『影帳 半次捕物控』 佐藤雅美
北の定廻り・同心のもとで手先(岡っ引き)をつとめる半次。先代から出入りしている大店・米問屋相模屋が窃盗の被害にあった。下手人は逮捕されたが、いつものようには【抜けない】という。なんてことのない事件のはずが・・・疑問に思った半次は調べ始めた。まず、【抜く】ということの説明が必要かと。●盗人と、○被害にあった店と、◎捕まえ取り調べる手先、の奇妙な関係。江戸では窃盗が多発。1ヶ所だけからの盗みというのはほとんどない。●を捕らえた◎は徹底的に調べる。 → 何件もの○がでる。○は奉行所(?)に呼び出される → 【引き合いをつける】※1という。※1になると、いくつかのしきたりの為、○は多くの時間と金が必要になる。その為、○は◎に“盗みはなかったこと”にしてもらう。→ 【引き合いを抜く】※2という。(金:○から◎へ)これは公然と行われており、手先の稼ぎどころであった。一方、●は牢に入る際、支度金が必要(ないとイジメをうける)。よって、●は◎にすすんで協力する。(おこぼれ:◎から●へ)(余計分かりにくかったりして)しかし、今度の事件は何故か“抜けない”という。これでは、◎半次は○相模屋に対して立つ瀬がない。(●は仙八といい、相模屋から盗んだのは雪駄一足であった)また、半次を岡っ引きに引き込んだ親分の倅、幸太郎によくない噂が・・・。“蝮の助五郎”が取り仕切る賭博に誘い込まれているのだという。悪と紙一重の岡っ引き。助五郎は、上野山下を縄張りとする名の知れた手先であり、大先輩でもあった。そして先の下手人・仙八を挙げたのが・・・助五郎であった。(このへんの縄張り、役回りがちょっとヤヤコシイ)半次は不穏なものを感じながら、行方をくらまし始めた幸太郎を追う。うわっと、長くなってしまった。何か、大変そうではないですか?えぇ、最初読むのにとても苦労しました。場所を表す固有名詞の数々に疲れてしまった。どこをどこを抜けて、どこどこに出て、どこどこの向こうにはどこどこが・・・というような感じで(これじゃ、わからんか)知らない言葉も多くて困った。(常識がないといわれればそれまで)“おさんどん” 私はこの言葉の意味すら分からなかった。台所の仕事をするお手伝いさんのことなんですね。自分の無知を棚にあげていうのは心苦しいが、不親切に感じた。『鬼平』とか読んでいる時は、あまり不便を感じたことがなかったから。ということもあって、先になかなか進まなかったのだが、【抜き】に関しては興味がわいたし、江戸に慣れだすと面白くなってきた。助五郎と対面するクライマックスとその後の予想がつかない展開。最後もいろいろと心情が交錯して、こういう結末もありかな、と。終わりに一つ白状せねばなるまい。作者の名前、【さとうまさみ】と普通に読んでました。ずっと女性だと思ってました。ただしくは、【まさよし】さんです。『影帳 半次捕物控』 佐藤雅美 講談社文庫(1995年9月第1刷発行)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・名前の読みに関して。正確にいうと、以前は【まさみ】。改名して【まさよし】と読むようにした、ということのようです。夢の助さんから教えて頂きました。ありがとうございました。・・・・・・・・・・・・・・・・最終更新日 2004年02月16日 23時20分22秒テーマ変更の為更新(内容そのまま)