テーマ:好きなクラシック(2327)
カテゴリ:オペラ
鑑賞日:2024年10月6日(日)14:00開演 入場料:5,000円(開館50周年記念割引席 1階11列) 【主催】神奈川県民ホール [(財)神奈川芸術文化財団] 神奈川県民ホール開館50周年記念オペラシリーズVol.2 サルヴァトーレ・シャリーノ作曲 『ローエングリン』 (日本初演/日本語訳上演 *一部原語上演) 会場:神奈川県民ホール 大ホール 【プログラム】<第1部> 『瓦礫のある風景』(2022年)[日本初演] 作曲:サルヴァトーレ・シャリーノ 指揮:杉山 洋一 <第2部> 『ローエングリン』 原作:ジュール・ラフォルグ 音楽・台本:サルヴァトーレ・シャリーノ 修辞:大崎 清夏 演出・美術:吉開 菜央・山崎 阿弥 作品構成:プロローグ、第1~4場、エピローグ 指揮:杉山 洋一 出演 エルザ役:橋本 愛 【演奏】●ローエングリン ◆瓦礫のある風景 成田 達輝 ●◆(ヴァイオリン/コンサートマスター)、 百留 敬雄 ●(ヴァイオリン) 東条 慧 ●(ヴィオラ) 笹沼 樹 ●◆(チェロ) 加藤 雄太 ●◆(コントラバス) 齋藤 志野 ●◆(フルート) 山本 英 ●(フルート) 鷹栖 美恵子 ●◆(オーボエ) 田中 香織 ●◆(クラリネット)、 マルコス・ペレス・ミランダ ●(クラリネット) 鈴木 一成 ●(ファゴット) 岡野 公孝 ●(ファゴット) 福川 伸陽 ●(ホルン) 守岡 未央 ●(トランペット) 古賀 光 ●(トロンボーン) 新野 将之 ●◆(打楽器) 金沢 青児 ●(テノール) 松平 敬 ●(バリトン) 新見 準平 ●(バス) 山田 剛史 ◆(ピアノ) 藤元 高輝 ◆(ギター) スタッフ 振 付 :柿崎 麻莉子 照 明 :高田 政義 音 響 :菊地 徹 衣 裳 :幾左田 千佳 副指揮 :矢野 雄太 音楽アシスタント:小松 桃、市橋 杏子、眞壁 謙太郎 演出助手:田丸 一宏 スタイリング:清水 奈緒美 ヘアメイク :石川 ひろ子 舞台監督 :山貫 理恵 ステージマネージャー: 杉浦 友彦 制 作 :神奈川県民ホール、山根 悟郎、坂元 恵海 感想 神奈川県民ホールは先日発表があり、2025年4月1日から施設老朽化に伴う休館が発表され「休館期間は未定」となっている。 1975年に建てられ1991年頃の大規模耐震工事の後、2013年11月~2014年9月まで耐震補強工事、2017年7月~2018年5月まで電気設備・舞台機構の改修工事実施の休館があり、このまましばらくは運営継続と思っていたが、昨年6月に急に再開未定で休館とのアナウンスがあった。 20年間以上に渡り神奈川芸術文化財団・理事、芸術総監督を務めた一柳慧氏が2022年10月に亡くなり、それを待っていたかのように翌年直ぐの発表となっているのは偶然ではないでしょう。 山下埠頭のIR計画が頓挫したため、黒岩神奈川県知事は中野サンプラザのように民間資本で商業複合施設を建てたい様だが、中野サンプラザも費用面で止まっており、方針が決まるにはまだまだ時間が掛かりそう。 神奈川県には横浜MMホールやミューザ川崎などクラシック音楽専用ホールは増えているが、2000人以上収容でオケピットがあり、本格的なオペラを上演出来るのは神奈川県民ホールだけであり、現ホールの改修か、同規模のホールを早く建ててほしい。 東京文化会館も大規模改修工事で2026年5月~2028年度中まで休館とのことで、このままでは首都圏で2000人規模で本格的なオペラ上演できるホールが新国立劇場しかなくなる状況に(音響の悪いNHKホールやオーチャードホールでは観たくない)。 また一柳慧氏が芸術監督に就任してから、芸術財団(ホール)主催のクラシック公演が多く実施され、オペラではびわ湖ホール他の地方のホールと共同での大掛かりな公演が毎年開催され、東京二期会、藤原歌劇団他から役に最適な歌手が選ばれ、他では観られない自主公演になっていた。 その主催オペラ公演の最後がサルヴァトーレ・シャリーノ作曲「ローエングリン」と現代オペラの日本初演(ある意味故一柳慧氏の遺言か?)があるため、残暑の中、中華街ランチ(杜記で刀削麺)のあと、山下公園まで出かけた。 今回マイナーな作品のため、チケットは1階席と2階席一部しか販売されず。そのため1階中央の前方列を開館50周年記念割引席(5,000円)が設けられたため、かながわメンバーズ(KAme)発売日にゲット。その後主演の橋本愛の人気もあり、3階席の一部も追加販売となった様。また、ホールから「花束、花輪お断り」の珍しい事前告知も出たようで。 幕が開き舞台後ろ半分は黒いカーテンが引かれた状態。5分押しで客電が落とされ、舞台上に演奏者、指揮者が登場。 第1部は『瓦礫のある風景』は、プログラムによると2022年にロシアのウクライナ侵攻に対し作曲され、3楽章構成でショパンのマズルカが引用されていると書かれている。ピアノ演奏者は立ったまま直接弦を弾いて演奏、弦楽器も弦を擦るような音で不協和音を途切れ途切れに奏でる。1、2楽章ではほとんどメロディーらしきものが聞こえず、3楽章でようやく管楽器からメロディーらしいものが聞こえてきたが、パーカッション奏者が前に出てきてラチェットでネジを巻くような音を鳴らし続けていた。やはり現代前衛作曲家の作品は難しい。 25分の休憩を挟んで、第2部は『ローエングリン』。指揮者、オケ、合唱はオーケストラピットに入っての演奏。 幕が開くと、薄暗い中に舞台上にはエルザ役の橋本愛が白い衣装を着て一人で立っている。 舞台奥には全面に白い幕が引かれ、そこへベッドの影や水の波紋が映し出される。橋本愛はセリフ、叫び、舌打ち等をオケの音楽に合わせ発し、ほぼ直立状態で手を動かすだけの演技が続く。 舞台前方中央に黒い箱がありプロンプターと思われるが、約1時間、楽譜に指定された音楽に合わせ発声し続けることは、多くの練習期間と本番での集中力、演技力が必要だったでしょう。 プログラムには「プロローグ、第1~4場、エピローグ」と書かれているが、連続で演奏され、エピローグと思われる所で白い幕が上がり、3段程の山台の上に実物のベッドが置かれている。そこで初めてエルザが山台を登ってベッドの上の枕を取り上げ、歌らしきものを歌う。枕が舞台上に上がって行き、代わりにピンク色の羽のようなものが降りて来る所で暗転。 これをオペラと言えるのかは良くわからないが、楽譜を元に演奏、演技されているので単なる演劇でないのは確か。 舞台が明るくなりカーテンコール。1階席前方はスタンディングオベーション。 これ位の規模であれば、神奈川県ホールの大ホールでなく、神奈川県立音楽堂や神奈川芸術劇場の方が良かったように思うが。このような現代前衛オペラを国内で同規模で観ることは今後ないでしょう。 とにもかくにも神奈川県民ホールの主催公演オペラはこれで終了。 何年先になるか変わらないが、ここで再びオペラ公演を見ることが出来るだろうか? 今回の公演が最後にならないことを祈るばかり。 End お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.10.10 23:21:26
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