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2023.04.13
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カテゴリ:映画
生きる LIVING

最期を知り、人生が輝く。

1953年、復興途上のロンドンで公務員として働くウィリアムズは仕事一筋で生きてきた。
いわゆるお堅い英国紳士である彼は、仕事場では部下に煙たがられ、家では孤独を感じる日々を過ごしており、自分の人生を空虚で無意味なものだと感じていた。
そんなある日、ウィリアムズは医者から自分ががんを患っていること、そして余命半年であることを告げられる。
手遅れになる前に充実した人生を手に入れようと、彼は大きな一歩を踏み出す。
 黒澤明の不朽の名作『生きる』(1952年)が第二次世界大戦後のイギリスを舞台に蘇る。
小説「日の名残り」、「わたしを離さないで」などで知られるノーベル賞作家カズオ・イシグロは、若かりし頃にこの黒澤映画に衝撃を受け、映画が持つそのメッセージに影響されて生きてきたと語る。
そんな彼が脚本を手掛け、この鬱屈した時代に新しい『生きる』を誕生させた。

イシグロは、黒澤映画の“何事も手柄が得られるからやるのではない。
世間から称賛されるからやるのではなく、それが自分の成すべき事だからやる。
”そんな人生観に魅力を感じており、それは、戦後の日本もイギリスも、そして現代においても変わらないと語る。
オリジナルの高い評価に怯えることなく、長年抱いてきた戦前・戦後のイギリス文化への憧れを支えに、自分なりの英語の脚本を書いた。


この映画は、黒澤明の「生きる」の英語版。
 黒澤作品の方では、ブランコに乗った主人公が、歌うのが「ゴンドラの唄」
いのち短し 恋せよ乙女
あかき唇 褪(あ)せぬ間に
熱き血潮の 冷えぬ間に
明日(あす)の月日は ないものを


余命半年と言われた主人公の胸中にピッタリ。
 映画は、1953年という時代をよくあらわしていた。

●映画の冒頭、汽車を待つサラリーマン集団。
みんな中折れ帽をかぶっている。
車中では、声高に喋ったり笑ったりしないということが決められている。

●役所の事務室には、書類の山が積んである。
パソコンが導入されるまでは、こういう状態だった。

「1960年代、小学生の頃、ロンドン行きの通勤電車で同じスーツに同じ帽子をかぶってロンドンに向かう年配の男性たちを見た記憶から、映画のオープニングシーンの要素を描き、長年抱いてきた戦前・戦後のイギリス文化への憧れを支えとした。」とカズオ・イシグロ。
 「この映画は、私たちが死とどう向き合うか、与えられた時間をどう尊重するかということを描いています。
ごく普通の、窮屈な存在である人が、消滅を目の前にした時に何をするかを見る機会でもあるのです。
大まかに言えば、彼が発見したのは、自分の人生に意味を与えるものは、誰かのために何かをすることでした

★米アカデミー賞® 2部門 ノミネート★
■脚色賞 Best Adapted Screenplay カズオ・イシグロ
■主演男優賞 Best Actor ビル・ナイ
 本家の黒澤明の「生きる」も、是非見たい。
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Last updated  2023.04.13 00:15:15
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