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2010/02/03
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    [林吉兵衛 襲名披露能]

   京都観世会館  2010年1月31日(日) 11:00開演

 ★能 「乱 双之舞 置壺」  金剛永謹  金剛龍謹 高安勝久
      笛 森田保美 小鼓 林大輝  大鼓 谷口有辞 太鼓 前川光範

 ★能 「屋島 弓流 素働 奈須与市語」
     片山清司  分林道治 福王茂十郎 喜多雅人 永留浩史 野村萬斎
      笛 藤田六郎兵衛 小鼓 林吉兵衛 大鼓 山本孝

 ★無謡一調 「頭取」 幸正悟
 ★独吟 「鶴亀」 金春欣三
 ★舞囃子  「羽衣 和合之舞」 片山慶次郎

 ★狂言 「蝸牛」 茂山千五郎 茂山忠三郎 茂山千之丞

 ★別習一調 「夜討曾我」 浅見真州  大倉源次郎
 ★別習一調 「勧進帳」  大槻文藏  亀井忠雄

 ★半能 「石橋 大獅子」  大江又三郎  大江信行 大江泰正 大江広祐 福王和幸
      笛 杉市和 小鼓 林大和 大鼓 河村大 太鼓 前川光長


◆能[乱]
【あらすじ】もろこし金山の麓、楊子の里に高風という男がいた。孝養の賜物であろうか、霊夢をこうむり、その告げのままに、楊子の市に出て酒を売り、しだいに富貴の身となった。
ここに、毎夜酒を飲みにあらわれる若い男がちがいた。いくら盃を重ねても酔い潰れることがない。その素性をただすと、海中に住む猩々だと答えた。今夜も高風が酒をたたえて待つところへ猩々たちが現れ、存分に歓楽を尽くしたのち、高風に汲めども尽きぬ酒の泉を与えるのだった。


この[乱]というのは[猩々(しょうじょう)」の、いわゆる〈中の舞〉が「乱」という特殊な舞になる演出を曲目にしているもので、猩々が海中から浮かび上がり、波を蹴り、波に乗って流れる舞踏である。

と、パンフに書いてありました。
お酒大好きな猩々ちゃん。「双之舞」ですから、2体出てきました。
上から下まで真っ赤な出で立ち。なので、足元の白足袋が目立って、自然とそちらに目線が。
舞台中央の前方に置かれた酒壷から、お酒を飲んでは浮かれてまるでバレエダンスのような足捌きで、陽気な雰囲気が溢れていました。
シテは金剛永謹さん。シテツレはご子息の龍謹さん。龍謹さんは21才の大学生。
親子ならではのシンクロ舞いは見事でした。お父様の永謹さんの舞いは絶品ですね。素晴らしかったです♪


◆能[屋島]
【あらすじ】都方から出た旅僧が、屋島の浦までやって来て、とある塩屋に宿を借りた。ここはそのむかし源平の合戦の地だったはず、と僧はあるじの老人にいくさ語りを乞い求める。あるじは待ちもうけたように、判官のあっぱれだった大将ぶりから、三保の谷と景清の鍜(しころ)引きのこと、佐藤継信の最期などをくわしく語り、「よしつねの憂き世の夢ばし覚ましたまふなよ」と念を押して姿を消した。
僧が重ねて夢を待っていると、ありし日のりりしい出で立ちで判官義経の霊が現れて、弓流しの一件を語り、能登守教経との一戦を再現するよと見るうち、朝風とともに、僧の夢は果てるのだった。


まず、能楽堂の空気を切り裂くような藤田六郎兵衛さんの強烈な笛の音で始まりました!
痺れますね~。ビンビン肚の底に響いてきます。
前場はどうしても、眠くなる。。。語られる言葉に一生懸命に耳を傾けるのですけど、詞章がわからずついていけない。
そして、つい夢の世界へと飛んでしまう。。
でもでも、途中でアイの萬斎さんが揚幕の脇からスッと出てこられてからは、俄然、視線がそちらに釘付け☆(≧∀≦)☆
その時、見所の空気が微妙に動いた気がする。やっぱり、萬斎さんを楽しみにしている人は多いんだな。
萬斎さんが登場された時、久しぶりに体の中の血が逆流というか、引くというか、指先が痺れるような感じになりました。
能の中の間狂言だったからかな。緊張感がジワジワと押し寄せるような、そんな感じ。。
ずーーっと狂言座にいらっしゃる萬斎さんの方を見ていたせいで、シテが舞台でシヲって(泣く)いるのを見逃した( ̄∀ ̄;)
シテの中入り後、浦人の萬斎さんが旅僧に乞われて、奈須与市のお話をされることになります。
「なにぶん昔のことなので、私も良く存知ませんが。。」
と、言いながら、『それにしてはいやに詳しいじゃありませんか!』と、突っ込みたくなるような熱演ぶり(笑)
そこはそれ、判官さんの霊が乗り移っているのかも知れないですね。
平家の船上に掲げられた扇。この扇の的を射てみよ!という官女の挑発に、義経は後藤兵衛実基が推薦する那須与市に命を下しますが、一旦、与市は断って、義経の逆鱗に触れます。
与市は射損じたら自害する覚悟で、馬に乗り波打ち際に寄せて、弓を引き矢を放つと、見事に命中~~。
これには、平家方も義経方もヤンヤヤンヤの大騒ぎ♪
義経さんはご褒美に「奥に行って、お乳を吸うて来い」と与市に言うのです~。
まだお若い与市さん。ママのお乳を吸ったのか、お姉ちゃんのお乳だったのか、定かではございませんが、たっぷりと堪能されたことでしょう(笑)
馬を駆って波打ち際に走り寄る様子や、波に見え隠れする扇の的に向かって放たれる矢が自然と目に浮かぶ。。そんな迫力のある語りでした。
語り終えると、浦人さんは静かにご退場~。
その後、後シテの義経さんのご登場です。
それでね。萬斎さんの間狂言の時に、ニュースで目にした「小鼓方が蔓桶に腰掛け、シテが床机に座る」という準備が密かに行われていました。
今回の主役は、襲名披露された小鼓方の林吉兵衛さんですものね♪
いつもの床机ではなく、蔓桶に座してのお披露目。ほんとに珍しいものを見せていただけて光栄でした。
そいでもって、義経さん。戦いの途中で弓を落とし、それが身長の低い義経さんに合った短い弓だったため、「義経、小兵なり」と敵方に侮られ、身の危険を顧みず相手方の中に突っ込んで弓を拾う。。というのが「弓流」や「素働」という小書きの演出だということです。
ふむふむ。。確かにシテが弓に見立てた扇をパッタリと落としました。
そして、無謀ともいえる突進も見ていて良くわかりました。
でも、何度か睡魔が私を襲ったのも事実~。暖房の効いた能楽堂はまるでユリカゴのようなのです。(←苦しい言い訳)
九郎判官義経。キラ星の如く輝いた人でしたが、終焉は哀しいものでしたね。
いろいろ心残りがあっただろうな。。と、想いを馳せる[屋島]でした。



◆狂言[蝸牛]
【あらすじ】山伏は早朝に旅立ったためか眠くなり、てごろな竹やぶに入って休息する。長命の祖父にますます長生きをしてもらうには蝸牛を食べさせればいいと聞いた主人は、太郎冠者に蝸牛をとってこいと命ずる。蝸牛がどんなものかを知らない太郎冠者は竹やぶに行けば必ずいると聞いて出かける。そして、竹やぶには主人から聞いたとおりの特徴を持った者が寝ていた。山伏は太郎冠者をなぶってやろうと、法螺貝を見せたり、すずかけを角のように見せたりして信用させる。そして、一緒に来て欲しいという太郎冠者の求めに、囃子に乗ってなら行ってやろうといい、面白く浮かれてたわむれる。そこへ主人がやって来て、太郎冠者に蝸牛ではなく山伏だと教えるのだが、山伏の術にかけられ、主人も一緒になって囃子に浮かれて退場する。

「はぁ~あ。あ~めもか~ぜもふかぬ~に、でなかま、うちわろう~。でなかま、うちわろう~。」
「で~んで~んむしむし~。で~んで~ん、むしむし。で~んで~ん、むしむし。で~んで~ん、むしむしぃ~。」
舞台が終ってから、ずーっと頭の中でグルグル回る囃子唄。
何回みても、笑える曲です。
ずーっとここまでお能が続いていたので、ホッと息抜きが出来て、肩に力を入れないで見れる舞台でした。
太郎冠者の千之丞さんのホノボノとした味と、「はぁ~あ。」と言って始めるお囃子の間がなんとも言えず、勝手に笑えてしまいました。
千五郎さんの如何わしい山伏は、相変わらず陽気で憎めないキャラでした。
冒頭の名乗りの「山伏でぇ~す。」で、一発笑いを取ると、後はお手の物ですね。
最初はさざ波のような笑いでも、最後には見所を爆笑させている。
主人役は忠三郎さんとなっていましたが、もっとお若い方でしたねぇ。
確か忠三郎さんは、万作さんくらいの年齢だったと思うのですが。。ご子息の良暢さんだったのかも。
茂山忠三郎家の狂言はあまり目にしたことがないので、お顔もイマイチわからなくて。
主人役の方、お声の通りが良くて、歌舞伎役者のようなお顔だな~って思いました。亀次郎さんとか舞踊家の藤間勘十郎さんのような感じ。
忠三郎家もこれからは、要チェックです。


◆別習一調 「夜討曾我」
大倉源次郎さんが小鼓方でのご登場。 あ~、やっぱり男前だな。源次郎さん♪
どうやらこの日は、朝は神奈川でお仕事があって、それから京都入りされたそうです。
それも、朝から新幹線が動いていない。。という情報が入って、焦られていたとのこと。
そんなハラハラドキドキがあったなど、微塵も感じない素晴らしい一調でした☆彡



今回は、最後まで見る時間がなくて、能「石橋」は見れてません。
白獅子一体、赤獅子三体が登場する豪華な内容だったようです~。
こうして思えば、本当に豪華なメンバー&豪華な演目だったなぁ。
お席は、あんず.さんが素晴らしい場所を確保して下さったお陰で、少し後方ではありましたが真正面から舞台を見られて、たっぷりと堪能出来ました。
偶然に見つけた公演で、お値段の高さに目をむきましたが、見に行って良かったです~。

長くて取りとめも無いレポですが、最後まで読んで下さってありがとうございました♪






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最終更新日  2010/02/04 11:13:04 AM
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