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カテゴリ:医療行政
やたら忙しく、更新が滞ってすみません。元気でやっています。
さて、病院の医師の主な仕事は、 1.外来診療 2.入院患者さんの診療 3.検査、手術等の業務 4.病院組織のための会議等 5.論文作成等の学術業務 7.その他 に大きく分けることが出来ます。 これらのうち、病院の収入に直結するのは1から3までですが、まあどんな職業、会社でもお金にならない仕事というのはあるもので、仕事をしている側も最中に「これをやるといくらになって・・」などと考えながらやっているわけではありません。しかし、現在のように病院や医療の赤字がクローズアップされてくると、否応なしに有る程度意識の片隅にコストという考え方が存在するようになります。 現在の国の医療政策によって、総合病院での外来診療は赤字になるように設定されています。たとえば、head&neckの病院では、外来で100円稼ぐのに108円かかる仕組みになっています。つまり、外来をたくさんこなせばこなすほど赤字幅が拡大するのです。当院には医療事務の専任者がいて、なるべくコスト漏れが無いようにあらゆる業務努力をしていてさえこれですから、お役所仕事の公立病院では更に赤字幅がひどいはずです。聞いたところでは、ある大学病院では外来で100円稼ぐのに150円かかるところもあるようです。 この値段設定は国が決めていますから、病院の努力ではどうしようもありません。経済的見地から言えば、外来業務はボランティアに近いのです。総合的に赤字を出さないためには、入院収支と検査・手術で補填するしか方法がありません。ところが、患者さんを入院させて治療するにはどうしても外来が必要ですから、外来をなくすわけには行きません。経営側のジレンマは相当なものです。 なぜこういう値段設定になっているかというと、こういう設定にすることにより、いわゆる軽症患者を病院がなるべく診ない方向に持っていこうとする国の意志が働いています。責任転嫁は役人の専売特許ですが、国民にむかって直に「軽症で病院にいってもらっては困る」と言うのではなく、「病院が勝手に患者を断っている」ように見せたいのでしょう。今に始まったことではありませんが、あざとい手法です。 病院では、入院患者の治療と、手術や検査を行うことで、外来の赤字を何とかやりくりしていますが、なんと言っても医師も看護師も不足していますから、なかなか余裕のある状態にはなりません。規制でがんじがらめになった医療経済は医療者を救う財源にはなりません。我々のような末端の人間にすらそれはわかります。 では、収支を黒字とは言わないまでも、せめて赤字にしないためにはどうすればよいのでしょうか? 次回につづくのでした。 ←参加しています。一日一回のぽちを。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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