40代の "いつもと違う生理" は危険⁈ なんでも「更年期」で片づけず、"病気の可能性" を疑って
Harper's BAZAAR JPときには経血が大量すぎて外出困難な場合も。その原因と解決策にクローズアップ。 「40代半ばぐらいから突然生理が来ることが増えて、服や椅子が真っ赤に染まった」「以前よりも経血量がものすごく増えた」……更年期が近い40代になると、こういった生理の変化を感じる人が増えている。 【写真】これらの不調、更年期障害? 覚えておけば怖くない!数字で辿る「更年期」の基礎知識10 「経血量が増える=更年期症状と思っている方が多いですが、一概にそうとは言い切れません。もちろん更年期による症状の場合もありますが、その背景に大きな病気が隠れている可能性もあります。まずは、いつもと違う生理だと思ったら、一度婦人科を受診することをおすすめします」と話すのは、『女医が教える閉経の教科書』などの著者、よしかた産婦人科院長で産婦人科医・善方裕美医師。 そもそも1回の生理周期の出血量は20~140ml。個人差はあるものの、出血が多い日でも2~3時間に1回程度のナプキン交換で済むのが平均といわれている。 “過多月経”といわれるのは150ml以上。1時間でナプキン交換をしないと持たないという人は過多月経の可能性がある。過多月経に特化して開発したナプキン『クリニクス』を販売する大王製紙が2022年にまとめた調査(生理用ナプキン使用者2,064人が対象)によると、経血量が多いと感じている女性の数は9.4%。同じ調査の過去のデータをみると2021年が8.5%、2019年が7.7%、2014年が6.2%、2009年が5.3%ということからも、年々「経血の量が多い」と感じる女性たちは増えている。 「生理の経血が多い過多月経の原因にはいくつかの要因があります。まず大前提なのが、そこに病気が隠れていないかを見極めることです。経血が多い疾患の代表は、子宮内膜症と子宮筋腫。子宮内膜症は女性の約10人に1人、子宮筋腫は30代以上の4人に1人に見られる症状で少なくありません。まずは、経血量が増えた=更年期で片づけずに、こういった疾患がないかを婦人科で一度検査しておくといいでしょう。子宮頸がんの検査を定期的に受けていたのに、子宮筋腫が大きくなってから見つかったという人もいます。筋腫はできている部分によっては発見しにくいこともあるんです。生理の様子が変わってきたと感じたら、一度経腟超音波検査を受けて、自分の子宮の状況を確認しておくことも大事だと思います」 一方、そういった疾患が見つからず、経血量が増えている場合は、更年期のホルモンや生理の乱れと考えてもいい。 ただ、閉経期の生理=ドバッと出血とは限らず、生理の形も千差万別だという。 「閉経期の生理の変化は人それぞれ。この時期は、女性ホルモンのエストラジオールが乱高下するので、生理も乱れてしまうのです。大きく分けると、『出血量が増えるドバドバ型』『出血量は少ないけれど長引くダラダラ型』『周期も量も毎回違うジェットコースター型』『少しずつ間隔が空き、量も減ってくる先細り型』『先月まであったのに、いきなり終了する突然型』などが挙げられますが、細かく分類すればさらに多岐にわたります。 経血の量が多い場合は、子宮内膜症や子宮筋腫が隠れているケースがありますが、間隔が空いて少量の場合は不正出血なのか見極めが難しいことも。この世代は、子宮がん、卵巣がんなどのリスクが起こることもあるので、何か違うと感じたら、楽観視せずにきちんと検査を受けることは大切です」 また、ドバドバ型の人は、疾患がなくても、出血から貧血などの症状が現れるリスクが起こることもあるという。「過多月経の人は、血液検査で鉄分の量を調べてもらうのもいいでしょう。食事で補える程度なのか、処方薬が必要な状況なのかなどが判断できます。また、ミレーナなどの子宮内黄体ホルモン放出システム(IUS)で生理の出血量をコントロールすることも可能です」。更年期障害の治療で使用するホルモン補充療法(HRT)は、過多月経などの生理の乱れには効果はないという。 善方医師は、早めの対処、おかしいと思ったら受診が、更年期の女性の体調に大きく作用するという。「若い世代でも子宮内膜症や子宮筋腫がある人は、注意が必要。『まだ大丈夫』と自己判断せずに、医師の指示のもと、適切に治療を進めておくことも重要です」 仕事での責任が増え、多忙を極める40代。月経の周期を記録し、不正出血や貧血などの症状を見逃さない、体に不自然な変化が起きたら病院を受診するなど、毎月の生理の変化をきちんと観察し小さな異変を放置しないことが、その先の人生にかけて、長く楽しく働くための鍵といえるかも。