テーマ:好きなクラシック(2327)
カテゴリ:オペラ
鑑賞日:2023年10月16(土)15:00開演 入場料:11,000円(12列) 【主催】神奈川県立音楽堂((財)神奈川芸術文化財団) 音楽堂室内オペラ・プロジェクト第6弾 鈴木優人指揮バッハ・コレギウム・ジャパン 歌劇「ジュリオ・チェーザレ」(セミ・ステージ形式) ヘンデル作曲 全3幕(イタリア語上演・日本語字幕付) 会場:神奈川県立音楽堂 スタッフ: 指揮・チェンバロ:鈴木優人 管弦楽 :バッハ・コレギウム・ジャパン 演 出 :佐藤美晴 衣 装 :臼井梨恵 照 明 :稲葉直人 出演: クレオパトラ:森 麻季 セスト :松井亜希 チェーザレ :ティム・ミード トロメーオ :アレクサンダー・チャンス コーネリア :マリアンネ・ベアーテ・キーラント ニレーノ :藤木大地 クーリオ :加藤宏隆 アキッラ :大西宇宙 感想: 神奈川県立音楽堂の室内オペラ・プロジェクト第6弾はBCJによるヘンデル「ジュリオ・チェーザレ」の公演があるとのことで、ようやく少し涼しくなった秋空の下、紅葉坂を登って音楽堂へ。 開演30分前に、指揮者の鈴木優人と演出家の佐藤美晴によるプレトークが有り。 2020年10月のBCJ「リナルド」は、新型コロナの影響で海外歌手が来日できなかったが、今回はすべて予定通りの配役となり、本オペラは先の2公演(10/7兵庫芸術文化センター、10/10東京オペラシティー)は素晴らしい歌手の出来とのことで、本日の最終公演が更に楽しみに。チケットはSould-Outで当日券無し。 今回セミ・ステージ形式で舞台は張り出しで幕は無し。オケの周りを囲むように四方に山台を配置。舞台左右は直接舞台裏が見えないよう衝立が置かれている。山台側面には赤色のギリシャ象形文字が貼られ、公演前や休憩時間は舞台袖の字幕装置にも表示されていた。 舞台左右には松明の明かりが4つのみ。その他ナイフや剣などの小道具以外に装置は使わず、照明を使って、影絵の様に庭や牢屋、海岸を表し場面転換を行っていた。瞬時に次の場面に移り、音楽が途切れること無く、大変良かった。 衣装は、ローマ側は白色を基調に、エジプト側は金色や青色などカラフルな色を使いそれらしい形状。クーリオとアキッラの二人は、ヤンキー的な危なっかしいもので面白い。 歌手は海外、日本の方含め全て良かった。特にタイトルロールのティム・ミードは素晴らしいカウンターテナーの歌声。場面や心情に合わせ、戦いの場面では見栄を切った様な切れのある強い歌声で、アジリタも完璧に、消え入るような弱音も最後まで聞こえて来る。クレオパトラとの重唱も実に美しい。昨年の新国立も歌ってほしかった。 トロメーオ役のアレクサンダー・チャンスもカウンターテナーで、柔らかな歌声の中にも、姉への恨みやチェーザレへの敵対心など強い声もあり、悪役としての演技も良い。 昨年の新国立でタイトルロールを歌ったマリアンネ・ベアーテ・キーラントがコーネリアの女性役。落ち着いたコントラルトの歌声で、低音も十分に聞こえ、夫を殺された妻の悲しみが伝わってくる。 日本人歌手ではクレオパトラ役の森麻季が美貌と抜群のスタイルを強調する衣装で正しく女王の容姿。2幕冒頭の美徳の女神の姿でチェーザレを誘惑する「優しい眼差しよ」の場面では、下手山台奥からハープ他の4名が後部山台に上がったバンダと共に歌い、チェーザレを虜に。 3幕「この胸に息のある限り」もその愛と悲しみが歌から伝わり素晴らしかった。 セスト役の松井亜希も多くのアリアを丁寧に歌えて良かった。今回ほとんどカット無しとのことで、前回の新国立ではカットが多かったと思われる。 低音のアキッラ役の大西宇宙、クーリオ役の加藤宏隆も、演技含め迫力のある歌声だった。 一番驚いたのは、ニレーノ役の藤木大地で、2幕始まる前のシューニング時に登場してチェンバロを鳴らし笑いを誘い、歌う以外の場面でも登場して演技を加え、舞台の盛り上げに一役買っていた。歌はいつものように明るく素晴らしい。このような端役に使うとは贅沢な布陣。 あと3幕フィナーレの合唱は、出演者全てが舞台上に登場して歌っていた。プログラムにも合唱の表記ないことから、1幕他の影歌の合唱も出演者皆さんで歌っていたと思われる。 オケはチェンバロ3台が中央と左右に置かれ、鈴木優人が中央のチェンバロでレチタティーヴォ部分の多くを演奏。デオルボ、リュートなど古楽器もあり、バロックの響きを楽しめた。途中歌手の旋律とエコーになる所では、その楽器演奏者が立ち上がって演奏し臨場感が生まれた。 冒頭や戦いの部分では4本(2調性x2本)のナチュラルホルンが加わり、力強い響きに。視覚含め端々まで考えられた演奏で流石BCJ。 そして、全てバランス良く聞こえて来るのは、1,000人規模、1階席のみで木製の神奈川県立音楽堂ホールの音響のためであり、入場料も高く感じられない。これが新国立劇場のような規模のホールだと音量不足等で音楽のバランスが崩れるだろう。 休憩2回入れて4時間30分越えの演奏だったが、全く退屈せず。 ぜひ、今後も当ホールでバロックオペラの公演を続けて欲しい。 End お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023.10.22 18:18:40
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