ほとんどすべての医師は、何らかの学会に所属しています。それもひとつだけではなく、複数の学会に入会していることが多いのです。例えばhead&neckが属している学会は、日本耳鼻咽喉科学会、耳鼻咽喉科臨床学会、日本耳科学会、頭頸部癌学会、頭頸部手術学会、頭蓋顎顔面学会などですが、このうち最も大きな、というかこれだけは外せないのは耳鼻咽喉科学会です。例えば内科なら日本内科学会、外科なら外科学会という、その分野の親分学会があって、この親分がいわゆる専門医を決めていると思ってください。
ともあれ、全国規模の学会で発表するにはその学会に入会しなければなりません。一度入会すると、毎年学会費を払うのですが、これが結構ばかになりません。年会費は一万円前後ですが、たくさん入るとその分出費がかさむことになります。会費だけでなく、学会の学術集会に参加すると、参加費も最低1.5万円くらいは取られます。こうして年間かなりの額が学会費用として消えてゆきます。現在のhead&neckの病院ではこの学会費はかなりの部分を支給していただけるので助かっています。しかし、以前の病院や大学病院に居たときはすべて自腹でしたから、結構厳しい思いをした覚えがあります。
学会に入会すると、その学会の事務局から学会会報が送付されてきます。月に1冊ずつ発行しているまめな学会から、季刊の学会まで様々ですが、医師になって10年もたつとこうした学会誌が山のように溜まってきます。月刊ならば年に12冊、10年で120冊です。複数の学会に順次入会することによって、加速度的に量は増えてゆきます。研修医の頃から、専門医をとる前後までは真面目に全ての学会誌を病院の机の上に整頓して並べていましたが、あっという間に本棚に治まらなくなり、横積みにし始めるとあとはもうどうしようもありません。気が付くと、医局の机は山積みになった学会誌が崩れんばかりの悲鳴をあげているのです。
一応、新刊には一通り目を通すように努力はしているのですが、整頓していないので後から読みたくなっても調べようがありません。なんとなく記憶には残っているのですが、机の上の山を崩すと収集が付かなくなることは目に見えています。結局調べるときは図書館で文献検索をして、自分が持っているはずの学会誌のスクラップを図書館の秘書さんにわざわざよそから取り寄せてもらったりしてしまうのでした。
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