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テーマ:今日の一言(1612)
カテゴリ:その他
福知山の花火大会で、屋台に使う発電機の補充用ガソリンが爆発し、多数の観客が火傷を負うという悲惨な事故が起きた。近くで目撃した人達の証言から構成された、爆発までの経過を新聞記事で読んで、一つの疑問が浮んだ。テレビも含めてマスコミがこぞって言ったように、ガソリンタンクの「減圧弁」さえ予め操作していれば、事故は防げたのだろうか。
ガソリンが注ぎ口の上まで満たされていないかぎり、もし「減圧弁」の操作を忘れても、通常は「シュツ」というだけだろう。それに対して「事故」では、ガソリンの飛沫が2,3mの高さまで噴き上がったり、遠くの観客まで降りそそいでいる。これはあたかもガソリンが煮えたぎって、噴き出したように思える。 「突沸」という現象は化学でお馴染みである。きれいなビーカーにきれいな水を入れて加熱していくと、100℃を超えても沸騰しないことが起こる。この「過熱状態」のところへ、例えば素焼きの小さい破片を投入すれば、水は突然、爆発的に沸騰し、ビーカーからあふれでる。もし水を金属の容器に閉じ込め圧力をかけると(圧力鍋のように)、水の沸点は上昇する。ここで急に圧力を下げれば、やはり爆発的な水の沸騰がもたらされる。 「ガソリンが突沸する」と表現するのはたぶん正しくないだろう。しかし圧力に耐える容器にガソリンを入れ、それを沸点以上に温め、その後容器の蓋を外せば、ガソリンが急激に沸騰し、飛沫となって飛散することは想像にかたくない。 事故の元になったガソリン容器は、気温40℃の炎天下、そのままコンクリートの階段に置かれていたらしい。中のガソリンはいったい何度になっていたのだろうか。 ガソリンは多数の化合物の混合物である。高度に着火しやすく、急速に気化する。ガソリンの最初の沸点は39℃で、当日の気温と同じ。そして沸点の低い化合物から順番に蒸発し、その結果沸点が上昇する。10%蒸発したあとでは、沸点が60℃になる。50%蒸発なら110℃。当時のタンク内ガソリンの温度は39℃以上のどこかだったはずで、おそらく消防庁の実証実験もこの辺の解明を目標としているのだろう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2013年08月27日 10時32分42秒
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