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2012/02/20
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春秋座 『能と狂言』

   京都芸術劇場 春秋座 2012年2月18日(土) 14時開演

★プレトーク  渡辺守章  松岡心平
★狂言「末広かり」 野村万作  野村萬斎  石田幸雄
★能 「葵上」 観世銕之丞 馬野正基 福王和幸 喜多雅人 深田博治

   笛:藤田六朗兵衛 亀井広忠 大倉源次郎 前川光範



雪の舞い散る京都。薄っすら雪化粧に身を包んだ古都はそれはそれは風情あって。。
なんて!悠長な事は言ってられません! なんどすか?! この気候は。。。
寒い。。寒すぎる~~。
ってか、電車遅れてるし。。っつか、思いっきり南雪ですやん。
「南雪」なんて言葉、ここで書いてもわかりませんよねぇ。
いやね。湖国の冬のお天気は南か北かで大いに違うのです。
県の南部は晴天でも北部は大雪だったりして、180度違うと言っても過言ではないんです。
私はどちらかというと北部に住んでいますので、この日の朝も当然、雪景色でした。
ですが、電車で南に向かうほど(京都方面へ)積雪量と降雪量が半端なかった。
さすがに京都は道にまで雪は積もってなかったですけどね。
でも、終日チラチラと雪が舞う、本当に寒い一日でした。

さすがは「嵐を呼ぶ男」という異名を持つ萬斎さん。
ここのところ、私が寄せてもらう公演は良い気候が続いていましたが、この日は「良い」とは言えませんでしたねぇ。
2月の半ば過ぎに京都に雪が降るなんて、本当に珍しい事です。

そんなわけで(どんなわけでしょう?) 今回も娘と一緒に鑑賞に出掛けました。
現地で、萬友のあんず.さんと合流です♪
何度となく出掛けている京都芸術劇場ですが、娘と行くのは初でした。

能・狂言の演目の前に京都造形芸術大学舞台芸術研究センター所長の渡辺守章先生と、東京大学院教授の松岡心平先生のプレトークがありました。(30分)
昨年もこのツーショットを拝見したんですけど、お二人の頭脳にはどれだけの知識が詰まっているんだろ~と、私の貧祖な上辺かじりの知識では到底、理解出来るわけもなく。。
思考が一時停止する事もシバシバ。。
そんな中でも何とか私の脳ミソに留まったお話を書いてみます。

まずは狂言について。
狂言はセリフ劇であり、尚且つ、音曲があり、舞・謡など祝言的である。
狂言の笑いというと風刺的な意味合いが強いけれど、それだけではなく、呪術性の笑いも含まれている。
能の「翁」は白式尉の面を付けて出ますが、その面が笑い顔であること。
「面白い」という言葉はその字の通り、面(おもて)が白いということで、それはアマテラスが岩戸隠れをしたときにアメノウズメが踊り、集まった神々が笑って大騒ぎしているのが気になって、アマテラスが岩戸を少し開けて覗いた時に、強い光が神々の面(顔)に当たって白く輝いたというところから来ている(世阿弥の風姿花伝にも記載)
このアメノウズメの踊りは猿楽はもとより、すべての芸能の原点である。

などなど。アマテラスやアメノウズメというキーワードを聴くと、どうしても「陰陽師2」を思い出してしまって、耳がダンボになってしまいました(笑)
その後、つながりとしてギリシャ神話の神々の名前が出たりして(もう、ここら辺からついていけませんでした(苦笑))、七夕の織姫やアマテラスが岩戸隠れした原因のスサノオが機織り中のアマテラスのホトを突くという近親相〇話にまで発展。
神々の話は壮大過ぎてオツムがついていきませんでした。(モンスターエンジンの「神々の遊び」で表現してくれたらわかったかも(爆))

「葵上」については、能では実際、葵上が登場しなくて舞台に置いた「小袖」で葵上が病で臥せっているというのを表現しているという、画期的な手法を使えるのが能の素晴らしいところ。
「葵上」は世阿弥の作品ではなくて、近江猿楽で演じられていたもの。世阿弥の能には女の鬼はあまり出てこない。
源氏物語の「葵上」では六条御息所の生霊が巫女に取りついたり、果ては病臥の葵上に取りついて、葵上に御息所の心を語らせているというもので、実際に目にえるわけではない。
源氏物語は中世の頃は万人に読まれたいたわけではなく、どちらかというと能の「葵上」を見て源氏物語というものを認識したんではないか。
近江猿楽では、葵上の生霊をよりわかりやすくするために鬼として見せた。
今は学校で源氏物語を勉強するしポピュラーな文学だけれど、渡辺先生の年代は能の葵上を見て、源氏物語を知った
という事でした。

渡辺先生が進行しながらのプレトークでしたが、時間配分などを気にして前に進めていたのは松岡先生でした(笑)
渡辺先生はもっと話したい事があったんじゃないかな~。


では次は狂言「末広かり」です。


★狂言 「末広かり」
果報者(万作さん)が天下太平のめでたい時代だから、多くの客を集め宴を開こうとする。
ついては贈り物として末広がりを用意したい。そこで太郎冠者(萬斎さん)をよびだし、都へ買いにいかせる。
しかし、太郎冠者は末広がりがどのようなものか知らず、都を走りまわるばかりである。
そこに都の男(石田さん)がやってきて、事情を尋ねる。男は末広がりならば自分が商っているとだまして。古傘を高く売りつける。
なるほど傘は末広がりの特徴を備えている。喜んで買い求める太郎冠者に、男は主人の機嫌を直す囃子物まで教えてくれた。
太郎冠者は急いで戻り、主人に末広がりを見せるが、主人は末広がりとは扇のことでこれは傘ではないかと叱り、家から追い出す。
困った太郎冠者は、都で教えられた囃子物のことを思い出し、謡ってみる。
すると主人はその囃子物に浮かれて機嫌を直し、太郎冠者を再び家に招き入れる。(狂言ハンドブックより)



万作さんと萬斎さん親子の主従。ラストの謡いシーンは息がピッタリでホントに良いものを見せていただいたという気持ちで一杯になりました。
「末広かり」は以前、萬斎さんの果報者、石田さんの太郎冠者(都の男は深田さん)で拝見したことがありました。
あの時は、おこがましくも「萬斎さんの果報者はダイナミック過ぎる。」な~んていう感想を持ってしまいましたが、やはり万作さんの果報者の方が無駄な動きもなく、シンプルな中にコミカルさやワクワク感が上品に表現されていて、とても良かった。
片足でピョンピョンと何度も跳ねて、多分、体力的にもツライと思いますが、そんなそぶりを毛ほども見せない軽やかさ。
万作さんの後ろに回って、傘をさしかけながら一緒に片足で跳ねる萬斎さんがちょっぴり気を使ってらっしゃるような目線でいらっしゃったのが印象的だった。
演目が終わり、万作さんが退出するとき、サッと素早く体を反転されたのを見て、まだまだキレてるな~~って、ホントに最後の最後まで魅せて下さるよな~~と、感激しきりでした。

萬斎さんは本当に田舎者らしく、なんでも素直に信じてしまう気のいい太郎冠者さんでした。
やっぱり、なんといっても声が素晴らしい~~ですよね。
男から習った囃子物を謡う時の声なんか最高です。
あのお声を録音して毎日、耳元で聴いていたいくらいです。
春秋座は花道があるので、いつもなら橋掛かりで謡われる囃子物を花道でされていました。
私の席からは後ろになるので、見えない位置で謡われていたんですが、囃子物につられて良い気分になってくる果報者さんの動きを見ていたくて、どちらかというと萬斎さんより万作さんの方を見ていたかな。
萬斎さんのお声だけでも充分でしたからね。(小鼓の源次郎さんを見ていたいという気持ちも大いに働いていましたし(笑))
果報者さんに「帰って来い~」と言われて、花道から片足でぴょんぴょん跳ねて舞台中央に戻って来られた時は、見所から「おおーー」っていう感嘆の風が吹いてましたねぇ。
こういう時のダイナミックさはピカイチで美しい。


生の舞台はやっぱりいいもんですね。息遣いや衣ずれの音も聞こえて、装束が翻るたびに風を感じる。
見所のノリも段々と上昇するし、演者も見所も一体化しているのを感じます。
関西のノリはやっぱりいいのかもしれない。ちょっとした事でも笑ってしまうんですよね、これが。
もうすぐ、主人に怒られちゃうぞ~~~って、わかるだけでもクスクス笑えてしまう。


で、次は能「葵上」だったんですが。。
事情により、見ずに帰りました。あ~~、なんて勿体ない!
銕之丞さん(シテ)なのに、福王さん(ワキ)なのに。。これ以上ない、囃子方なのに!
でも仕方ない。後ろ髪ひかれる思いで会場を後にしました。
「葵上」もとっても楽しみにしていたんですけどね。
能楽堂と違って、また花道を使った演出だったんだろうなぁ。


ちなみに、来年の公演日も決定しているようです。

 ――春秋座 能と狂言――
  2013年2月2日(土)
   能『融』 観世銕之丞 ほか
   狂言『磁石』  野村万作・野村萬斎 ほか
 






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最終更新日  2012/02/20 11:16:44 PM
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