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臨床の現場より

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カテゴリ:診療
 head&neckは耳鼻科なので、普段の診療でも、救急でも患者さんの顔から上を主に見ることになります。いちおう癌が専門なので、頸部や顔面の触診もやり、抗がん剤も使いますが、普段の一般外来では通常の耳鼻科と同じことをやっております。
 ところで、人の顔というのは、人体の中で最も穴の多い部位です。鼻の穴が2つ、耳の穴が2つ、口の穴が一つと、合計5つの穴を毎日覗き込んでいるわけです。つまり耳鼻咽喉科とは「穴医者」なのです。穴を覗き込むためには光を入れなければいけません。そのための道具が額帯鏡で、ヘアバンドのおでこに穴の空いた鏡がついたものですが、昔のドリフのコントに出てくる医師役のいかりや長介さんなんかはいつもこれをつけて聴診器をぶらさげていましたから、なかなか印象の強い医療器具なのかなと思ったりします。
 ただ、耳鼻科医が聴診器を使うことは滅多にありません。聴診器というのは、心臓や肺や腸管の音を聞くために使用するもので、首から下を診ない科である耳鼻科の医師がこれを使うなんて事は普段はないのです。例えば診察室で患者さんが急に倒れたとかいう場合なんかに、血圧や心臓の音を聞こうとしてあわてて聴診器を探したりしますが、普段使い慣れていないので前後さかさまに耳につけてしまったりします。
 もちろん耳鼻咽喉科というのは、ある意味上気道の専門家ではありますから、風邪の患者さんも大勢みえますが、風邪を診断するのにはあくまで上側から順に診て行きます。上気道というのは、鼻、口、のどから気管くらいまでを指します(ちなみに下気道は気管枝、肺です)が、風邪というのは「上気道炎」の総称ですから、患者さんが耳鼻科に来ると、まず鼻を覗いて、口を覗きます。扁桃腺が炎症を起こしていれば「扁桃炎」、鼻と口の突き当たりが炎症を起こしていれば「鼻咽頭炎」です。ここに問題がなければさらに奥を喉頭鏡というミラーやファイバースコープを使って声帯や気管の入り口を視診し、そこに炎症があれば「喉頭炎」という病名がつきます。
 これに対して、内科での診察法は下側から攻めて行きます。まず胸のレントゲンを撮って肺の末梢に炎症がないかしらべる。次に聴診器で気管枝に痰があるかどうかを診る。そこで異常がないのに風邪の症状があるならば「上気道炎」となるわけです。
 そう考えると、耳鼻科では肺炎が見逃されやすく、内科では喉頭炎や声帯炎が見逃されやすいことは納得がいくと思います。実際、head&neckも若いころに軽度肺炎のおじいさんを見逃して内科の先生にお叱りを受けたことがありますし、逆に内科の先生に「異常なし」と言われたのにこちらで診察すると喉頭蓋炎といって即入院が必要で窒息の危険もある病気だったこともあります。ただ、医師も長くやっていると重症患者独特の雰囲気をなんとなく察して、耳鼻科の診察もそこそこに内科に回して事なきを得たりすることが多くなっては来ます。

 一言に風邪といっても、色々あるのでした。


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最終更新日  2008.04.27 00:39:46
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