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カテゴリ:医療制度
昨日は、当院の初期研修医2人を食事につれてゆきました。head&neckの病院では、「メンター制度」というものがあります。メンター(Mentor)とは、ギリシア神話に登場する賢者「メントール」が語源です。オデュッセウス王の友人で助言者、王の息子テレマコスの師も務めた人です。転じて、良き助言者、指導者、顧問を指し、先輩社員や上司を指導者として、業務上の問題点のみならず、職業人としてのマナーなどについても学びます。指導者をメンター、指導を受ける人をプロテジェ(protege)と呼びます。
このメンター制度は、元はアメリカなどで非公式に自分が尊敬できる先輩などをメンターとして選び、長期的に指導を受けたことから始まったようです。徐々に会社の公式な人事制度として取り入れられています。 2年間の初期研修中、じっくりと話を聞く機会は少ないのですが、それでも一度は総ざらえ的な意味で食事でも、ということになり、head&neckとあと一人がメンターとなっているプロテジェの二人を誘って食事会となったのです。色々と話をしましたが、二人ともすでに進路が決まっており、医師としての目標も何となく見えてはきている様子でした。 医師になってから十数年たちますが、自分自身が研修医のときに学んだことは今でも覚えています。「鉄は熱いうちに」ということわざどおり、初期の数年のモチベーションの高いときに覚えた知識や手技は身体と本能に染み付いているのです。 彼らの話を聞くと、進路が決まっているせいか、2年間の研修期間が早く終わることを熱望し、自分のやりたい科の勉強をしたい印象を受けます。確かに、進路を決めた人間にとって、関連の少ない分野での研修はある意味苦痛かもしれません。長い医師生活にとっての2年間が有意義なものか無駄な時間かを評価するのは難しいと思いますが、日本の現在の初期研修制度は厚労省の決めた規定があまりにも多すぎて現場で決められる自由度が少なすぎるという欠点がはっきりしているように感じます。 もともと、すべての科を網羅していくことは現在のように細分化され高度になった医療水準では不可能なのです。更には個人の資質や好みもあります。一律に研修をさせるこの制度では却ってやる気を奪ってしまうという面が否定できません。 どういった制度がいいのかはhead&neckにも判りません。ただ、個人的には1年間で切り上げて試験を課すか、更には大学医学部の学生時代に試験をもって仮免許を与え、もっと若いうちからどんどん現場に出すべきだと思っています。 外科系に限って言えば、一人前の外科医になるのに10年はかかります。医学部は6年、研修は2年かかる今の制度だと、ストレートに進んでも専門研修に8年です。それから10年たつと、年齢は36歳になります。50歳を越すと技術、体力が低下してくる外科系では実耐用年数は14年しかありません。(無論個人差があります)医師不足時代が叫ばれている中で、手術を必要とする患者さんにより多くの完成された医療を提供するには、そういった現実的な面にも目を向けなければならないのではと思うのでした。 ←最近ランクが低迷しつつ参加中。・・一日一回ポチっと。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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