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2011/11/27
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狂言 [ござる乃座] in KYOTO 6th

     2011年11月26日(土)  14:00開演

◆『鬼瓦』   大名 野村万作   太郎冠者 深田博治
◆『川上』   盲目の夫 野村萬斎  妻 高野和憲
◆『釣針』   太郎冠者 野村萬斎  主 高野和憲  妻 月崎晴夫
        腰元 竹山悠樹・深田博治・内藤連  乙 中村修一


★『鬼瓦』
  長期在京した遠国の者が帰郷するにあたり、太郎冠者を伴って因幡堂の薬師如来へ
  参詣に出掛ける。参詣の後、薬師如来を勧請し、堂を国元に建てたいと、境内を
  見物しはじめる。ふと、鬼瓦を見ているうち、主人は泣き出す。そのわけは・・


この演目は2回目の観賞です。
名古屋のござるで3年前に拝見して以来です。あの時は万作さんの大名と太郎冠者は竹山さんでした。
あの時も万作さんの語りによって因幡堂の佇まいが目に浮かぶようでしたが、今回は一段とそれを感じました。
語る様子が押しつけがましいところもなく、本当にお堂の造りを素晴らしいものと感じているのが伝わってきました。
やっぱり、熟練の業と申しますか、萬斎さんがパンフレットのご挨拶で『八十を超えた父の味わいが滲みでることでしょう』と書かれていましたが、本当にその通りでしたよ。
太郎冠者は深田さんでしたが、この演目に出てくる太郎冠者は主人にとても忠実で心優しく、主人が誠実な人なれば、その人に仕える人もまじめなんだな~って思った。
その点、深田さんはまじめな太郎冠者が似合いますね。
そのまじめさゆえに、大名が鬼瓦を見て「妻に似ている~」と号泣するときに、「本当に似てますね」と答えるのが悪気ない酷評となって見所の笑いを誘うんですよね。



★『川上』
  霊験あらたかな川上地蔵に開眼祈願の参詣をした盲目の男。夢のお告げを得て目があく。
  ただし、妻と離別することが条件。それを聞いた妻は腹を立て、承知しない。
  やむなく男も連れ添う決心をする。すると・・


これはいろんな意味で考えさせられる曲ですね。
せっかく、目が見えるようになったのに、妻と連れ添う事を選んだためにまた元の木阿弥に。。
笑ない話ですが、お地蔵さまからお告げをいただいたら、今まで献身的に尽くしてくれた妻をさっさと離縁しようとする夫の態度に「んな、アホな」と失笑したり(ここは私も笑った)『こんな事なら杖を捨てるのじゃなかった・・』と夫が悔いるところで笑いが起こる(ここは笑えなかった)のは、ひょっとしたら関西的な感覚かも知れないとちょっと思った。
夫と離縁しなければ、せっかく見えるようになった目の光が奪われると聞いても、納得できない妻の心情は良く理解出来ます。
それも夫から何の迷いもなく、「離縁する」と言われれば尚更。
でも、妻に離縁を拒否られて「それなら仕方ない・・」と、このまま連れ添う事を選んだ夫の情けも十分伝わって来てジーンとしたり。
「まさか、一度見えたものがそうやすやすと見えなくなるものか」と高をくくる妻の気持ちもよくわかる。
それゆえに、再度見えなくなって嘆き悲しむ二人のその後を思うにつけ、今まで通りの暮らしに戻るように見えて心の中は後悔やら恨みやらが顔を出し、それでも表に出してはいけない葛藤があるんだろうな~と想像しました。
「私だったらどうするだろう・・」いろいろ考えてみても答えは出なかったです。

〈萌え感想。。〉
片手で杖をつきながら、行き先を探るために延ばされたもう片方の手。
すっと延ばされた手の美しいこと。2階席からでもその気品は際立っておりました。



★『釣針』
  独身の主人は妻を授けてもらうため、太郎冠者を連れて西の宮で通夜をする。
  夢のお告げに従い、釣り針で太郎冠者に釣らせる。太郎冠者は首尾よく主人の奥様を釣り、
  続けて腰元たちを釣る。太郎冠者は自分も妻を得たいと思い、さらに妻を求めて女を釣る。
  恥ずかしがりつつ対面におよび、女が被った衣をとってみると・・・。


大黒様や蛭子様のお告げとはいえ、妻を釣るなんて突飛もない話は狂言ならではですよね~。
でも、今でもお見合いするときに相手に渡す自己紹介の文章を「釣書」って言いますからね。
あながち、ありえない話じゃない・・?それにまた、お告げ通り釣れちゃうから面白い!
見目の良い、十七、八の奥様を釣る太郎冠者さん。腰元も4人も釣れちゃってww
それぞれ、顔をあらためることなく婚礼の支度のために主人ともども退場しちゃったけど、太郎冠者さんがチラ見した奥様は。。
あの太郎冠者さんのリアクションを見れば、絶対、見目麗しいとはいえないお顔立ちだったに違いない。
案の定、自分の妻にと釣った女の被きを取ると、オカチメンコな顔が現れてビックラコww
まぁ、いちいち太郎冠者さんのリアクションが面白くてたくさん笑った演目でした。
    〈釣ろうよ~釣ろうよ~、奥様を釣ろうよ~〉
何度も頭の中でリフレインするフレーズです。
自分の妻を釣るとき、一段と張り切って釣りに行く太郎冠者さんが可愛かった。


今回の「京都ござる乃座」は、ファンクラブの先行予約の申し込みもチケットの事前購入もしていませんでした。
義父の病状が不安定だったので、いつ何時。。という不安があったからです。
けれど、義父が先月亡くなり、たまたま26日(土)は何の予定も入らなかったので、行こうかなと思い立ったのが、前日の25日。
珍しい事にチケットがまだ残っていたのもラッキーでした。当日券を会場で購入して、見ることが出来ました。
B席しか残っていなくて、中正面の一番後ろの席か2階席だったんですけど、私は2階席の方を選びました。
席にガッツリ腰かけると、舞台の前部分が目の前の手すりで隠れてしまうので、浅く腰かけて背筋を伸ばしてみなくちゃいけなかったけど、よ~~く見えました。
上から見たのは初めてでしたが、舞台が全部見渡せて良かった。
さほど大きくない能楽堂なので2階からでも近く感じました。

今回は3曲とも「参詣する」という共通点があって、『鬼瓦』では因幡堂での深田さんと万作さんの参詣の所作がぴったりと合っていて、さすがだな~って思った。
『釣針』では西宮を詣でる高野さんと萬斎さんの所作でしたが、こちらも息が合っていて良かったです。

『川上』も『釣針』も願掛けしたらありがたいお告げがあって、幸せになるように見えて、結末は悲惨なものとなるわけで。。
信仰は大切だけども、それに頼ってばかりでは良い事はないですよ。。という教訓めいたものなのかな。。と、私なりに思いました。


久しぶりに見た万作家の狂言。万作さんもお元気そうで、安心しました。
今後も予定はなかなか立てられませんけど、行ける時に行けたらな~と思います。






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最終更新日  2011/11/27 11:24:28 PM
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