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2021.08.23
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カテゴリ:時事ネタ・主張
東京オリンピック2017 都営霞ヶ丘アパート

オリンピックが奪う「終の棲家」

都営霞ヶ丘アパートは1964年のオリンピック開発の一環で建てられた。
国立競技場に隣接し、住民の平均年齢65歳以上の高齢者団地であった。
単身で暮らす者が多く、住民同士で支えあいながら生活していたが、2012年7月東京都から「移転のお願い」が届く。
2020東京オリンピックの開催、そして国立競技場の建て替えにより、移転を強いられた公営住宅の2014年から2017の記録。
 平均年齢が65歳以上の高齢者団地であるこの住宅には、パートナーに先立たれて単身で暮らす人々や身体障害を持つひとなど様々な人たちが生活していた。
団地内には、小さな商店があり、足の悪い住民の部屋まで食料を届けるなど、何十年ものあいだ助け合いながら共生してきたコミュニティであったが、2012年7月、このアパートに東京とから一方的な移転の通知が来る。
カメラは、オリンピックに翻弄された住人のアパート最後の生活を淡々と伝える。
 膨らみ続ける総工費などを理由に白紙撤回されたザハ案の後、新国立競技場の立案と施工は日本国内の建築家とゼネコンに委ねられていくが、この過程で、住み慣れた家を奪われ、人生を大きく揺るがされていったお年寄りたちの日々を、青山真也のカメラが4年間に渡って粘り強く、丁寧に追っている。
 国家プロジェクトの影で圧殺されていく、ちいさくも切実な声。
ひとつひとつの部屋にしみついた生活実感の背後からは、日本の敗戦〜高度成長期以降のストーリーが透けて見えてくる。
時代に翻弄される個々人の息遣いを、地道に誠実に掬い取り、記録化しながら、同時に1964年の東京オリンピックと現在進行形のオリンピックのはざまに横たわるものを露わにしようとする、極めて批評的で野心的なドキュメンタリー映画だと感じた。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
映画館で手に取ったチラシを持って帰って読み返した。
映画のチラシを見るまで、東京五輪2020の裏にこんなことがあるなんて知らなかった。

もちろん、移転しなければならなかった人たちの多くは、代わりの住宅に住むことが出来るのだけれど、ただ同じ程度の住宅があればいいというものではない。
これまでに育んだ隣同士という環境はもう一生戻ってこない。

私も、時々もっと都心に住みたいと夢想する時がある。
しかし、スポーツジムは?
俳句の会場?
なにより、近所の付き合いはと思った時、どんなに便利な都心でも、やはり不便でも今の所がいいと思う。

この団地に住んでいた人たちは、一度、そんな辛い思いをして、やっと新しい環境になれ、終の棲家と思っていたら、
トラブル続きの呪われたオリンピックを言われた、東京2020
のためにまた移転を余儀なくされるというなんともなんともやるせない話だ。

「東京オリンピック2017 都営霞ヶ丘アパート」上映予定の映画館
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
●東京2020、主なトラブル。●
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
*新国立競技場の計画白紙が白紙へ
*エンブレムのパクリ疑惑によりデザインが白紙へ
*2020年開催ができず2021年開催へ
*作曲担当者の小山田圭吾がいじめ問題発覚で辞任へ
*絵本作家のぶみが不適切発言によりイベント参加辞退へ
*ショーディレクターの小林賢太郎(ラーメンズ)が差別助長で炎上
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Last updated  2021.08.23 00:04:48
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