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カテゴリ:日々のこと
昨日で一応一般外来は仕事納めとなり、手術室も緊急手術以外は休みとなります。病棟も退院できる人は退院、無理な人でもせめて外泊と、重症の患者さん以外は家に帰り、やや閑散とした雰囲気に包まれます。年末年始の病院は少しだけ穏やかな空気が漂います。
では、正月は完全休養かというと、そうは行きません。病院の職員のうち、6割ほどは交代で休暇がとれますが、通常の4割ほどの人数は院内に詰めています。この年末の病床占拠率はおおよそ50%ですから、300人を超える患者さんが入院のまま年を越すわけで、その人たちを放っておいて休みを取るわけにはいかないのです。比較的しっかり休みが取れるのは事務部門と検査、内視鏡、病理などですが、それにしても当番の人間は必ず交代で病院内にいます。 逆に、この時期は1年間フル稼働している検査機器や医療機器の点検をしっかりと行える唯一の期間でもあります。CEさんや、技師さん、施設課の担当者はむしろ総点検に大忙しとなります。彼らの仕事は医療の表面からはなかなか見えにくいのですが、病院での医療を円滑に進める縁の下の力持ちです。本日も病棟に行くと、空いた呼吸器やポンプを並べて点検していたり、廊下の蛍光灯を交換したり、ワックスを塗っていたりして、頭の下がる思いがします。簡単に年中無休と言いますが、どんな職場であれメンテナンスは欠かせないので、上手に時間をやりくりして順次整備計画を立てることも大切なことです。 医師になって15年、ゆっくりと正月を過ごしたのは数えるほどで、8割くらいの確率で元日は病院にいるhead&neckのような勤務医にとって、人並みのお正月は迎えられないことは判っています。せめて周りの医療職の人たちは休ませてあげたいのですが、緊急疾患が入るとそうもいきません。一人の患者さんを助けるために10人単位の医療者が動かなければならないのが現代の医療現場であり、それに見合った国の手当てが欲しいところです。 あまり期待の持てない政治情勢ですが、少しでも良い方向に動いてくれないかなと、人気の少ない年末の病院の廊下を歩きながら願うのでした。 ←低迷中。一日一回のぽちを。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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