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臨床の現場より

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カテゴリ:診療
 新型インフルエンザのニュースが連日テレビや新聞をにぎわしています。色んな情報が錯綜して不安になるのは当然ですが、果たしてどのあたりが正しい情報なのでしょうか?
 現在、話題になっているのは豚インフルエンザから変異したA型インフルエンザで、正確にはH1N1型の季節性インフルエンザウイルスです。このタイプは弱毒性で、冬場にかかるインフルエンザと同じ程度の病原ウイルスだと言ってもよいでしょう。通常のインフルエンザの薬が効果があるので、もし罹患しても糖尿や心臓病などの合併症が無ければ数日で回復することが多いと思われます。このあたりは医師としては常識ですから、現在のマスコミの狂想振りは滑稽を通り越して異常といわざるを得ません。
 ただ、新型と言う面で多少の不安点が残ります。免疫が無い人が多いのは事実で、いつ強毒性のものに変化するか予想がつかないのですが、これに関しては毎年流行するインフルエンザも同じで、リスクとしてはなんら変わりはありません。結局、冬場のインフルエンザ流行時期に注意するのと同じです。
 
 先日、head&neckの病院で関西方面からわざわざ入院、手術をしにきた患者さんのご家族の面会を看護サイドが勝手に断ってしまうというちょっとした事件がありました。患者さん本人は子供さんで、その親の面会や付き添いを断るのは人道にもとるというのが主治医の主張で、head&neckも全面的に賛成です。現在のウイルスの特性を考えると症状の無い人に対する隔離はやりすぎで、更には感染している人に対する扱いは異常なまでの厳重さです。勿論、パンデミックに対する警戒は必要で、ウイルスの突然変異に対しては検査を怠るべきでは有りませんが、パニックをおこす必要性は低いと思っています。
 具体的にはインフルエンザ様の症状がでた患者さんを診察した際にはウイルス抗体検査を義務付け、A型が確認されたらPCRにまわして新型かどうかの確認をとることは必要だと思いますが、罹患者の扱いは通常のインフルエンザと同等でよいと思っています。

 まあ、これとて絶対正しいとはいえませんが、強毒性のものが確認された時点で柔軟に対応を切り替えることを前提にすべきだと思うのでした。





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最終更新日  2009.05.19 16:07:55
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