手術をするときは、前もって患者さんに、手術の結果の予想やメリットデメリット、起こりうる合併症とその対処法等を説明します。納得がいただければ同意書にサインを頂き、手術をするほうとされるほうの契約が成り立つわけです。
head&neckの科では、年間約800件の手術を施行しています。30分足らずで終わる小手術から、12時間を越える大手術まで様々ですが、そのすべてを一人で説明から術後まで細やかに診るわけもなく、手術が決まるまでの大まかな流れを文書化し、決まったフォーマットで説明するのは各患者さんの外来担当医です。手術に関しても、主に主治医が執刀するのですが、難易度の高いものに関してはhead&neckや部長が手伝いに入ったり、執刀医になったりします。
おんなじ種類の手術でも、患者さんによって微妙な差があり、突如難しくなったりやさしかったりするので、一概にこれはこうと決めてあるわけではありません。ただ、一番大事なことは、「あ、難しい」と思ったらすぐに上司を呼ぶように習慣付けることです。決して無理してはいけないし、隠したりするのはもってのほかです。
誰だって、自分の失敗をさらけ出すのは辛いものです。特に若い伸び盛りの医者にとっては、周りの目もあるし、自分の経験から言ってもかなりの抵抗があると思います。しかし、早く対応したほうが結局患者さんも失敗した医師本人も救われます。(誤解の無いように書いておきますが、失敗=医療ミスではありません。ここで言っているのはあくまで「医療行為に付随してある一定の割合でおきる合併症」です。)
こういう失敗をより減らすためには、技術的な指導も勿論大事ですが、何より相談しやすい雰囲気を作っておくことです。究極のところ、いくら手術が上手でも、まったく相談に乗ってくれない医者は上司として失格です。
技術としては概ね出来上がってきても、次は部下の役に立つ医者を目指さなければならないと思うこのごろなのでした。
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