head&neckは大きな病院に勤めていますから、よその病院で手術を勧められたものの、不安になって受診される患者さんが結構大勢お見えになります。元の病院から紹介状を持って来る方、内緒で受診される方様々です。話を聞いていくと、「出来れば手術せずに治したいので・・」とおっしゃる方がかなりの高率で見受けられます。
確かに、医学の進歩により、昔は手術しか方法が無かったものが、薬やその他の治療法で治まるようになった病気もあります。それでも、手術でしか治らない病気は今なおたくさん存在しています。誰だって手術なぞ受けたくないことは百も承知です。それでも手術を勧められるのは、それを行うメリットがリスクを上回るからに他なりません。さらに付け加えておくと、手術をせずに治るというデメリットは意外にたくさんあるのです。どちらがいいか、患者さん自身で決めてくださいというのがインフォームドコンセントのあり方ですが、上に述べたようなことが背景にあり、予想外の危険をはらんでいます。
病気は患者さんにとって、自分自身のことですから、自分で決めたいとおっしゃる考え方は否定しませんが、ある日いきなりやってきた病気について、付け焼刃で学んでも、毎日その病気と向き合う専門家である医師の知識にかなうわけはありません。head&neck自身は、説明をするとき、一般的なメリットとデメリットを明確に述べた上、「もしあなたが自分の母だったら、父だったら、子供だったらこうする」という意見を必ず真剣に考えて述べます。そこには臨床医としての誇りと医者としての矜持を持っています。
こういう話し方は、おそらくエビデンス重視の一部の医師には受け入れられないことも判っていますが、結局のところ、信頼の気づけない医師‐患者関係では良い治療は出来ないと思うのでした。
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