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カテゴリ:医療行政
 5月に入り、連休です。休日は外来業務がないので、緊急でも入らない限りは比較的のんびりと過ごせています。世の中はガソリンが再度値上げになって、福田総理の支持率が低迷していますが、地方自治体は逆に暫定税率復活でほっとしているとの報道も目立ちますね。国の無駄遣いを糾弾していた地方自治体も結局、事が自分たちの台所事情に及ぶと論調が180度変わるのは見事なまでの変節ぶりですが、まあ予想通りといったところでしょうか。
 日本の税金は決して諸外国と比べて安くありませんが、どうしてこんなに赤字になるのでしょう?一言で構造問題と言うのは簡単ですが、いったいどこにお金が消えているのか不思議になります。おまけに動きが遅いことこの上なしです。よく見られそうな役所の無駄をたとえ話で挙げてみましょう。(あくまでフィクションです。判りやすくするために数字と話を単純化してあります。)

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 A県B市では、医師不足対策として特別予算を2000万円計上しました。議会では「現場で働く医療関係者に報いるための財源処置を考慮する」ため、ぎりぎりの過半数で可決されました。
 さて次年度までに、2000万円の使い方を考慮するのはお役所です。

確かに医療現場は崩壊寸前だ。使い方を熟慮吟味していかなければ。2000万円あるんだから。あちこちからクレームが出ては困るので、まずは会議を招集しよう。医療関係者だけでなく、有識者も集めたほうが良かないか?そうだ。連絡連絡。

 ↓ … 通信費、日程調整。

50人集まった。会議場がいるね。予約予約。資料そろえて、皆に配って。そうそう、ちゃんと録画しとこう。なに、ビデオがない?予算で買いなさい。一台だと壊れるとこまるから二台ね。領収書もらってね。委員の交通費も予算から出そう。

 ↓ … 会場費、会議資料費、その他雑費

会議してみると色んな意見がでるな。まず議事録を作って、委員に渡そう。んで、一回だと決まりきらないから、二回目、三回目も予定。対策本部も役所に作らなきゃ。連絡室もいるね。事務局もつくらないと。電話引いて、パソコン買わなきゃね。この費用どうする?もちろん2000万円の中から出せばいいよね。

 ↓ … 3ヶ月経過。

大体、案としてはまとまってきたな。うん、いい感じだ。じゃあこれをパンフレットにして市内の病院に流そう。そうだ、患者さんにも知らせなきゃ。パンフレット何部くらい作る?うちの市民は10万人3万世帯だからとりあえず1万部あればいいかな?足りなきゃ追加ね。印刷業者の入札もしなきゃ。なんといっても公共のことだからね。各病院には予算配分に従って書類だしてもらわなきゃな。新しく印刷するか。これも入札ね。

 ↓ … パンフレット、書類、大量発注。もちろん予算から捻出

さて、いよいよ今年度から予算を配分するよ。・・あれ?500万しか残っていない・・・
べつに横領とかしてないよ。みんなの意見聞いたからこうなったんだよ。責任は無いもんねー

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 少しフィクションが過ぎましたね。しかしながら多かれ少なかれ事務処理を複雑化しすぎて、更には予算が血税だということが認識できていないお役人が少なからず存在することは事実です。お金をどう使うか、頭を寄せ合って複雑化して手続きと経費を増やすのが日本の官僚です。会議を延々と開くよりは、責任を持った担当者を決めてあちこちの部署に足を運ばせた方が効果的ですし、こんな経費はかけずに済みます。足で稼いだ職員にはボーナスでも出せばいいのです。

 それにしても、財源、財源と何とかの一つ覚えのように連呼する地方自治体や国政の中枢部の人たちの頭はどうなっているのでしょうか?官僚的手法、手続きの中に財源が埋もれているとは思わないのでしょうか?確かに、官僚と対決するのは大変です。近世以前は改革をしようとして官僚に毒殺された指導者もいるくらいですから、個々としては悪人ではなくても集団としての抵抗勢力ではいつの世でも堅固なのです。日本の現在の社会情勢や経済をみると、この国の政治家にとっても、力量が試される時代になってきていると思うのでした。


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最終更新日  2008.05.05 23:05:21
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