先ほど耳下腺腫瘍の手術が終わりました。耳下腺とは、両方の耳の下方にある唾液を作る臓器で、おたふくかぜで腫れる場所です。この耳下腺に出来る良性腫瘍は、主に2種類で、ワルチン腫瘍と多形腺腫といいます。最近、アグネスチャンが摘出手術を受けたものは多形腺腫です。
耳下腺の中には、顔面神経という顔を動かす神経が埋まっており、これを上手によけて手術しなければなりません。もちろん、癌などの場合は別ですが、良性腫瘍で顔面神経を切断してしまうことはめったにありません。本日も、顔面神経は綺麗に保存し、予定通りの手術終了となりました。
頭頚部の手術は、特に神経に気を使います。首から上は、脳神経と呼ばれる脳から直接出る神経が縦横無尽に走っていますので、これらの解剖を熟知し、可能な限り保存しつつ手術をするのです。さすがにこればかりやっていますから、いまではどの変に何があるかは頭に入っています。ちょうど毎日通る道は意識せずとも自然に迷わずに行けるように、特に予習をせずともほぼ迷わずに手術ができます。ただ、人間にはしばしば解剖学的奇形があり、これが落とし穴のように我々を待ち構えています。思わぬところに血管があったり、通常と違う神経があったりするのです。本日の手術でも血管のバリエーションがありました。
やはり、油断は大敵です。慣れた手術でも気を引き締めてやらねばと思うのでした。
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