「METライブビューイング」は中々お手ごろ!
鑑賞日:2006年12月31日(日) 13:00開演入場料:4,000 1階席(13列21番)主催:松竹株式会社METライブビューイング〈第一作〉モーツァルト作曲『魔笛』英語上演(日本語字幕)会場:歌舞伎座指 揮:ジェイムズ・レヴァイン 演 出:ジュリー・テイモアー 管弦楽:メトロポリタン歌劇場管弦楽団合 唱:メトロポリタン歌劇場合唱団出 演パミーナ :イン・ファン夜の女王 :エリカ・ミクローザパパゲーノ:ネイサン・ガンタミーノ :マシュー・ポレンザーニザラストロ:ルネ・パーペ感想年末の第九の合唱も無事終わり、あっという間に大晦日。午前中に買出しにつき合わされ、昼食をかき込んでどうにか開演前に会場へ到着。ゆっくりとホテルのレストランでワイン片手に食事をしてから、オペラ鑑賞を出来るようになるのはいつの日か・・・。今日の会場はなんと「歌舞伎座」。前を通ったことは何度もあるが、入るのは初めて。明日の正月初春歌舞伎公演のため壁には紅白幕が張られ、幕の内弁当やお菓子の売店(本日閉店)、てぬぐい等が売られており、いつもの音楽用劇場とは趣が異なり面白い。MET側が米国欧州日本への配信サービスを行うこととなり、日本は松竹が受けたために、歌舞伎座となった次第。因みに関西は京都の南座。昨日12月30日(日本時間31日午前3時30分開演)のメトロポリタン劇場公演をハイビジョンカメラで撮影した映像を光ファイバーで配信し、日本語の字幕をつけ国内の劇場内に設置したスクリーンで上映するもの。映像はぼけているところもなく、さすが高画質デジタル。音響のほうはスピーカーを増強し6チャンネルとなっているが、生演奏とは程遠くこんなものか。オペラの方はブロードウェイ・ミュージカル「ライオンキング」のジュリー・テイモアー演出のため、空飛ぶ大蛇はじめ色々な動物出てきて面白い。また夜の女王や炎、水の場面なども布と照明、風を使い動きを出して「魔笛」のおとぎ話の世界を旨く表現している。出演者はタミーノ役マシュー・ポレンザーニが柔らかい声だが表現力があり役に合っている。パミーナ役イン・ファン、夜の女王役エリカ・ミクローザ、ザラストロ役ルネ・パーペは、当初予定からの変更で出演だが何れも全く文句なく旨い。このオペラの主役とも言えるパパゲーノ役ネイサン・ガンもユーモア満載の演技で良かった。あえて言うと合唱が旨くハーモニーになっていない(個人の声が聞こえすぎ)ように聞こえたが、録音環境の性かも。それから今回英語上演であったため、通常聞くドイツ語と異なり、多くのアリアや重唱で違和感を感じた。大晦日のオペラ・ライブビューイングでどの位のお客かと心配したが、1階席は8割程度の入り。特に小さな子供を連れた家族連れが見られるのもライブビューイングならでは。その子供達が大人しくしており、大したもの(紙袋ゴソゴソ音や携帯音鳴らす大人も多いのに)。休憩なく約2時間連続の公演となったが、子供達の集中力も薄れなかったのは、演奏、演出とともに作品自体の素晴らしさのためでしょう。今年のMETの日本公演の料金は「ドン・ジョヴァンニ」でS\60,000~E\22,000であり、それと比較すればお得となるが、やはり生の演奏を聴いてみたくなるのは致し方なし。モーツァルトイヤーの締めくくりとしては料金に見合った分は楽しめ、このような新しい試みでオペラを鑑賞するのも、別な聞き方や新しい観客を増やす上で良いのではと思った。End