ウェブと映像と塾の授業(2)
前回、「映像授業」は能動的でなければ効果が薄いと書いたが、それは考えてみれば当たり前の話だし、そもそも「能動的」でなければわざわざクリックしたりDVDをセットして「映像授業」を見ることをしないわけだから、それがネックになることはありえない。自分も地方に住んでいるから分かるが、やはり実力の高い講師による授業が自宅でも受けられるというメリットはモチベーションの高い大学受験生にとってはありがたい話だ。正直、羨ましいくらいに。だから今回僕が書きたいのは「高校生用」の「映像授業」ではなく、前述の「中学生向け」の「映像授業」についてだ。今回見た映像授業のコンセプトは地方の個別指導のための「先生」らしい。しかし、正直言って内容は退屈だったし、「映像授業」なのに「映像」を使った授業をしておらず、ただ若い先生(多分どこかの有名大学生)がテキストにしたがって解説をしているだけのものだった。部活でヘトヘトの中学生がこれを見たら、10秒後には寝るよ。そう思わずにはいられなかった。話は変わるが、小・中・高と指導していて、一番キツいのは中学生の集団授業だ。内容的には高校生が一番高度ではあるけれど、それだって大学受験レベルなんだから、しっかりとした知識さえあれば教えることは苦にならない。(勿論、全国で勝負するというプレッシャーはあるけれど。)一番の理由は精神的な問題で、とにかく体も心も未熟なゆえに不安定でデリケートな中学生には気を使う。僕は常々子供と接する人間は恋愛やコミュニケーションに長けていなければならないと思っていて、それは基本的にそういう人物には他者に対する「観察力」と「共感力」が備わっているからだ。中学生を相手にするには場の空気の読めない、話の長い大人では駄目だ。果たして、「映像授業」の「先生」に空気は読めるのだろうか。(続く)