さて、前回までのお話では、医療費がいかに医療関連産業に吸い取られているかという点を一例として挙げて来ました。医療機器、医療用消費材、製薬会社などの関連企業の多くには経済産業省、財務省、厚生労働省の元担当課長が再就職しています。薬害エイズの問題が起きた際、省庁からの直接の天下りは禁止されたはずです。ところが、官僚というのは自分たちの利益のためならばいくらでも抜け道を作るもので、公益法人や独立行政法人に一旦就職し、その後、民間企業に再就職するという手を考えていました。したがって、各会社には今までと変わりなく天下り官僚が入り込み、利益を誘導するという図式は全く変わっていないのです。以下はJA1NUT先生のブログ、
ステトスコープ・チェロ・電鍵よりの引用です。
顔見知りの中規模の後発品をメインに製造・販売している製薬会社の営業マンが、自社の製品(いわゆる後発品)が、この夏にようやく認可されて発売されることになったと嬉しそうに報告に来た。他社から、全く同じ内容の薬がすでに1年前に販売されている。昨年、同時に販売認可を申請したのだが、同じ製造元の同じ製品なのに他社の方が1年先に認可された。
どうしてか彼に尋ねると、「厚生労働省からの天下りを受け入れているかどうかの違いです。」という返事。同じ問題が、薬価の設定にもある。同じ後発品でも、その価格設定に、天下りを受け入れているかどうかが関わってくる。
医療に関わらず、すべての分野である程度こうした天下り官僚による利益誘導が行われています。100歩譲って、それでもその分野が産業として崩壊せず、庶民が生活に困ることが無ければ、度を越さない限りはよしとする人々もいるでしょう。もちろんまじめに仕事をしている天下り官僚だっているかもしれません。しかし、医療の分野はすでに瀕死の状態です。そして、医療は国民の生命に関わることなのです。こういった領域での天下り官僚の活躍は、社会に対する悪、寄生虫の類です。
皆さんが病院の窓口で払う金額と、医療費の公費投入の裏にはこういうからくりがかくされています。この事実に目をつぶり、現場に負担を押し付けるような報道をしても、それはあまりにも浅はかです。そして、医療に対する不満を現場にぶつけても、一向に改善しない根源は、このような一部の寄生虫官僚がはびこる日本の医療制度自体に問題があると思うのでした。
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