13を愛した理由
約1年前のこと。04年11月に読んだ本たち。(『理由』のみ10月)『理由』 宮部みゆき『博士の愛した数式』 小川洋子『火刑法廷』 ジョン・ディクスン・カー『黒猫遁走曲』 服部まゆみ『13』 古川日出男『ローマ人の物語4 ハンニバル戦記(中)』 塩野七生多くの人が『博士の愛した数式』をイチオシするのでは?話題になった本屋大賞。さすがに面白い。って、もう文庫化してたのか。確かな数字と不確かな記憶、共に美しい。登場人物それぞれがお互いを思いやる気持ちが印象的。算数が【壁】だった私でも充分楽しめた。しかし、私にとってのベストは・・・『13』。左目だけ色弱な【響一】が持つ能力。ザイール、黒いマリア、ハリウッド、13 …読んでいるうちに内容なんてどうでも良くなっていった。この文体を、世界をあるがまま受け入れている感じ。とにかく衝撃的だった。本を読むのが楽しくて仕方がなかった。色、色、色、色。鮮やかな色彩。映像が目に浮かぶ、というよりも頭の中でドラマが進行している。その場に立っている自分がいた。癖があると思う。誰にでもお薦めではない。まどろっこしかったり、執拗だったり。合わない人にはとことん合わないかも。でも私にはハマってしまった。面白かった。こんなことがあるから読書はやめられない。(これで古川日出男万歳!となるかというと必ずしもそうではなく、次に読んだ『沈黙』はそれほど響いてはこなかった)『理由』はジャンルとして少し苦手な部類なのだが、アプローチの仕方が面白い。どう繋がり関わるのか?続きが気になりページが進んだ、気がする・・・この頃、競売物件に興味を持っていた父に対して、知ったような顔で「素人は手を出さないほうがいいよ」と言った覚えがある。『火刑法廷』頑固な分からず屋。と、これまた勝手にイメージしていた【カー】。霧が立ちこめているかのような怪しい雰囲気、謎。じっくり味わいたい作品。『黒猫遁走曲』コミカルな話かと勝手に思っていたので、少々面食らった。こういった壊れていくタイプの話は多いが、壊れ方としてはまだ許容範囲?意外に読みやすかった。『ローマ人の物語4 ハンニバル戦記(中)』いよいよスキピオ登場!既成概念を打ち破る若者の登場ってドキドキする。もう詳しく覚えていないけど、この巻あたりめちゃくちゃ面白かった。ハンニバル、スキピオと古代を代表する名将たち。成り立ちを描いた1,2巻のように、出来事を順繰りに追っていくよりも、個性のある人物に注目するほうが自然に楽しめる。少しくらいは、まとめてみたいところだけれど…・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・読んだ冊数はかなり少ないが、内容的には満足度高し。特に初めて読んだ、小川洋子、古川日出男が収穫。『ローマ人の物語』は、「ここらへんが絶頂」という話も聞くが、以後にも期待。1年以上前のこと。ゆえに私が書いている内容はかなり怪しい。ひと昔前ならば、軽く再読して書こう!と思うのだが…これで精一杯。例のごとく、タイトルに深い意味はない。気にしない気にしない。