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カテゴリ:日々のこと
久々の更新です。しばらくご無沙汰しておりました。
仕事は通常通りやっておりましたが、なんとなくモチベーションが低下してあまりネットを見ない日々が続き、気がつけば前回の更新からなんと1ヶ月。気まぐれブログに訪問してくださっている皆様には感謝しております。 先月、head&neckはついに40歳の大台に乗ってしまいました。医者になって15年、気がつけば中年まっしぐらです。とはいっても日常業務に変わったことはありません。毎日朝から夜まで診療に明け暮れるばかりです。 このところ、上顎の腫瘍の症例が多く、術前術後に色々と手間がかかり、手術自体も10時間以上かかるものですから、やや体がしんどいです。この数ヶ月で体重が5Kgほど減り、ややスリムになったのですが、ウエストも5cm減るので、去年の夏用のズボンがゆるくて困っています。スーツもぶかぶかなので体裁が悪く、来月学会に行くときにどうしようか思案中です。 上顎腫瘍の手術は、耳鼻咽喉科の手術のなかでも難易度が高いもののうちの一つです。顔の中はもともと構造が複雑で、骨のような硬い組織と血管や脂肪、筋肉といった柔らかい組織が渾然一体となって存在しています。ここが腹腔と大きく違う点で、解剖学的特性を触って確認することが難しく、さらには人間の血液の1/3近くが頭部に集まるのですばやく手術しないと出血が増えるばかりです。頭の中で立体解剖が正確に出来上がらないとなかなか上手には出来ません。head&neckが上顎癌を摘出するのに要する時間は今は3時間くらいですが、最初の頃はやはり5時間はかかりました。更には上顎は摘出するだけでは駄目で、遊離皮弁といってお腹のお肉で新しく顔を作らなければなりません。結局手術自体は10時間ほどになりますが、連続でやると少しずつ時間は早くなってきます。 手術が終了し、患者さんが手術室から退出しICUに入室し、家族に説明し、術後指示を出して・・と、全てが終わるのは深夜になります。 上顎腫瘍は近年症例が減少し、手術が出来る術者も減っていると聴きました。抗癌剤や放射線の進歩で手術以外で治る症例が増えていることも原因のひとつですが、それでも手術でしか治らない患者さんは存在します。果たして我々の後継者に技術が伝承されてゆくのか?数年、数十年後に微妙な不安を覚えるhead&neckでした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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