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カテゴリ:医療行政
今でこそhead&neckは私立病院に勤務していますが、かつては大学病院の助手(いまは助教といいます)をしていたこともあります。その前は公立病院の医長、さらにその前は私立病院の平医員と、あちこち職場は変わっています。これはhead&neckだけではなく、我々の世代の医師は大抵医局の人事でローテートしているので、キャリアにあわせて実務と研修が出来るようにいろいろな職場を経験してゆくことになっていたのです。このシステムの良し悪しは別にして、公立、私立の病院を転々とすると、いかに国公立病院の要領が悪いかということが良く見えてきます。すべてにおいて国公立は非効率的ですが、特に事務の要領の悪さというか、やる気の無さというのは特筆すべきものです。下に一例を挙げましょう。
4月。世の中、色んな書類の更新時期になります。病院でも新年度にあたりたくさんの書類の提出が求められます。面倒ではあるが必要なことなので、各職員は真面目に書類を作成して事務に提出します。これは公立であれ私立であれ、極端なことをいえばどんな職場でもおなじです。 大学病院では、各々の職員が個々の書類を自分で事務まで持ってゆきます。事務部には担当の職員がいて、書類をその都度チェックしますが、これがたった一人。人が他にいないかというとそんなことはなく、隣のデスクの事務員は担当が違うといわんばかりにパソコンを打っています。向こうのほうでは湯飲みを片手に複数の事務員が談笑している姿も見られます。たった一人の担当事務の方があれこれ書類を処理する間にも、順番待ちの職員がいらいらしながらずらりと列を成して並んでいます。職員は各々、昼休みを利用して提出しにきたりしているのですが、とても休み時間中に全員終わるわけもありません。結局その日のうちに書類を提出できずに引き返す人もたくさんいました。すべての職員の書類事務が終了するのにおおよそ1ヶ月かかると聞きました。 私立病院では、あらかじめ決まった期日に、各職場に事務員を派遣することを通達します。書類のチェック事項は事務方でマニュアルを作り、この時期には手の空いている事務員全員で対応できるようにしてあります。職員は期日までに書類を記入し、各職場に来た担当事務の方に提出します。その場で軽いチェックをしたあと、もし不備があれば翌日連絡が入ります。その際に印鑑が必要である等の情報も教えてくれます。連絡があると初めて自分で事務まで足を運び、その場で訂正すると書類は終了です。書類整理期間は1週間です。 文章にすると、システム不備ばかりが目につきます。しかし、このような効率の差は、結局上司の号令次第であり、職場のやる気であり、雰囲気が影響します。大学にいた頃、用事があって事務に行くと、まるで牧場に来たようなのんびりとした空気。部屋に入っても誰も「御用ですか?」とも声をかけてこない。こちらが「すみません、○×の担当の方おいでですか?」と言うと初めて顔を上げる感じです。一方、私立の職場では、事務へ行ってもみな忙しそうに動き回っています。しかし、部屋に入ると必ず、「あ、どうしました?」と声がかかります。 すべてのお役人が腐っているとは思いません。しかし、箱の中に一つ腐ったみかんがあると他も腐り始めるのもです。何とかならないかなあと思うのでした。 ←参加してます・・一日一回ポチっと。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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