昨日まで大阪で総会があり、head&neckも発表、講聴してきました。
学会参加人数約4500人、演題数約500と、耳鼻咽喉科の中では最も大きな学会です。近年の医師不足を意識してか、ここ数年は学会場の入り口に日本耳鼻咽喉科学会がまとめた全国の耳鼻咽喉科医の統計が張り出されていました。
現在、日本の耳鼻咽喉科医は8805名、そのうち病院勤務医は1993名と、2000人を割り込みました。一つの県に平均で40人強の耳鼻科勤務医が居る計算になりますが、とても足りません。勤務医の職務は主に入院、手術ですが、この人数ではおそらく患者さん一人一人が満足する医療は提供できないと言うことを実感しました。
演題を聞いていて感じたのは、学会での華やかな雰囲気の中に忍ぶ暗い医療崩壊の影でした。最先端医療を行っているのは一部の病院に限られ、研究関連の演題が減り、症例報告が増えています。医療事故調査委員会の不備、訴訟問題の影響か、副作用や合併症に関する報告はほとんど影を潜めました。
現場の医療者がもつ不安はいずれ患者さんにも波及してゆきます。早く政策の転換がなされ、命を守るべき医療のむごい現状が改善されることを強く願うのでした。
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