名古屋御前能 昼の部
2008年12月12日(金) 午後1時開演
◆日舞 清元 「花月」 花月:藤間勘十郎 旅僧:西川右近 門前の者:西川千雅
◆狂言 「末広かり」 果報者:野村萬斎 太郎冠者:石田幸雄 すっぱ:野村万之介
◆半能 「石橋」 白獅子:梅若玄祥 獅子:角頭直隆・田茂井廣道
寂昭法師:宝生閑
清元「花月」
<あらすじ>
七歳の子と生き別れた旅の僧が桜咲く清水寺で、面白きものをみたいと門前の者に頼む。
やがて、「花月」という名の舞の名手が現れ、美しい舞を披露する。
その花月の持つ鞨鼓を見た旅僧は花月が生き別れた我が子である事に気づき、親子で涙の再会を果たすのだった。
舞台には既に和琴が置いてあり、唄いの方(正式な呼び名は存じません)とお三味の方々のお席が準備してありました。
もちろん、私も能楽堂で日舞を拝見するのは初めてで、一体、どんな舞台になるのかと興味深々でした。
私。。日舞って殆ど見たことがなくって、イメージ的にセリフがないものと思い込んでいたんですけど、そんなことないんですね。
能楽や歌舞伎のようにセリフがあって、ちょっとビックリ。
「花月」役の藤間勘十郎さんの舞いにはシビレました♪
美しいです。指先まで行き届いたしなやかさ&色気。
扇を扱う技にホレボレ。 流れるような扇捌きが決まってました。
舞台上の和琴とお三味線以外にも、奥から聞こえてくる太鼓や笛の音が否応にも舞台を盛り上げます。
最初は「日舞は別にいらね~よ」なんて、思っちょりましたが(ゴメンなさい~)、素敵な舞台だったので、やっぱり見られて良かったと思います(笑)
「花月」についても、途中から「うん?このストーリー知ってるわ。」と思い、確かお能でも同じ内容の曲があったのを思い出しました。
お能のタイトルもそのまんまの「花月」だった。
歌舞伎も能楽に添った演目が多いですけど、日舞もそうなんですね。
「京鹿子娘道成寺」なんて、いっとう有名だし。
機会があれば、また見たいな~って思わせてくれる「花月」でした♪
狂言 「末広かり」
<あらすじ>
果報者が一族を集めた饗応の席で上座の人に末広がりを進上するため、太郎冠者に都へ買いに行くよう命じた。
ついては地紙よく、骨がよくみがかれ、要がしっかりして、ざれ絵が描かれたものを選んで買ってくるようにと注文をつける。
都にやって来た太郎冠者は末広がりとは何か、どこで売っているのかを知らないので、物売りを真似て「末広がりを買おう」を呼び歩く。
そこに現れたのはすっぱ。太郎冠者を言葉巧みに言いくるめて古傘を売りつけたうえ、主人の機嫌が悪くなったときのために、囃子物を教えてやる。
意気揚々と帰宅した太郎冠者。さっそく果報者の主人に首尾のほどを報告するが、あきれた主人に追い出され、思案の末に最前教わった囃子物を謡い囃すと主人の機嫌がなおり、主従仲良く囃して留める。(『狂言鑑賞 二百一番』より抜粋)
萬斎さんの果報者さん。 基本的には優しい主人さんですね。
太郎冠者がすっぱに騙されて唐傘を持ち帰った時は、凄く怖い顔して怒ってましたけど、ついお囃子につられて腰が浮いちゃう所は可愛らしかったです。
大きな笑いというより、ホノボノとした雰囲気がじんわりと伝わってくる狂言ですね。
すっぱが傘を「それ。。。それ。。。それ、それ、それ~」と末広がりになるように広げてみせる様とか、独特の間が知らず知らずの内に静かな笑いを誘って、最後は心が温かくなってました。
囃子物の時は、笛・大鼓・小鼓・太鼓の四拍子も入るので華やかです。
前にも書きましたが、萬斎さんのお声が万全じゃなかったのが少し残念。
それと、こんな事言うのムッチャ生意気ですけど、萬斎さんの果報者はダイナミック過ぎたかな。。と、ちょっと思いました。
DVDで見た、万作さんの果報者&萬斎さんの太郎冠者のコンビの動きの方が美しかった気がします。
(あぁ、つい生意気な事を書いてしまった。素人がいう事じゃないですね。ごめんなさい~)
半能「石橋」
<あらすじ>
寂昭法師が清涼山へやってきて石橋を渡ろうとすると、童子が現れてそれを止め、神仏の加護がなければ、簡単に渡れるものではないと諌める。
だたし、橋の向こうは文殊菩薩の浄土であり、やがて希瑞が表れるので、しばらくここに待つように告げて姿を消す。
まもなく文殊菩薩の使者である獅子が現れ、咲き乱れた牡丹の花に戯れて勇壮な舞いを納めると、獅子の座に帰るのだった。(パンフレットより抜粋)
休憩時間中に、能舞台に白牡丹と赤牡丹の作物台が並ぶ。
「え~、あんなキワキワに置くんやね~。」とルビコンさんと見てて驚いた。
ホントに舞台の最前キワキワの所に置いてたんだもん。
面を通してだから、狭い視界しか見えないだろうに、あの台に飛び乗ったりするんだよね。
凄いことです、それは。
シテの白獅子は、最近、梅若六郎から梅若玄祥(げんしょう)に改名されたあのお方。
恰幅がいい方なので、ド迫力があります。
二匹(?)の赤獅子さんもそりゃ~もう、綺麗だしカッコいいし美しいし、一匹は橋掛かりで舞ってるから、一体舞台のどこに視線をやればいいのか困ったわ。
一匹の赤獅子さんの髪が年季が入っていたのが、ちょっと笑えた。
ひょっとしたら、お年寄りの赤獅子さんだったのかも(笑)
獅子たちの舞いも素晴らしいですけど、何と言っても囃子方の音がドーーー!と迫って来て、圧倒されました。
冒頭の番組表に載せてませんけど、笛:竹市学さん。大鼓:山本哲也さん。小鼓:大倉源次郎さん。太鼓:助川治さん。でした。
竹市さんの笛がーーっ! ピリッ!っと空気を裂くあの音が凄い。
源次郎さんの小鼓を、この眼で耳で感じられたのも嬉しかったな~。
思いのほか、舞台が早く終了して、私もルビコンさんも助かりました。
3時半終了予定が実際には3時前に終ったので、最後の「石橋」まで楽しむことが出来ました。
もし3時半終了だったら、私もルビコンさんも時間的にちょっとキツかったんです。
ちょっとお値段の高いチケットでしたが、最後まで堪能できて、またそれぞれが色の違う舞台だったので、見て良かったな~って思いました。
さて、次の舞台は来年3月の「唐人相撲」までお預けかな。
まずは、1月に発売されるチケットをGETせねば♪