのだけどちょっと引き留められたい思いがあって、「寅や」の入り口でうろうろする場面などお約束のシーンに、うちの家族みんなで「やっぱり!」といいながら、ああでもない、こうでもない、といろいろ言いあっているうちに、あっという間に映画は終わり、とっても満足。 番組の終わりに、視聴者からの感想を紹介しているなかで、五歳や六歳の子どもの「それをいっちゃあおしめえよ」のセリフをつけたファンレターもあったりして、子どもにも愛されているみたい。 映画はやっぱりおもしろいのが一番。 最近、深夜番組で、黒澤明作品のテクニックや映画観についてあれこれ高く評価されているを何回かみたけれど、私は、どうもあの完璧な構図や華やかな色彩に気おされてしまって、映画にうまく入っていけないんです……。 監督の山田洋次さんが、ある本の中で、下町の映画館で自分のつくった「寅さん」を観たときのことを話していた(以下はうろ覚え)。 マドンナが寅さんを寝床に誘う場面で、ドヤ街のおっちゃんたちが「寅、いてまえー」と声をかけるのだけど、誠実な寅は遠慮してしまう。その姿におっちゃんたちはちょっとしゅんとなる。しかし、「だから寅はいいんだよな」という思いもおっちゃんたちのなかに残っているのを山田洋次さんは感じる。そして、「ポルノ映画と二本立てで上映されて観客が見終わったあと、しょうがないなあ俺、と思いながら、でも、がんばろうとしている自分も見つけることができる、寅さんはそういう映画であってほしい」というようなことをいっていた。 「寅さん」は、だらしない自分と同時に、それでもどっかにいいところが残っている自分を見つけさせてくれる映画。そして、家族いっしょに観ると、それを認めてくれる人たちが自分のまわりにいることをお互いに確認できてあたたかい気持ちになれる。そういうおもしろさ、にぎやかさがいい。 ああ、それにしても、自分も行き当たりばったりで暮していて、家族に心配ばかりかけてるなあ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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